プライバシーが安心の民事裁判では、公正な裁判は保証されないね!(一審・5)
裁判所に提出した私の訴状は、国(代表者 法務大臣)と当時の富岡労働基準監督署の署長と担当職員に送達され、それに対する答弁書が、第1回口頭弁論の5~6日前に、三者からそれぞれ届きました。
しかし、三者の答弁書は、どういうわけか、被告本人の名前等の部分が違うだけで、内容が、一字一句同じでした。


尚 、労働基準監督署の職員2名の答弁書には、公務員個人の責任を問うことは不適切で、被告適格を誤っていて不当であるということが、書き加えられていました。
被告らの答弁書には、改めて準備書面で主張するということで、原告適格と被告適格に対する反論以外は、訴状に対する簡単な認否が書かれているだけでしたので、それに対する私の主張を第2準備書面として、第1回口頭弁論の前日に提出しました。

多少緊張気味ではありましたが、書面をバッチリ作成したという安心感から、比較的落ち着いていました。
入ってみると、意外にこぢんまりした法廷で、裁判官の席がけっこう高い位置にあるのが印象的でした。
裁判官に向かって、左側が原告の席、右側が被告の席になります。
書記官が案内してくれますので、席を間違えたらどうしようなどという心配は無用です。
相手は、被告公務員2名を含んだ5名が被告席へ。こちらは1名。
傍聴席には、労働局の関係者と思われるファイルを持った男性が2名。
そして、素人であることに配慮し、たくさんの宿題を出してくれた裁判官は、女性の裁判官でした。
裁判官と原告が女性、被告と傍聴者が全員男性というのも、テレビで見るような法廷風景とは雰囲気が異なるものでした。
まず最初は、裁判官が、すでに提出した書面の陳述の確認をしました。
陳述といいましても、書面を読み上げたりするわけではありません。
「訴状のとおり陳述しますか。」という趣旨のことを聞かれ、「そのとおりです。」という趣旨のことを答えればよいのです。
本には、裁判官に発言するときは起立して言うようにということが書いてありましたので、そのようにしたところ、裁判官から「立たなくていいです。」と言われてしまいました。

ちなみに、被告の訟務官は、着席したままうなずく程度でした。
次は、裁判官が私の方に向き、 「“じゅけん”されているということですね。」 と確認しました。
「じゅけん」 と聞いて、とっさに 「受験」 しか思い浮かばなかった私は、トンチンカン(?)な質問に一瞬焦り


そのほかに、私から、どうしても発言したいことがありました。
それは、前述しているように、三者の答弁書が、どういうわけか、被告本人の名前や就業場所が違うだけで、内容が、一字一句同じなことでした。
たとえば、福島労働局の対応に関する記述の部分には、富岡労働基準監督署の職員がかかわっていないので、本来なら「不知」と答えるべきところ、労基署の職員の答弁書には、「認める」 「否認」 「争う」などと記述されており、実情に即して答弁されていないのです。
国の答弁書を、そのまま模写しただけなので、そうなるわけですが・・・・

そのことを陳述したところ、裁判官から書面にして提出するように言われました。
その後、被告の準備書面の提出期限と次回の開廷日を決め、わずか10分ほどで終了しました。
第1回口頭弁論は、意気込んでいた割には、あっけない幕切れとなりました。
《ちょっと一言》
訴訟は「口頭主義」をとっており(民事訴訟法87条、173条)、主張のあいまいなところを裁判官や相手方が聞き出せるようになっているのですが、主張や証拠の内容を明確にし、記録に残すために、陳述しようとすることは予め書面で申し立てることが基本です。
といいましても、民事裁判では、訴状や準備書面をいちいち読み上げたりはしませんし、テレビや新聞で報道されるような事件でなければ関係者以外の傍聴者もほとんどいませんので、たとえ公開の法廷で行われたとしても、プライバシーがあからさまになることは、ほとんどありません。
ですから、プライバシーが明らかになることを心配して、裁判を躊躇されている方もいらっしゃるかもしれませんが、その点は、ほとんど心配なさそうです。


一審の初めの裁判官が担当の時には、裁判が適正に行われましたので、不信感を抱くようなことがありませんでしたが、それ以降の裁判では、そのことを痛感しました。


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