あっぱれな大阪高裁判決
国や行政を相手とする裁判は、勝ち目がなく、やるだけ無駄。国の完全勝訴率がおよそ98%、仮に国の責任が認めれたとしても賠償額は雀の涙ほど。
国家賠償法が制定され、制度としては形式的に整えられていますが、まったくと言っていいほど機能しておらず、時間と労力を費やし訴訟費用が騙し取られるだけの詐欺まがいの制度であることは当ブログで指摘してきた通りです。
しかも、裁判官によって国勝訴に至るストーリーが作られ、そのストーリーににそぐわないものは客観的証拠であっても無視され、ストーリーを裏付ける証拠が不足するときには国によって捏造証拠が提出されるというのが実態です。
裁判所と被告代理人の法務省によってデタラメな判決が作られます。
ところが、そのような判決とは異なり、ごく稀に素晴らしい判決が存在することも確かです。
先週、極めて画期的な判決が大阪高裁で言い渡されました。
旧優生保護法(1948~96年)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚障害のある70~80代の夫婦と、日本脳炎の後遺症で知的障害になった70代の女性の計3人が国に計5500万円の国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は先月22日、旧優生保護法を違憲と判断して国に計2750万円の賠償を命じました。
その上で、大阪高裁の太田晃詳(てるよし)裁判長は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、「(旧法は)人権侵害が強度で、除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」と述べました。
また、違憲であることが明白な旧法を立法した国会議員に過失があると断じました。
全国9地裁・支部で起こされた同種の訴訟では6件の地裁判決が出ていますが、国の賠償責任を認めたのは初めてで、高裁判断としては初です。
控訴審では違憲性は争われず、除斥期間の適用の可否が焦点だったということで、少し細かいことになりますが、次のような基準で判断されました。
一審の大阪地裁判決では、手術を受けたときを除斥期間の起算点として適用し賠償請求を棄却していますが、控訴審判決では除斥期間の起算点は手術時ではなく、旧法の条項を廃止し母体保護法が施行された前日の96年9月25日と判断。それでも除斥期間は過ぎてしまいますが、「例外を一切許容するものではない」とする2例の最高裁の判例を踏まえ、前述の理由の人権侵害が強度などのほかに、差別や障害を背景に提訴が困難な環境にあったとして、提訴に必要な情報などへのアクセスが困難な状況が解消されてから6カ月以内は除斥期間は適用されないとする異例の見解を示しました。
なんて素晴らしい判決なのでしょう。
最高裁事務総局の顔色をうかがってばかりのヒラメ裁判官が大多数を占める中で、公正・中立な正義感あふれる裁判官が存在することに多少救われます。
一般的に、人事をちらつかせた最高裁事務総局による統制から解放されようとしている退官間近の裁判官が、正義に基づいた良い判決を書くことは定説になっています。
前述の太田裁判長は、定年退官の時期が令和7年10月のようですので、まだ3年半あり、近い将来退官しないのであれば、勇気ある判決は、より称賛に値します。
仮に国や行政との間でトラブルが生じ、クレームや違法性を指摘したところで、行政組織が一体となってのらりくらりと批判をかわし、問題解決が先延ばしにされるのが落ちで、あっという間に5年、10年を無駄に費やしてしまうということはざらにあります。
20年4月の民法改正で除斥期間はなくなり中断や停止のあり得る時効に統一されましたが、国や行政がかかわる問題については、期間の制限を設けずに広く提訴の機会が与えられるべきだと思います。
今回の大阪高裁の素晴らしい判例が無駄にされることなく、今後の判決にも影響を与え、長期間、辛酸をなめてきた被害者が早期に救済されることを願っています。


国家賠償法が制定され、制度としては形式的に整えられていますが、まったくと言っていいほど機能しておらず、時間と労力を費やし訴訟費用が騙し取られるだけの詐欺まがいの制度であることは当ブログで指摘してきた通りです。
しかも、裁判官によって国勝訴に至るストーリーが作られ、そのストーリーににそぐわないものは客観的証拠であっても無視され、ストーリーを裏付ける証拠が不足するときには国によって捏造証拠が提出されるというのが実態です。
裁判所と被告代理人の法務省によってデタラメな判決が作られます。
ところが、そのような判決とは異なり、ごく稀に素晴らしい判決が存在することも確かです。
先週、極めて画期的な判決が大阪高裁で言い渡されました。
旧優生保護法(1948~96年)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚障害のある70~80代の夫婦と、日本脳炎の後遺症で知的障害になった70代の女性の計3人が国に計5500万円の国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は先月22日、旧優生保護法を違憲と判断して国に計2750万円の賠償を命じました。
その上で、大阪高裁の太田晃詳(てるよし)裁判長は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、「(旧法は)人権侵害が強度で、除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」と述べました。
また、違憲であることが明白な旧法を立法した国会議員に過失があると断じました。
全国9地裁・支部で起こされた同種の訴訟では6件の地裁判決が出ていますが、国の賠償責任を認めたのは初めてで、高裁判断としては初です。
控訴審では違憲性は争われず、除斥期間の適用の可否が焦点だったということで、少し細かいことになりますが、次のような基準で判断されました。
一審の大阪地裁判決では、手術を受けたときを除斥期間の起算点として適用し賠償請求を棄却していますが、控訴審判決では除斥期間の起算点は手術時ではなく、旧法の条項を廃止し母体保護法が施行された前日の96年9月25日と判断。それでも除斥期間は過ぎてしまいますが、「例外を一切許容するものではない」とする2例の最高裁の判例を踏まえ、前述の理由の人権侵害が強度などのほかに、差別や障害を背景に提訴が困難な環境にあったとして、提訴に必要な情報などへのアクセスが困難な状況が解消されてから6カ月以内は除斥期間は適用されないとする異例の見解を示しました。
なんて素晴らしい判決なのでしょう。
最高裁事務総局の顔色をうかがってばかりのヒラメ裁判官が大多数を占める中で、公正・中立な正義感あふれる裁判官が存在することに多少救われます。
一般的に、人事をちらつかせた最高裁事務総局による統制から解放されようとしている退官間近の裁判官が、正義に基づいた良い判決を書くことは定説になっています。
前述の太田裁判長は、定年退官の時期が令和7年10月のようですので、まだ3年半あり、近い将来退官しないのであれば、勇気ある判決は、より称賛に値します。
仮に国や行政との間でトラブルが生じ、クレームや違法性を指摘したところで、行政組織が一体となってのらりくらりと批判をかわし、問題解決が先延ばしにされるのが落ちで、あっという間に5年、10年を無駄に費やしてしまうということはざらにあります。
20年4月の民法改正で除斥期間はなくなり中断や停止のあり得る時効に統一されましたが、国や行政がかかわる問題については、期間の制限を設けずに広く提訴の機会が与えられるべきだと思います。
今回の大阪高裁の素晴らしい判例が無駄にされることなく、今後の判決にも影響を与え、長期間、辛酸をなめてきた被害者が早期に救済されることを願っています。


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