原発処理水の海洋放出をしようとしている愚かな政府
コロナ禍のドサクサに紛れて政府は、福島第一原発のタンクにたまり続けている汚染処理水の処分方法について、近く決定すると明言しています。
どうやら海洋放出の方針のようです。海洋放出となれば、福島や近隣の漁業者だけではなく、国民にも広く理解が得られなければなりません。政府が勝手に決めていいはずがありません。
コロナ対策を見てもわかるように、政府のやることと言えば、まったく科学的根拠に基づかない場当たり的な対応で、感染を拡大させてきたという前科があります。そのような政府が、独断で海洋放出の方針を決めるとなれば、将来的に取り返しのつかない重大な結果を招くことになります。
漁業者が懸念する風評被害が問題になるとか言われていますが、これは風評被害ではありません。明らかに国民の健康被害が発生する危険性が高まります。
さらに、国際問題にも発展し、近隣諸国から莫大な補償を要求されることにもなりかねません。
そもそも「処理水」とは、燃料デブリの冷却水と原子炉建屋およびタービン建屋内に流入した地下水が混ざり合うことで発生した汚染水を多核種除去装置(ALPS)で処理し、タンクに貯蔵しているもののことです。
処理されたものだから安全なのかというイメージをもつかもしれませんが、正確に言えば、「ALPSで処理されたが、放射性物質を含む水」ということになります。
処理水には何が含まれているのでしょうか?
東京電力の試算では、約860兆ベクレルのトリチウムが含まれているということです。
トリチウムについては、世界の原子力発電所からも海洋放出されているという実態があり、原発事故前には福島第一原発からは、年間2.2兆ベクレルのトリチウムが海に放出されていましたので、処理水には、その約390倍の量が含まれているということになります。
ALPSではトリチウム以外の放射性物質を取り除くことができるとされていました。
ところが、2018年8月の共同通信などメディアのスクープにより、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90などそれ以外の核種も基準を超えて残存することが明らかになりました。
その後の東電の発表により、現在タンクにためられている水の約7割で、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍となっています。東電は海洋放出する場合は二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしています。

トリチウムとは、水素の同位体である「三重水素」で、陽子1個と中性子2個から構成されます。半減期12.32年の放射性物質で、ベータ崩壊をし、ヘリウムに変わります。
放出するエネルギーは小さく、最大で18.6keVで、セシウム 137 の最大値512keVの30分の1程度です。トリチウムは自然界にも水の形で存在しますが、核実験や原発施設からの放出によって増加しています。

トリチウムの影響については専門家でも意見が分かれていて、政府は、「水と同じ性質を持つため、人や生物への濃縮は確認されていない」としています。
しかし、トリチウムが有機化合物中の水素と置き換わり、食物を通して、人体を構成する物質と置き換わったときには体内に長くとどまり、近くの細胞に影響を与えること、さらに、DNAを構成する水素と置き換わった場合には被ばくの影響が強くなること、トリチウムがヘリウムに壊変したときにDNAが破損する影響などが指摘されています。
東電福島第一原発で増え続ける、放射能を含んだ「処理水」 Q&A
一方、政府は食品安全基準を現行の100Bq/kgから10倍の1000Bq/kgにしようと画策しています。
処理水の海洋放出で、魚介類の汚染が酷くなることを想定して基準を緩和しておこうということのようです。
処理水の海洋放出しか、手段はないのでしょうか。
実は、石油備蓄などに使われるような大型タンクによる長期安定的な保管する案や、モルタル固化処分などの代替案などもあるのですが、いずれについても検討されていません。これらは費用がかかるようなので、安価な海洋放出にしようということのようです。
まったく愚かとしか言えない政府の対応です。
※ このような情報があります。
4月12日は15:30から、首相官邸前にて、「汚染水を海に流すな!」緊急アクションを予定しています。マスク着用など、十分に感染予防対策をしつつ、ご参加ください。(緊急アクション呼びかけ団体:原子力規制を監視する市民の会、国際環境NGO FoE Japan ほか)


