議論もないまま勝手に決めてしまう岸田首相
就任当初こそ、人の話をよく聞くということをおっしゃっていた岸田首相ですが、いきなり防衛力の強化とか防衛予算の増額とか言い出して、いったいどうなっているのでしょうかね。
バイデン大統領への手土産のつもりだったのかもしれませんが、ともすれば憲法違反になってしまうような問題を、国民の意見を聞くこともなく、国会での議論もないままに勝手に進めてしまったことは、まったくもって民主主義のプロセスを踏んでいるとはいえません。
防衛力強化と同じように国民の生命・財産にかかわることで勝手に決めようとしていることが、もう一つあります。
それが、原発の運転期間を延長することです。
福島第一原発の事故後、老朽化した原発を運転させない目的で定められたのが民主党政権下で作られた「40年ルール」です。老朽化した原発の運転期間を原則40年とするというものです。
ところが岸田首相は、昨年の8月24日、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議の場で、「原発の運転期間のルールの見直し」と「次世代革新炉の開発・建設を進めること」の検討を加速するよう指示したのです。
それは、これまでの抑制的だった原発政策を大きく転換させるものでした。
これを踏まえてか、経済産業省が昨年の9月22日に行った論点整理では、「多くの国では運転期間の上限はない」「米国では80年延長認可を取得した原子炉は6基」「40年は一つの目安であり、明確な科学的な根拠はない」などと従来とは打って変わって、運転長期化を支持したのです。
さらに11月2日の原子力規制委員会では、運転30年超の原発について10年ごとに審査・認可し、60年超も可能という新制度案が示され、この案では年限自体に縛りがなくなってしまいます。
原発事故後の国会では、細野豪志環境大臣が40年の根拠として「圧力容器の中性子の照射による脆化(ぜいか)」などを挙げ、「原則として 40 年以上の原子炉の運転はしない。経年劣化の状況を踏まえて、延長する期間において安全性が確保されれば例外的に運転を継続するが、極めて限定的なケースになる」と述べています。
原発を運転すると核分裂が生じ、その際に中性子が発生します。金属は中性子に触れると原子の並びが悪くなり、もろくなるという性質があります。これが『中性子照射脆化』と呼ばれる現象です。原子炉容器は交換が難しく、ずっと使っているものなので老朽化による事故が懸念されます。
また、福島の原発事故では、1971年3月26日に運転を開始した一番古い1号機がはじめに爆発しています。事故を起こしたのがちょうど40歳の誕生月だったのです。
そうしたことを踏まえて自民党と公明党も賛成して法改正をしたのですが、唐突に海外の事例を持ってきて『40年には根拠がない』というのは言語道断だと批判する学者もいます。
この「中性子照射脆化」に関して、原発事業者はデータを解析し、安全性を確認しているとしているのですが、実際にはデータは公表されておらず、不信感につながっています。
今年の夏以降の再稼働では、運転開始から48年になる高浜原発1号機、47年になる同2号機も含まれています。
岸田首相が、なぜ唐突に原発政策の大転換を言い出したのか。その科学的根拠については十分に検証され、国会、専門家、原発が立地する近隣住民を含めて議論する必要があります。
結局のところ、福島の原発事故については、直接的な当事者である東京電力だけでははなく、国策として推進してきた国にも重大な責任があるにもかかわらず、根本的な原因は解明されることなく曖昧に処理されています。
無責任な判断で、再び同じようなことが繰り返されようとしています。
老朽原発が再稼働した関西電力・美浜原発の詳細については、こちらをご覧ください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f39488643a513aff0f6421702ba7743852bb706f?page=1


バイデン大統領への手土産のつもりだったのかもしれませんが、ともすれば憲法違反になってしまうような問題を、国民の意見を聞くこともなく、国会での議論もないままに勝手に進めてしまったことは、まったくもって民主主義のプロセスを踏んでいるとはいえません。
防衛力強化と同じように国民の生命・財産にかかわることで勝手に決めようとしていることが、もう一つあります。
それが、原発の運転期間を延長することです。
福島第一原発の事故後、老朽化した原発を運転させない目的で定められたのが民主党政権下で作られた「40年ルール」です。老朽化した原発の運転期間を原則40年とするというものです。
ところが岸田首相は、昨年の8月24日、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議の場で、「原発の運転期間のルールの見直し」と「次世代革新炉の開発・建設を進めること」の検討を加速するよう指示したのです。
それは、これまでの抑制的だった原発政策を大きく転換させるものでした。
これを踏まえてか、経済産業省が昨年の9月22日に行った論点整理では、「多くの国では運転期間の上限はない」「米国では80年延長認可を取得した原子炉は6基」「40年は一つの目安であり、明確な科学的な根拠はない」などと従来とは打って変わって、運転長期化を支持したのです。
さらに11月2日の原子力規制委員会では、運転30年超の原発について10年ごとに審査・認可し、60年超も可能という新制度案が示され、この案では年限自体に縛りがなくなってしまいます。
原発事故後の国会では、細野豪志環境大臣が40年の根拠として「圧力容器の中性子の照射による脆化(ぜいか)」などを挙げ、「原則として 40 年以上の原子炉の運転はしない。経年劣化の状況を踏まえて、延長する期間において安全性が確保されれば例外的に運転を継続するが、極めて限定的なケースになる」と述べています。
原発を運転すると核分裂が生じ、その際に中性子が発生します。金属は中性子に触れると原子の並びが悪くなり、もろくなるという性質があります。これが『中性子照射脆化』と呼ばれる現象です。原子炉容器は交換が難しく、ずっと使っているものなので老朽化による事故が懸念されます。
また、福島の原発事故では、1971年3月26日に運転を開始した一番古い1号機がはじめに爆発しています。事故を起こしたのがちょうど40歳の誕生月だったのです。
そうしたことを踏まえて自民党と公明党も賛成して法改正をしたのですが、唐突に海外の事例を持ってきて『40年には根拠がない』というのは言語道断だと批判する学者もいます。
この「中性子照射脆化」に関して、原発事業者はデータを解析し、安全性を確認しているとしているのですが、実際にはデータは公表されておらず、不信感につながっています。
今年の夏以降の再稼働では、運転開始から48年になる高浜原発1号機、47年になる同2号機も含まれています。
岸田首相が、なぜ唐突に原発政策の大転換を言い出したのか。その科学的根拠については十分に検証され、国会、専門家、原発が立地する近隣住民を含めて議論する必要があります。
結局のところ、福島の原発事故については、直接的な当事者である東京電力だけでははなく、国策として推進してきた国にも重大な責任があるにもかかわらず、根本的な原因は解明されることなく曖昧に処理されています。
無責任な判断で、再び同じようなことが繰り返されようとしています。
老朽原発が再稼働した関西電力・美浜原発の詳細については、こちらをご覧ください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f39488643a513aff0f6421702ba7743852bb706f?page=1


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