福島労働局が提出した間抜けな証拠 (一審・7)
第一回口頭弁論の前に届いた被告らの答弁書は、原告適格と被告適格の反論以外は、訴状に対する簡単な認否だけでしたので、事件の内容に踏み込んだ本格的な反論は、第二回口頭弁論の3~5日前に、被告それぞれから届いた第一準備書面に記載されていました。
書証を含めた書類は、厚手の雑誌ほどもあり、それが三者分ということになりますから、その書類の量に、正直うんざりでした。

第二回口頭弁論までは、数日しかありませんので、書面で反論することは無理です。
とりあえずは、すべての書面に目を通したのですが、書面上の内容に整合性がなかったり(矛盾している)、日付が違っていたり、不審な点がたくさんありました。

極めつけは、二つのおかしな書証でした。
ひとつは、前回、ちょっと触れておいた富岡労基署の職員によって捏造された文書。
そして、もうひとつは、黒塗りされた部分がしっかり読み取れる福島労働局が提出した文書です。
今回は、後者にスポットを当ててみます。
そもそも、この書面は、労働基準監督署を巡る一連の事件の根幹にかかわる書面でもあるのです。
この状況を何とかしなければならないと思い、とりあえずは労基署に相談してみようと電話したのが、事件の発端であった。
応対したいわき労基署の女性職員は、その状況に、「早く何とかしなければならないので、是非、会社名を教えてくれ。」と積極的に情報を伝えるよう促した。
対処法を確認したところ、「夜の8時ぐらいに会社を訪れ、遅くまで残っている者がいれば指導する。」ということであった。
その程度のことなら問題ないと思い会社名を伝えた。見当違いのところを調べ、対応が遅れては困ると思い、部署や役職など、本人が特定できるような質問にも答えた。
ところが、その情報は、管轄の富岡労基署に伝えられ、会社に調べが入ったのは、それから、およそ3ヵ月も後。昼間の時間帯に、しかも時間外手当ての調査であった。
また、時間外手当を支給されていない管理職は、夫以外にも該当者が多数いたが、夫についてだけ是正勧告が出された。
それで、結果的に、夫が会社から非難され、退職を余儀なくされた。


埒が明かないので、厚生労働省に質問書を送り、回答を求めた。
それで、厚生労働省からの指導で、福島労働局が回答することになったが、文書での回答を固く拒み、口頭で回答することになった。
(この辺のところも、すんなりとはいかず大変でしたが、今回は省略し、別の機会にお伝えします。)
ところが、福島労働局の当時の監督課長 芝田正人は、口頭での回答をしたが、ほとんど原稿の棒読みであった。
しかも、肝心な質問に対しては、「答える立場にない。」などと繰り返し、回答を拒否した。
このとき読み上げた原稿が、裁判で証拠として提出されたのでした。
実際に、この原稿を見てみると、黒塗りされた部分が何箇所も広範囲にわたって存在しており、監督課長の回答の際には、この部分は読まれませんでした。
ところが、よく見ると、黒塗りしたマジックか何かのインクが薄かったようで、その部分の文字がしっかり読みとれるのです。
しかも、その部分には、私の主張を裏付ける記述が多数含まれていました。
それにしても、こんな書証を提出するのですから、まったく間が抜けていますよね
それとも、こんなことをしたとしても、国が勝訴することを初めからわかっているからでしょうか
この続きは、次回にします。
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