政治と司法

対米従属から脱却するチャンスをつぶした 立花隆さん

ジャーナリストで評論家の立花隆さんが4月30日に亡くなりました。
理系、文系の垣根を超えた幅広い分野で執筆活動を続け、「知の巨人」と称された立花さんについて、ほとんどのメディアは、その功績をたたえてているようですが、果たして、それが正しい評価なのでしょうか。


その立花さんが一躍有名になったのが、1974年(昭和49)10月発売の『文芸春秋』11月号での特集「田中角栄研究――その金脈と人脈」の発表でした。故田中角栄首相の金権政治の実態を明らかにし、首相の退陣、ロッキード事件摘発のきっかけとなった記事です。

ロッキード事件は、表面的には、当時の田中角栄首相が、ロッキード社の新型旅客機の受注を巡って5億円を受け取ったとされる受託収賄事件ということになっていますが、いくつかの文献を読むと、単なる一企業による贈収賄事件ではなく、CIAが関与した特殊工作事件であることが読み解けます。

ロッキード事件の本質、つまり何のために田中角栄氏が貶められたのか、さらに田中角栄氏の刑事裁判が憲法や刑事訴訟法を無視した如何に異常な裁判であったかを知れば、田中角栄氏を貶めるきっかけを作った立花さんの存在は、その後の日本の行く末を大きく捻じ曲げてしまった負の遺産として着目されなければなりません。

ロッキード事件の詳細、特に当時の日本の政界の動きについては平野貞夫氏の「田中角栄を葬ったのは誰だ」に詳しく記されていますし、角栄氏の事件の捜査・裁判が、いかに異常であったかについては、小室直樹氏の  『田中角栄の遺言 (官僚栄えて国滅ぶ)』 の最終章「第六章 暗黒裁判だった角栄裁判(江戸時代のままの日本人の法意識こそ問題)」に記されています。

それらから、ロッキード事件の本質的な流れを追ってみたいと思います。(敬称略)

三木武夫政権下の昭和51年2月5日、朝日新聞が、ロッキード社が約30億円の対日工作資金を右翼の政治家 児玉誉士夫と商社 丸紅に渡していたことが、アメリカ上院多国籍企業小委員会で明らかにされたと報じました。
これがロッキード事件の発端とされています。


事件は、とりわけ田中角栄に渡ったとされる5億円のことばかりが取り沙汰されることになりますが、実は、別にもうひとつのルートが存在していました。
ロッキード社は児玉誉士夫を通じて防衛庁に次期対潜哨戒機を、丸紅を通じて全日空にトライスターをそれぞれ売り込もうとしていました。
児玉ルートは、当時の幹事長だった中曽根康弘につながり、丸紅ルートは友人の小佐野賢治を通じて田中角栄につながっていました。
708万5000ドル(約21億円)は児玉誉士夫に贈られ、322万3000ドル(約10億円)が丸紅に贈られています。さらに、報道関係者に都合のよい記事を流すためか、日本の広報関係のI・D社に15万ドルが支払われています。


2つのルートのうち、贈られた金額からみても児玉誉士夫ルートの方が本命であったはずですが、不思議なことに、巨額のコンサルタント料を受け取り政界工作を行ったとされる児玉ルートの方が、事件発覚後わずか10日ほどで、事実上、捜査の対象外になってしまうのです。
それは、児玉誉士夫が脳梗塞のため重度の意識障害を起こして証人喚問に応じられなくなったという理由からでした。


ところが、真実は違っていたようです。
証人喚問に児玉誉士夫が出席できるかを見極めるために国会から医師団が派遣されることになっていましたが、その直前に児玉誉士夫に、意識障害を起こす睡眠剤が東京女子医大の教授によって注射されていたことが、平野氏の著書から分かります。
誰が犯罪的な医療行為を指示したのか?
平野氏は、著氏の中で、児玉再度とコンタクトができ、国会運営を事実上仕切れる人物として、当時の中曽根康弘自民党幹事長ではないかと確信していると述べています。


ここで、児玉誉士夫がどんな人物であったかを知れば、国内だけではない、さらなる陰謀の背景が見えてきます。

児玉誉士夫は敗戦後にA級戦犯として3年余りにわたって巣鴨拘置所に収監されており、釈放に際してCIAとの間に黙約があったと見られています。この辺のことは安倍晋三氏の祖父の岸信介と同じような経緯をたどるのですが、児玉誉士夫は、その後、一貫して政界の裏のキーマンとして活動していたようです。

CIAが行う秘密工作のためにの資金を移すためのトンネル機関としてディーク社という会社があったのですが、1969年6月、その会社はロッキード対日工作の為替業者になっています。それは児玉誉士夫がロッキード社の秘密代理人になった半年後のことでした。それから1975年1月までの間に総額、約830万ドルがディーク社を通じて日本に持ち込まれています。そのうち約700万ドルが児玉の手に渡りロッキードの秘密工作に使われることになるのですが、それらをCIAは承知していたようです。

ロッキード事件の本質を見定めるために、田中角栄の政治にも目を向けてみます。

日本は大戦に敗北してポツダム宣言を受託し、アメリカ軍に占領されるという屈辱的な時期を経て、国家の根幹である安全保障はもちろん政治や経済も勝者アメリカの従属下にありました。在日米軍基地、日米安保条約、日米地位協定を見ても、今も尚、アメリカの従属下にあることは、賢明な日本人なら認識するところです。

田中政治の一面は、対米従属から脱却して日本の自立を目指すものでした。
ロッキード事件は、日本の独立を志向する田中角栄がアメリカの逆鱗に触れた、つまり「アメリカの虎の尾を踏んだ」ことから仕掛けられたと見るのが、もっとも妥当な見方のようです。


さらに、田中角栄を貶めるために加担したのが日本の司法組織である検察や裁判所です。
日米司法取引によって嘱託尋問という違法行為を行ったのです。しかも、ロッキード社副社長のコーチャンへの嘱託尋問で、偽証をしても偽証罪、贈賄罪で起訴しないという刑事免責の保証までつけました。
他にも、田中角栄の弁護側には、コーチャンに対する反対尋問の機会も一切与えられませんでした。これは、憲法違反に該当し、反対尋問がないまま、有罪判決がされました。
田中角栄の刑事裁判がいかに異常であったか、お分かりいただけると思います。


日本の司法がおかしいと思い、司法関係の文献を調べまくった時期がありましたが、田中角栄の暗黒裁判については、日本の司法の大きな汚点として必ず目に留まることになり、過去の当ブログでも取り上げています。
田中角栄氏の「暗黒裁判」

これらから、ロッキード事件は、行政権力と司法権力の犯罪によって田中角栄が貶められた事件といえます。

対米従属の現在の現状を見れば、田中角栄が葬られたことで日本の国益が損なわれたことは明白で、そのきっかけを作った立花隆さんの罪は極めて大きいと言えます。
立花さんがアメリカのエージェントであったのか、あるいは功名心から田中角栄を貶める記事を書いたのかどうかは定かではありませんが、対米従属から脱却するチャンスを摘み取ってしまったことは確かです。


それにしてもCIAの巨額の資金による大胆な政界工作には驚かされます。民意と異なる方向に動いていく現在の政治を見ていると、今も同じようなことが行われているのではないかと思わざるを得ません。


     

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