ウクライナ問題の本質
予断を許さないウクライナの問題について考えてみたいと思います。
プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断したと「確信している」と主張するアメリカのバイデン大統領の表情からは、危機感や怒りというものはまったく感じられず、どこか嬉しさを隠しきれないような、何かに対する自信を秘めているような印象を受けましたが、皆さんはどう思われたでしょうか。
軍産複合体に潤いをもたらすことで自身の支持基盤を維持してきた歴代のアメリカ大統領と同様、バイデン大統領も再び同じことを繰り返そうとしているのかもしれない。そのためにウクライナを利用しようとしているのではないかという疑いが頭をよぎります。
相手はロシアです。冷戦が終結した後の1991年12月、ソ連が崩壊し、規模を小さくして継承したのがロシアです。ロシアと欧米諸国が対立するウクライナを巡る問題は、どこか冷戦時代を思い起こさせるような構図になっています。
私自身、しばらく前まで、冷戦についてはアメリカとソ連が完全に敵対する関係にあったという認識でいたのですが、その認識が、ある日、何かを読んで完全に覆された記憶があります。まさに目から鱗でした。
それが何だったのか?
ネットではなく何かの本だったような気がして本棚を捜してみたら見つけました。
孫崎享氏の「戦後史の正体」の中の次の部分です。
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コリン・パウエルは1989年から93年にかけて米軍統合参謀本部議長をつとめた人物で、軍人として最高のポストにのぼりつめた人です。彼は1992年冬号の「フォーリン・アフェアーズ誌に次のように書いています。
「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』とのべた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」
第二次世界大戦の終了からずっと、米国の戦略と軍備はソ連を仮想敵国として作られてきました。そのソ連が「もう自分たちは米国を敵とみなす政策はやめた。軍事力を強化するのもやめる。核兵器も一方的に減らす」といって、それを実行しようとしているのです。そうすると何が起こるでしょう。
そうです。米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器が不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります。
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冷戦終結で不要になったはずの米軍の膨大な兵士や兵器でしたが、新たな使い道とされたのが湾岸戦争、「アラブの春」・・・、アメリカは冷戦後も次々と新たな対戦相手を見つけていくことになります。
こうしてみると、今回のウクライナ問題の本質が推測できます。
第2代ロシア大統領に就任したプーチンが掲げたのは「強いロシア」の再建です。国家再建に向けて、武力で分離・独立派を押さえ込むプーチンの野望は、欧米との対立を深め、それが戦争好きのアメリカにとってはかえって好都合だったのかもしれません。
これと同じような方向性で、まさに、これがウクライナを巡る問題の本質かなと思うようなネット記事を見つけました。
冒頭を含む一部だけ掲載しますので、興味のある方は、紹介するサイトで全文をご覧ください。
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なぜアメリカは「ロシアがウクライナを侵攻してくれないと困る」のか
ロシアがウクライナを侵攻してくれると、あるいは侵攻しそうな様子を見せてくれると、アメリカにはいくつものメリットがある。米軍のアフガン撤退の際に失った信用を取り戻すと同時に、アメリカ軍事産業を潤すだけでなく、欧州向けの液化天然ガス輸出量を増加させアメリカ経済を潤して、秋の中間選挙に有利となる。
(中略)
そこでロシアが例年の軍事演習をウクライナ周辺で行っていることを利用して、「ロシアがウクライナに侵攻してくる!さあ、みんなで結束してロシアのウクライナ侵攻を食い止めよう!」と、尋常ではない勢いで国際社会に呼び掛け始めた。
この作戦は見事に当たって、多くの西側諸国が「ウクライナ侵攻」を信じる方向に向かわせることに成功した。
(中略)
国際社会がバイデンのゲームに躍らされ国力を消耗していくのは賢明ではないと思うが、「時すでに遅し」という感も否めないではない。米軍をウクライナ周辺国に派兵したアメリカに対して、ウクライナの親ロシア派やベラルーシュなどが引こうとしない所に至っている。
中露の動きは常に警戒しなければならないが、しかし少なくとも日本が、アメリカの戦争のロジックには嵌(はま)ってしまわないことを祈りたい。
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こうしてみると、度々、ミサイルを発射させて安全保障上の脅威を煽ってくれる北朝鮮も、アメリカにとっては愛おしい存在になってしまうのです。
ちなみに、好戦的な過去のアメリカ大統領とは異なり、在任中の4年間に新しい戦争を始めなかった唯一の大統領がトランプ前大統領だといわれています。
トランプ前大統領が、2019年7月、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線を越境して北朝鮮に足を踏み入れた光景は印象的でした。
平和主義者であるあたりが、大統領選に敗れても今なお根強い人気を保っている要因なのかもしれません。


プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断したと「確信している」と主張するアメリカのバイデン大統領の表情からは、危機感や怒りというものはまったく感じられず、どこか嬉しさを隠しきれないような、何かに対する自信を秘めているような印象を受けましたが、皆さんはどう思われたでしょうか。
軍産複合体に潤いをもたらすことで自身の支持基盤を維持してきた歴代のアメリカ大統領と同様、バイデン大統領も再び同じことを繰り返そうとしているのかもしれない。そのためにウクライナを利用しようとしているのではないかという疑いが頭をよぎります。
相手はロシアです。冷戦が終結した後の1991年12月、ソ連が崩壊し、規模を小さくして継承したのがロシアです。ロシアと欧米諸国が対立するウクライナを巡る問題は、どこか冷戦時代を思い起こさせるような構図になっています。
私自身、しばらく前まで、冷戦についてはアメリカとソ連が完全に敵対する関係にあったという認識でいたのですが、その認識が、ある日、何かを読んで完全に覆された記憶があります。まさに目から鱗でした。
それが何だったのか?
