「水問題」にもっと関心をもつべき
今回は水を巡る問題に目を向けてみます。
先日、ある雑誌に興味深いことが書かれていました。
日本は上下水道の普及率が高く、安全な水を手に入れやすい環境が整っていますが、世界に目を向ければ、安全な水を手に入れることが困難な国や地域が数多くあるということでした。
国土交通省の18年度「日本の水資源の現況」によると、水道水を直接飲める国は、世界に10ヵ国しかないということですから、日本がいかに水資源に恵まれているかが分かります。
世界の約10人に1人がきれいな水を使えないでいるということです。
特にアフリカ、南アジア、中南米などの諸国では厳しい状況で、清潔な水が手に入れられないために、安全な食糧、健康、教育、ジェンダー平等などの目標が達成できなくなっています。毎日の水くみ作業が解消しない限り、子どもの就学率の向上、女性の労働負担軽減が進むことはありません。
一方、恵まれた水環境が整っている日本の水資源の利用状況です。
年間に使われる約800億トンの淡水のうち、70%近くは農業用に使われ、さらにその約94%は水田で利用されます。(「令和3年版 日本の水資源の現状」国土交通省)
水田は、地表の淡水が一気に流出するのを防ぎ、生態系や環境、景観の保全といった機能も果たしています。
世界に誇れる日本の水資源ですが、このところ大きな問題が持ち上がっています。
人口減少などにより水道水の需要が減少しているため料金収入の減少が続いており、その上、水道管の老朽化も進んでいるため水道管の更新費用が水道事業に重くのしかかっているということです。
そこで考えられたのが、水道管などの所有権を移転することなく、水道事業の運営のみを民間企業に任せる「コンセッション方式」の導入です。水道事業の運営権を民間企業に売却することが可能になるため、自治体は売却代金により水道事業の赤字などを削減することが可能となりまります。
ところが、民営化による落とし穴もあります。
民間企業が事業を営む以上、採算、利益を重視することにより、水道水の安全性が低下する危険性が懸念されるだけではなく、逆に水道料金の上昇が予想されます。
世界に目を向ければ、「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれる、世界の水ビジネスをリードする企業による競争が激化しています。
仏ヴェオリア・ウォーター社、同じくフランスのスエズ・エンバイロメント社、英テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ社の3社は、ウォーターバロンと呼ばれ、2000年代初めには世界の上下水道民営化市場におけるシェアは7割を超えるまでになっています。
水資源は、「第二の石油」になるのではないかということまで言われています。
パリでは水道事業を民営化した結果、水道料金が3倍に跳ね上がり、その後、再公営化しています。南アフリカでは、水道料金を払えない貧困層が汚染された川の水を飲料水としたことなどにより、約25万人がコレラ感染する事態となり、結局は水道事業を公営に戻しています。
米国のアトランタでは、水道を運営する民間企業がコストカットを徹底したために、水道管の破裂や水質悪化が相次ぎました。
宮城県では全国初の事例として、今年4月1日から運営権を一括して売却した上下水道と工業用水の計9事業について、民間企業による運営が始まっています。
まさに、世界に逆行する動きです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84447?imp=0
目先の水道料金や採算性ばかりが重視され、肝心の水資源の安全性や長期的な見通しが軽視されては本末転倒です。
水を巡る問題に一人ひとりが関心をもち、意見を発していかなければ取り返しのつかないことになりかねません。


先日、ある雑誌に興味深いことが書かれていました。
日本は上下水道の普及率が高く、安全な水を手に入れやすい環境が整っていますが、世界に目を向ければ、安全な水を手に入れることが困難な国や地域が数多くあるということでした。
国土交通省の18年度「日本の水資源の現況」によると、水道水を直接飲める国は、世界に10ヵ国しかないということですから、日本がいかに水資源に恵まれているかが分かります。
世界の約10人に1人がきれいな水を使えないでいるということです。
特にアフリカ、南アジア、中南米などの諸国では厳しい状況で、清潔な水が手に入れられないために、安全な食糧、健康、教育、ジェンダー平等などの目標が達成できなくなっています。毎日の水くみ作業が解消しない限り、子どもの就学率の向上、女性の労働負担軽減が進むことはありません。
一方、恵まれた水環境が整っている日本の水資源の利用状況です。
年間に使われる約800億トンの淡水のうち、70%近くは農業用に使われ、さらにその約94%は水田で利用されます。(「令和3年版 日本の水資源の現状」国土交通省)
水田は、地表の淡水が一気に流出するのを防ぎ、生態系や環境、景観の保全といった機能も果たしています。
世界に誇れる日本の水資源ですが、このところ大きな問題が持ち上がっています。
人口減少などにより水道水の需要が減少しているため料金収入の減少が続いており、その上、水道管の老朽化も進んでいるため水道管の更新費用が水道事業に重くのしかかっているということです。
そこで考えられたのが、水道管などの所有権を移転することなく、水道事業の運営のみを民間企業に任せる「コンセッション方式」の導入です。水道事業の運営権を民間企業に売却することが可能になるため、自治体は売却代金により水道事業の赤字などを削減することが可能となりまります。
ところが、民営化による落とし穴もあります。
民間企業が事業を営む以上、採算、利益を重視することにより、水道水の安全性が低下する危険性が懸念されるだけではなく、逆に水道料金の上昇が予想されます。
世界に目を向ければ、「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれる、世界の水ビジネスをリードする企業による競争が激化しています。
仏ヴェオリア・ウォーター社、同じくフランスのスエズ・エンバイロメント社、英テムズ・ウォーター・ユーティリティーズ社の3社は、ウォーターバロンと呼ばれ、2000年代初めには世界の上下水道民営化市場におけるシェアは7割を超えるまでになっています。
水資源は、「第二の石油」になるのではないかということまで言われています。
パリでは水道事業を民営化した結果、水道料金が3倍に跳ね上がり、その後、再公営化しています。南アフリカでは、水道料金を払えない貧困層が汚染された川の水を飲料水としたことなどにより、約25万人がコレラ感染する事態となり、結局は水道事業を公営に戻しています。
米国のアトランタでは、水道を運営する民間企業がコストカットを徹底したために、水道管の破裂や水質悪化が相次ぎました。
宮城県では全国初の事例として、今年4月1日から運営権を一括して売却した上下水道と工業用水の計9事業について、民間企業による運営が始まっています。
まさに、世界に逆行する動きです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84447?imp=0
目先の水道料金や採算性ばかりが重視され、肝心の水資源の安全性や長期的な見通しが軽視されては本末転倒です。
水を巡る問題に一人ひとりが関心をもち、意見を発していかなければ取り返しのつかないことになりかねません。


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