原発事故由来の甲状腺がんを巡る訴訟に 是非 注目を!
新型コロナワクチン特例承認取消訴訟と同様に国民にはあまり知られて欲しくない訴訟で、既存のメディアが小さいスペースでひっそりと報道するような訴訟が、1月27日、東京地裁に提訴されました。
それが、東京電力の原発事故で放出された放射性物質により小児甲状腺がんを発症した、事故当時6~16歳で福島県内に住んでいた男女6人が東京電力に計6億1600万円の損害賠償を求めて起こした訴訟です。
原告弁護団によると、住民が甲状腺がん発症を理由に事故の被害を訴える訴訟は初めてだそうです。
刑事事件であれば、国にとって不都合な事件は検察が不起訴にすれば裁判にかけられることはありませんが、民事訴訟では原告が提訴すれば、たいていの訴状は受理され裁判が開始されます。
国や裁判所にとっては訴訟費用が得られるというメリットもありますが、証人尋問を除けば裁判自体が原告、被告それぞれの書面のやり取りで済んでしまうので、公開の法廷であったとしても書面の中身については第三者には伺い知ることができず、デタラメな結論付けがやり易くなっています。それで刑事事件ほど裁判の敷居が高くないのだと思われます。
ですから民事訴訟の場合は、提訴自体を広く知ってもらい、世論を味方につけることで判決を動かす原動力とすることが肝心です。
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原告の20代女性は「声を上げることで現状を知ってもらい、少しでも良い状況になることを願っている」と訴えた。
女性は2016年にがんと診断され、17年に手術を受けた。仕事に就いたが体調が優れず、転職を余儀なくされたという。「『差別されるのでは』と何も言えず過ごしてきた。同じ状況で苦しんでいる子どもたちのためにも、状況を変えていきたい」と述べた。
小児甲状腺がん発症で東電提訴 原告女性「現状知って」―東京地裁
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弁護団によると、原告側は事故後の福島県では小児甲状腺がんが300人近く確認されているとして、がん発症と事故は因果関係があると主張していますが、福島県民の健康調査に関する検討委員会は、甲状腺がんの発症について「放射線の影響は考えにくい」との見解を出していて、訴訟では因果関係の有無が最大の争点になる見通しです。
従来、小児甲状腺がんの発症数は年間100万人に1~2人程度とされていますが、調査では、昨年6月までに約300人が甲状腺がんまたはその疑いと診断されています。30万人に対して300人以上に認められたとなれば因果関係がないとは言えないはずです。
被告は東京電力です。一企業に対する裁判でなので、原告の訴えは認められるのではないかと楽観視する人もいるかもしれませんが、それは極めて甘い考えです。
国策で行われてきた原発であり、国が無関係という立場ではないということもありますが、原発には、もう一つの裏の側面があり、それこそが、国主導で脱原発に向かえない最大の要因ではないかと考えられるからです。
重大な原発事故を起こしながらも原発を維持しなければならないという必要性から、原発継続に不利な判決を排除するために、結論ありきの訴訟になる可能性が極めて高いのです。
原発継続の最大の要因、つまり裏の側面というのが、制度上は合法的に見せかけながらも、その内部に政府や政治家が不当に利益を得られる集金システムが組み込まれているという点です。
原発は総括原価方式により過剰利益が生じやすい仕組みになっています。
必要経費に利潤を加えたもの(総括原価)から電気料金が割り出されるのですが、この利潤(事業報酬)の計算の仕方に問題があります。電力会社が保有するすべての資産に「報酬率」という一定の%を掛けたものが利潤として上乗せされるため、原発のような大規模な設備を持てば持つほど利益が増える仕組みになっているのです。
世界一高い電気料金が、企業の経営を圧迫しているのです。
「隠される原子力 核の真実(小出裕章 著)」 「原発の嘘(小出裕章 著)」を参照。
また、キャリア官僚によるリアル告発ノベル「原発ホワイトアウト(若杉冽 著)」には次のような記述もあります。
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経費を浪費したら浪費しただけ報酬が増えるため、電力会社から発注される資材の調達、燃料の購入、工事の発注・・・・は、世間の相場と比較して二割程度割高になっている。
電力会社を頂点として取引先を組織化し、取引先の超過利益2割のうちの一部を預託金としてリザーブして、これが政治工作の資金として使われる。政党交付金が表の法律上のシステムとすれば、総括原価方式による超過利潤は裏の集金・献金システムとして日本の政治に組み込まれる。
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電力会社の利益は電気事業法で保証されていますので、この法律自体が、電力会社に原発を造らせ過剰利益をもたらすためにあるようなものなのです。総括原価方式による集金・献金も法律ですでにシステム化されており、国や政治家に当てにされている収入ということになります。
原発事故と不正裁判の共通点
原発事故を巡る旧経営陣3人の刑事責任については、東京地検は不起訴処分としましたが、検察審査会の議決に基づき強制起訴され、一審では無罪となり、控訴審は今も係争中であることからも、民事裁判においても、おおよその予想はつきます。
ただし、甲状腺がんの被害者は今回提訴した6人だけではありません。背後には数百人の潜在的な被害者が存在しています。そのことを社会に周知させ、世論を動かす大きなうねりとなることで、甲状腺がんだけではなく、白血病などの原発事故由来の健康被害全般の救済へとつながっていくことを期待しています。