ネットではなく何かの本だったような気がして本棚を捜してみたら見つけました。
孫崎享氏の「戦後史の正体」の中の次の部分です。
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コリン・パウエルは1989年から93年にかけて米軍統合参謀本部議長をつとめた人物で、軍人として最高のポストにのぼりつめた人です。彼は1992年冬号の「フォーリン・アフェアーズ誌に次のように書いています。
「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』とのべた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」
第二次世界大戦の終了からずっと、米国の戦略と軍備はソ連を仮想敵国として作られてきました。そのソ連が「もう自分たちは米国を敵とみなす政策はやめた。軍事力を強化するのもやめる。核兵器も一方的に減らす」といって、それを実行しようとしているのです。そうすると何が起こるでしょう。
そうです。米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器が不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります。
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冷戦終結で不要になったはずの米軍の膨大な兵士や兵器でしたが、新たな使い道とされたのが湾岸戦争、「アラブの春」・・・、アメリカは冷戦後も次々と新たな対戦相手を見つけていくことになります。
こうしてみると、今回のウクライナ問題の本質が推測できます。
第2代ロシア大統領に就任したプーチンが掲げたのは「強いロシア」の再建です。国家再建に向けて、武力で分離・独立派を押さえ込むプーチンの野望は、欧米との対立を深め、それが戦争好きのアメリカにとってはかえって好都合だったのかもしれません。
これと同じような方向性で、まさに、これがウクライナを巡る問題の本質かなと思うようなネット記事を見つけました。
冒頭を含む一部だけ掲載しますので、興味のある方は、紹介するサイトで全文をご覧ください。
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なぜアメリカは「ロシアがウクライナを侵攻してくれないと困る」のか
ロシアがウクライナを侵攻してくれると、あるいは侵攻しそうな様子を見せてくれると、アメリカにはいくつものメリットがある。米軍のアフガン撤退の際に失った信用を取り戻すと同時に、アメリカ軍事産業を潤すだけでなく、欧州向けの液化天然ガス輸出量を増加させアメリカ経済を潤して、秋の中間選挙に有利となる。
(中略)
そこでロシアが例年の軍事演習をウクライナ周辺で行っていることを利用して、「ロシアがウクライナに侵攻してくる!さあ、みんなで結束してロシアのウクライナ侵攻を食い止めよう!」と、尋常ではない勢いで国際社会に呼び掛け始めた。
この作戦は見事に当たって、多くの西側諸国が「ウクライナ侵攻」を信じる方向に向かわせることに成功した。
(中略)
国際社会がバイデンのゲームに躍らされ国力を消耗していくのは賢明ではないと思うが、「時すでに遅し」という感も否めないではない。米軍をウクライナ周辺国に派兵したアメリカに対して、ウクライナの親ロシア派やベラルーシュなどが引こうとしない所に至っている。
中露の動きは常に警戒しなければならないが、しかし少なくとも日本が、アメリカの戦争のロジックには嵌(はま)ってしまわないことを祈りたい。
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こうしてみると、度々、ミサイルを発射させて安全保障上の脅威を煽ってくれる北朝鮮も、アメリカにとっては愛おしい存在になってしまうのです。
ちなみに、好戦的な過去のアメリカ大統領とは異なり、在任中の4年間に新しい戦争を始めなかった唯一の大統領がトランプ前大統領だといわれています。
トランプ前大統領が、2019年7月、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線を越境して北朝鮮に足を踏み入れた光景は印象的でした。
平和主義者であるあたりが、大統領選に敗れても今なお根強い人気を保っている要因なのかもしれません。


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