公務員に都合がよいように作成・適用されている国家賠償法 (一審・3)
残念ながら、判例(最高裁昭和53年10月20日判決・民集32巻7号1367ページ)では、国が国家賠償法1条1項の責任を負うとした場合には、その責任主体は国であって、公務員個人に対して損害賠償請求をすることができないとしています。
違法行為をして損害を与えた公務員が、損害賠償責任を負わないのはおかしいのではないかと思うかもしれまが、それは次のふたつの(政策的な)考え方によります。
① 加害公務員に賠償金を支払うだけの資力がなければ、被害を受けた私人は賠償金を得ることができなくなるので、行政が賠償責任を負う。
② 公務員が賠償責任を負わされたのでは、公権力の行使が消極的になってしまい、それは公共の福祉のために決しての望ましいことではない。
(『行政法入門(藤田宙靖著、有斐閣)』 参照。)
しかし、私の国家賠償訴訟においては、単に損害賠償のみを目的としているわけではなく、真相の究明も主要な目的としていましたので、加害公務員が訴訟に参加しないのであれば、真相の究明に著しく支障をきたすことになると考え、あえて、2人の公務員を被告に加え、国と、具体的には富岡労働基準監督署の署長と担当職員の三者を被告としました。
公務員個人を被告とすることについて、もう少し付け加えますと、
公務員の悪質性が高い場合には、公務と無関係な行為として、国家賠償法1条ではなく、民法709条による公務員の個人責任が認められるとする学説もあるようです。
国民に対する公権力の適切な行使が保障されるためにも、加害公務員を必要以上に保護する必要性はまったくないのです。
(行政救済法講義(第2版)の要約 芝池義一 http://homepage2.nifty.com/and-/text/8.htm 参照。)

ということで、裁判所に提出した私の訴状は、国(代表者 法務大臣)と2名の労働基準監督署の職員に送達され、それに対する答弁書が、第1回口頭弁論の5~6日前に、三者からそれぞれ届きました。
本に書いてあったような予想通りの内容の答弁書でした。
しかし、三者の答弁書は、どういうわけか、被告本人の名前の部分が違うだけで、内容が、一字一句同じでした。(このことに関しては、次回にでも詳しくお伝えします。)
尚、労働基準監督署の職員2名の答弁書には、上述した公務員個人の責任を問うことは不適切で、被告適格を誤っていて不当であるということが、書き加えられていました。
被告らの答弁書には、改めて準備書面で主張するということで、原告適格と被告適格に対する反論以外は、訴状に対する簡単な認否が書かれているだけでしたので、それに対する私の主張を第2準備書面として、第1回口頭弁論の前日に提出しました。


でも、それで怖じ気(おじけ)づいたりはしていません。“何人いようが、私が正しいのよ。負けないぞーっ。” と闘志満々

この続きは、次回に。
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