どうやら海洋放出の方針のようです。海洋放出となれば、福島や近隣の漁業者だけではなく、国民にも広く理解が得られなければなりません。政府が勝手に決めていいはずがありません。
コロナ対策を見てもわかるように、政府のやることと言えば、まったく科学的根拠に基づかない場当たり的な対応で、感染を拡大させてきたという前科があります。そのような政府が、独断で海洋放出の方針を決めるとなれば、将来的に取り返しのつかない重大な結果を招くことになります。
漁業者が懸念する風評被害が問題になるとか言われていますが、これは風評被害ではありません。明らかに国民の健康被害が発生する危険性が高まります。
さらに、国際問題にも発展し、近隣諸国から莫大な補償を要求されることにもなりかねません。
そもそも「処理水」とは、燃料デブリの冷却水と原子炉建屋およびタービン建屋内に流入した地下水が混ざり合うことで発生した汚染水を多核種除去装置(ALPS)で処理し、タンクに貯蔵しているもののことです。
処理されたものだから安全なのかというイメージをもつかもしれませんが、正確に言えば、「ALPSで処理されたが、放射性物質を含む水」ということになります。
処理水には何が含まれているのでしょうか?
東京電力の試算では、約860兆ベクレルのトリチウムが含まれているということです。
トリチウムについては、世界の原子力発電所からも海洋放出されているという実態があり、原発事故前には福島第一原発からは、年間2.2兆ベクレルのトリチウムが海に放出されていましたので、処理水には、その約390倍の量が含まれているということになります。
ALPSではトリチウム以外の放射性物質を取り除くことができるとされていました。
ところが、2018年8月の共同通信などメディアのスクープにより、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90などそれ以外の核種も基準を超えて残存することが明らかになりました。
その後の東電の発表により、現在タンクにためられている水の約7割で、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍となっています。東電は海洋放出する場合は二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしています。

トリチウムとは、水素の同位体である「三重水素」で、陽子1個と中性子2個から構成されます。半減期12.32年の放射性物質で、ベータ崩壊をし、ヘリウムに変わります。
放出するエネルギーは小さく、最大で18.6keVで、セシウム 137 の最大値512keVの30分の1程度です。トリチウムは自然界にも水の形で存在しますが、核実験や原発施設からの放出によって増加しています。

トリチウムの影響については専門家でも意見が分かれていて、政府は、「水と同じ性質を持つため、人や生物への濃縮は確認されていない」としています。
しかし、トリチウムが有機化合物中の水素と置き換わり、食物を通して、人体を構成する物質と置き換わったときには体内に長くとどまり、近くの細胞に影響を与えること、さらに、DNAを構成する水素と置き換わった場合には被ばくの影響が強くなること、トリチウムがヘリウムに壊変したときにDNAが破損する影響などが指摘されています。
東電福島第一原発で増え続ける、放射能を含んだ「処理水」 Q&A
一方、政府は食品安全基準を現行の100Bq/kgから10倍の1000Bq/kgにしようと画策しています。
処理水の海洋放出で、魚介類の汚染が酷くなることを想定して基準を緩和しておこうということのようです。
処理水の海洋放出しか、手段はないのでしょうか。
実は、石油備蓄などに使われるような大型タンクによる長期安定的な保管する案や、モルタル固化処分などの代替案などもあるのですが、いずれについても検討されていません。これらは費用がかかるようなので、安価な海洋放出にしようということのようです。
まったく愚かとしか言えない政府の対応です。
※ このような情報があります。
4月12日は15:30から、首相官邸前にて、「汚染水を海に流すな!」緊急アクションを予定しています。マスク着用など、十分に感染予防対策をしつつ、ご参加ください。(緊急アクション呼びかけ団体:原子力規制を監視する市民の会、国際環境NGO FoE Japan ほか)


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