裁判員制度を導入する前に もっとやるべきことがあるのでは・・・・
裁判員制度を取り入れること自体には反対ではありませんが、その方向性が間違っているのではないでしょうか?
国民が死刑か無期懲役かの選択を迫られるような凶悪事件に裁判員制度を導入するよりも、国民なら思わぬところで被害者になるかもしれない国家賠償訴訟や行政訴訟にこそ裁判員制度を導入すべきです。
なぜ、凶悪事件にのみ裁判員制度を導入するのかということについては、インチキ裁判を経験してきた私の率直な見解として、以前お伝えしましたが( なぜ凶悪事件に裁判員制度なの? )、ここで改めてまとめておきます。
《なぜ凶悪事件に裁判員制度なの?》
① 裁判員がより厳しい判断をしそうな公務員の職務上の犯罪等が含まれない。
② 国家賠償訴訟を含む民事裁判などは、問題解決の一手段であるにすぎず、そのため、これまでずさんな手法によって判決が導き出された可能性が高い。
仮に、探究心旺盛な人が裁判員に選ばれた場合、担当の事件に関して独自に判例や学説を調べたりしたりして、それまでの裁判の矛盾や問題点などに気がつく可能性があるため、そのようなことが露見しやすい民事裁判をあえて避けたのではないか。
③ ②の裏の味方になるが・・・・
凶悪事件の場合、死刑か無期懲役かということで、つまり、被告人の生命がかかっているわけであるから、これまでの裁判においても慎重に検証を重ねて判断されてきたものと思われ、そのような事件に裁判員制度を導入したとしても問題が生じる可能性が低い。
本人訴訟を行った経験から、現行制度のいくつかの問題点に気がつくことができました。
特に民事裁判においては、不当な裁判を助長している制度になっています。
それらの問題については、「裁判の不思議」のカテゴリーの中でお伝えしてきましたが、主なものをまとめてみました。
《制度上の不備》
① 民事訴訟規則第198条の弊害
上告受理申立理由書(あるいは上告理由書)は、最高裁で口頭弁論が開かれない限り(二審判決が変更される可能性がない限り)、相手方(被上告人)に、副本が送達されることはない(民事訴訟規則第198条)。
上告される事件の大部分が、上告不受理あるいは書面審査による棄却になっているという現状の下では、口頭弁論を開くために相手方に副本が送達される確率は極めて低く、当然のことながら、仮に高裁判決でいいかげんなことを書いたとしても、外部から裁判所の判断に疑問を抱かれたりする確率も低くなり、裁判官がいいかげんな判決を書きやすい状況になっている。
( 最高裁判所はヒラメ養魚場の親分! ~上告受理申立理由書を公開することの意義~ )
※ 口頭弁論が開かれることの有無にかかわらず、上告受理申立理由書(あるいは上告理由書)を相手方に送達することで、いいかげんな判決を抑止することができる。
② 最高裁の調書(決定)の不備について
調書(決定)の書式の構成は、事件番号、決定日、裁判所・・・・、決まり文句の主文と理由、書記官の記名等の調書本文に、「これは正本である。」という書記官の認証が添付されており、事件番号さえ変えれば、ほかの事件にも通用するような構成になっている。
しかも、調書本文には、㊞のゴム印が押されており、書記官や裁判官が作成・確認したものであるという確証がまったくなく、最後に添付される書記官の認証にも、本文とのつながりを示すものが一切ない。
つまり、最高裁の調書(決定)に関しては、どこで誰が作成したものであるのか、まったく信用することができない書面の構成となっており、担当の裁判官が判断したものであるかどうかはきわめて疑わしい。
( まったく信用できない構成の最高裁調書! )
※ 調書の不備を改善することで、信用できる厳正な判断が期待できる。
③ (判例違反の)訴訟費用について
上告の際の訴訟費用については、上告不受理や却下のケースであっても訴訟費用が返還されることはない。
上告された事件が、単独の裁判官によって、最高裁で審理すべきものか、そうでないものかを事務的に振り分けられているならば、審理する必要がないと判断された事件(上告不受理や却下になったケース)については、消費者契約法にしたがって、申立人に訴訟費用を返還すべきである。
( 不公正な国家賠償訴訟 最高裁判所自らが判例違反をしているんじゃないの! )
※ 訴訟費用を、実際の裁判の状況に見合ったものにすることで、裁判所の判断の適正化が期待される。
④ 裁判官の犯罪に公平性を欠く検察審査会
検察審査会の中に検察審査会事務局というのが置かれていて(j検察審査会法19条)、その検察審査会事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所によって命じられる(検察審査会法第19条)。
被疑者が判事でである場合には、身内の事件を身内が扱うことになり、公平性を著しく欠いている。
( 検察審査会って裁判所の中にあるけど、本当に大丈夫なの? )
※ 公平性のある審査制度に改めることで、不正裁判をけん制できる。
大まかに上記の4つが挙げられますが、①~③においては共通点がありますが、お気づきでしょうか

①~③の問題点には、すべて上告の際の最高裁がかかわっている部分です。

ですから、現行の制度や法律を見直すだけでも、かなり割合で裁判の適正化が図られるのではないでしょうか。

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