それが、東京電力の原発事故で放出された放射性物質により小児甲状腺がんを発症した、事故当時6~16歳で福島県内に住んでいた男女6人が東京電力に計6億1600万円の損害賠償を求めて起こした訴訟です。
原告弁護団によると、住民が甲状腺がん発症を理由に事故の被害を訴える訴訟は初めてだそうです。
刑事事件であれば、国にとって不都合な事件は検察が不起訴にすれば裁判にかけられることはありませんが、民事訴訟では原告が提訴すれば、たいていの訴状は受理され裁判が開始されます。
国や裁判所にとっては訴訟費用が得られるというメリットもありますが、証人尋問を除けば裁判自体が原告、被告それぞれの書面のやり取りで済んでしまうので、公開の法廷であったとしても書面の中身については第三者には伺い知ることができず、デタラメな結論付けがやり易くなっています。それで刑事事件ほど裁判の敷居が高くないのだと思われます。
ですから民事訴訟の場合は、提訴自体を広く知ってもらい、世論を味方につけることで判決を動かす原動力とすることが肝心です。
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原告の20代女性は「声を上げることで現状を知ってもらい、少しでも良い状況になることを願っている」と訴えた。
女性は2016年にがんと診断され、17年に手術を受けた。仕事に就いたが体調が優れず、転職を余儀なくされたという。「『差別されるのでは』と何も言えず過ごしてきた。同じ状況で苦しんでいる子どもたちのためにも、状況を変えていきたい」と述べた。
小児甲状腺がん発症で東電提訴 原告女性「現状知って」―東京地裁
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弁護団によると、原告側は事故後の福島県では小児甲状腺がんが300人近く確認されているとして、がん発症と事故は因果関係があると主張していますが、福島県民の健康調査に関する検討委員会は、甲状腺がんの発症について「放射線の影響は考えにくい」との見解を出していて、訴訟では因果関係の有無が最大の争点になる見通しです。
従来、小児甲状腺がんの発症数は年間100万人に1~2人程度とされていますが、調査では、昨年6月までに約300人が甲状腺がんまたはその疑いと診断されています。30万人に対して300人以上に認められたとなれば因果関係がないとは言えないはずです。
被告は東京電力です。一企業に対する裁判でなので、原告の訴えは認められるのではないかと楽観視する人もいるかもしれませんが、それは極めて甘い考えです。
国策で行われてきた原発であり、国が無関係という立場ではないということもありますが、原発には、もう一つの裏の側面があり、それこそが、国主導で脱原発に向かえない最大の要因ではないかと考えられるからです。
重大な原発事故を起こしながらも原発を維持しなければならないという必要性から、原発継続に不利な判決を排除するために、結論ありきの訴訟になる可能性が極めて高いのです。
原発継続の最大の要因、つまり裏の側面というのが、制度上は合法的に見せかけながらも、その内部に政府や政治家が不当に利益を得られる集金システムが組み込まれているという点です。
原発は総括原価方式により過剰利益が生じやすい仕組みになっています。
必要経費に利潤を加えたもの(総括原価)から電気料金が割り出されるのですが、この利潤(事業報酬)の計算の仕方に問題があります。電力会社が保有するすべての資産に「報酬率」という一定の%を掛けたものが利潤として上乗せされるため、原発のような大規模な設備を持てば持つほど利益が増える仕組みになっているのです。
世界一高い電気料金が、企業の経営を圧迫しているのです。
「隠される原子力 核の真実(小出裕章 著)」 「原発の嘘(小出裕章 著)」を参照。
また、キャリア官僚によるリアル告発ノベル「原発ホワイトアウト(若杉冽 著)」には次のような記述もあります。
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経費を浪費したら浪費しただけ報酬が増えるため、電力会社から発注される資材の調達、燃料の購入、工事の発注・・・・は、世間の相場と比較して二割程度割高になっている。
電力会社を頂点として取引先を組織化し、取引先の超過利益2割のうちの一部を預託金としてリザーブして、これが政治工作の資金として使われる。政党交付金が表の法律上のシステムとすれば、総括原価方式による超過利潤は裏の集金・献金システムとして日本の政治に組み込まれる。
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電力会社の利益は電気事業法で保証されていますので、この法律自体が、電力会社に原発を造らせ過剰利益をもたらすためにあるようなものなのです。総括原価方式による集金・献金も法律ですでにシステム化されており、国や政治家に当てにされている収入ということになります。
原発事故と不正裁判の共通点
原発事故を巡る旧経営陣3人の刑事責任については、東京地検は不起訴処分としましたが、検察審査会の議決に基づき強制起訴され、一審では無罪となり、控訴審は今も係争中であることからも、民事裁判においても、おおよその予想はつきます。
ただし、甲状腺がんの被害者は今回提訴した6人だけではありません。背後には数百人の潜在的な被害者が存在しています。そのことを社会に周知させ、世論を動かす大きなうねりとなることで、甲状腺がんだけではなく、白血病などの原発事故由来の健康被害全般の救済へとつながっていくことを期待しています。


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