国家賠償訴訟

証拠採用の妥当性  ~一審の福島地方裁判所いわき支部判決~ 

いきなり問題です。
このブログをご覧のあなたも考えてみてください。
(考えるまでもなく、即座に答えが出ると思いますが・・・・・)


《問題》
あなたが裁判員に選ばれたとします。
あなたは、次のXさんYさん、どちらの証言を信用しますか?


相手の反論などにより、主張がコロコロ変わり、矛盾の多い主張をしているXさん
メモや記録に基づいて、終始一貫した主張をしているYさん


良識のあるみなさんでしたら、当然,Yさんの証言を信用しますよね。
小学生や幼稚園の子どもでも、Yさんの言うことを信じるでしょう。
ところが、(刑事裁判ではありませんが)、Yさんにあたる私の主張は全く無視し、Xさんにあたる国の証人の証言を証拠として採用したのが、私の国家賠償訴訟の一審の福島地方裁判所いわき支部判決だったのです。

控訴理由書で、一審の証拠採用の誤りを、客観的根拠を示して主張したところ(下記の『控訴理由書の抜粋』参照)、さすがに、二審では、この証拠は全く採用されませんでしたが・・・・・

一審判決の証拠採用に関する、控訴理由書での私の反論は、次のとおりです。

(控訴理由書より)
『2 事実誤認による証拠の採用
  (省略)
尚、控訴人は、原審において、控訴人書証および被控訴人書証等に基づいて、首尾一貫した矛盾のない主張を展開してきた。一方、被控訴人に関しては、特に富岡署の職員Aが直接係った部分については、①主張が二転三転していること、②論理的に矛盾している部分が多数存在すること(原審、原告準備書面(第4回)求釈明、(第5回)、(第15回))、③Aは控訴人らに対しても虚偽の説明をし、また被控訴人の原審書証等からも被控訴人内部においても虚偽の報告をしていたものと思われること(原審、原告準備書面(第5回))などを明らかにしてきた。また、被控訴人書証においても、特にAが作成した原審乙A第6号証については、①控訴人の記憶と全く異なること、②控訴人と夫が作成していた記録(原審、甲第5号証)と異なること、③同時期富岡署で使用されていた用紙(乙A第7号証)と書式が異なるものが使用されていることなどから捏造されたものであると推定されること(原審、原告準備書面(第4回)求釈明)、及び、その他の書証に関しても、控訴人が確かに伝えた内容(示談に関すること等)が記載されていないなど不審な点が存在することは、すでに原審において明らかにしてきた(原審、原告第5準備書面(第5回))。
しかしながら、原判決は、客観的な書証等に基づく控訴人の主張よりも、前述の乙A第15号証(証人A)、乙A第16号証(証人C)などの記憶に基づく極めて曖昧な証言を重視していることは、証拠に基づかない事実認定といわざるを得ない。



国の二転三転し、矛盾している主張の例と、一審判決の証拠採用に関する記述の抜粋を以下にに示します。

 一審判決の証拠採用が、いかに不自然なものであったか、おわかりいただけると思います。

一審で、国の答弁書、第1準備書面、第2準備書面に対する反論として、私は、22ページに及ぶ第5準備書面で主張しているように、国の二転三転している主張、矛盾している主張の例を挙げたらキリがありません。
そこで、ここでは、一審判決の「原告が主張する事実関係等」に記載されている主要なふたつのことがらについて、例を挙げたいと思います。

左下の、「READ MORE]をクリックしてください。



行政の二転三転する主張

①(当初の電話相談の確認のとおり、早急に対応すべきところ)、私の電話相談から富岡者が対応するまで、3か月も要している理由について

平成」14年11月の福島労働局職員の説明では、「調査にかかった。」ということであった。何の調査か尋ねたところ、黙秘し返答しなかった。(甲第8号証)
平成15年12月の福島労働局監督課長の回答では、「事業所に怪しまれないように10月実施予定の相当数の呼び出しによる呼び出し監督の機会に実施したようです。」(甲第9号証、乙A第13号証)
その後裁判となり
被告第1準備書面の第1では「富岡署は、平成12年7月7日に本件会社に対する定期監督をしたばかりであったところ、検討の結果、日をおかずに再度監督を実施することは不適当と考え」という文節が付け加えられている。
被告第1準備書面の第3 1(3)では、「本件会社による内部告発者の犯人捜しが行われることが懸念されることから」という表現が新たに付け加えられている。


② 本件会社と夫との示談を富岡署の職員Aが仲介した件について

示談について・・・・未払いの時間外手当について、富岡署の職員が、本件会社と夫との間に入り、金額の折り合いをつけるための連絡等を行ったこと。労働基準監督署が行っているのだから、未払い賃金についての交渉であると、私と夫は認識していたが、民事上の和解を含むということを、示談当日の最終段階で突然伝えられ、不本意な示談で処理された。


平成14年2月の朝日新聞記者の取材に対し富岡署の署長は「示談は、厚意でやった。」。(甲第8号証)
その後の福島労働局職員の説明では、「示談はしていない。」。(甲第8号証)
平成15年12月の福島労働局監督課長の回答では、「双方が、監督署を話し合いの場としたものであります。監督署が示談について、厚意ですることはおろか、示談交渉の当事者や、仲介人になることはありえないことです。」。(甲第9号証、乙A第13号証)

その後、裁判になり、私が示談交渉の際の一部始終を主張すると、
一審の被告第2準備書面では「富岡署の職員Aは、両者の話し合いがまとまりつつあったことから、これを署長に報告するため席をはずしたものである。」
(つまり、示談成立の瞬間には、同席はしていなかったというのが行政の主張です。ここまでくると、もうですね。もちろん、実際には、席などはずしていませんよ。


これらから明らかなように、行政の主張は、行政に都合がよいように、しだいに改良を重ね、こじつけられているのです。そのほかにも、国の主張は、日付がでたらめだったり主張に整合性がなかったりと、私は、事件の記録などの客観的証拠に基づいて、ずさんな行政の実体を明らかにしました。
それにもかかわらず、一審判決で採用した証拠は、下記の証言でした


(一審判決の抜粋『第4 当裁判所の判断』より)
『夫があくまで自らの意思に基づいて退職したものであると認められること(乙A15,証人A)、また、夫がCに対し「本件会社に対する申告処理については、監督所はよくやってくれた。示談を行ったのは本件会社と私(夫)であって、監督署が仲介をして金額を決めたのではない」、・・・(省略)・・・(乙A16,証人C)を考慮した場合、原告が、富岡署の対応の如何について福島労働局等の上部機関に対して独自に調査を求めること自体に当否に疑問が生じるところであり、その結果、原告に精神的苦痛が生じたとしても、それについて、原告が法的補填を求めることはできないものというべきである。』



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5コメント

Xさんでしょうか

冒頭の命題について

メモに基づいて証言することは民訴法203条で禁止されているのでYさんの証言は信用することが(証拠とすることが)できないと思います。

なのでXさんでしょうか。
コロコロ変わるうちのどの部分を事実として認定するかという問題はあると思いますが

Edit
M Minerva

誤解されそうな表現ですみません。

ご指摘ありがとうございます。
誤解されないようにご説明しますと・・・
「主張」というのは、通常の裁判における準備書面等の書面での「主張」のことを指し、それは、書証として提出した記録やメモに基づいて作成されているということです。
それで、「証言」といいますのは、証人尋問の際の証人の「証言」ということになります。

Edit

やっぱり

そうだとは思いました。つまらない突っ込みでしたね。

お気持ちは伝わるのですが、裁判官という役人には通じるのかなぁと思います。

まずは、弁護士が代理人に付いた方と、本人訴訟では、やはり法曹同士で建てるのではないでしょうかね。本人訴訟の当事者は不利かなと思います。
結構無茶な判決を見たことありますし・・・。

それでも、まだ「検察」より「裁判所」の方がましだと思いますけどね。。。

また、来ます。

Edit
M Minerva

どうやら、原因は “ヒラメ裁判官” のようです。

一審判決の後、「裁判が、おかしい!どこか変だ?」と不信感を抱いた私は、ネットで調べたり、関連の本を手当たり次第に読みました。

それらには、本当にひどい裁判の例が載っていました。
それでも、“まさか、こんなことがあり得るはずがない。私には、まだ二審があるし、今度こそ、裁判所が正しい判断をしてくれるはず。”と信じていました。

ところが、二審判決もまた控訴棄却、しかも、判決理由は、今回の刑事告訴の要因にもなったようなありさまです。
まさに、本に書かれていたようなことが、日本の裁判の実情なのだと痛感しています。

なぜ、おかしな判決が書かれるのか?
特に、日本評論社 『裁判が日本を変える!』 生田暉雄(元裁判官)著には、そのメカニズムが詳しく記されており、私も思わず、目からウロコでした。

どうやら、国家賠償訴訟においては、「ヒラメ裁判官」の一言に尽きるようです。


Edit
ろーずまりー

バイオレットさんへ

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