なぜIOCが 中国ワクチンを提供するのか?
これを聞いたとき、一瞬、驚きました。
何しろ中国といえば、香港の民主化運動への弾圧や、海洋進出、少数民族に対する集団虐殺とか、多くの政治的問題をかかえていて、どこか信用できない国家だというイメージがあるせいか、ワクチンについても、「ワクチン外交」だとか中国ワクチンのPRだとか揶揄され、あまり良い印象を与えていないように思っていたからです。
WHOならともかく、IOCまでもがその中国の肩を持つのかと耳を疑いました。
しかし、次の瞬間、「そうか!」と納得してしまいました。
中国の提案を受け入れた理由について、バッハ会長は「どこの国の製造かは関係ない。重要なのは、有効か、副反応がないかだけ。求められているのは連携だ」と説明したということです。
「有効か、副反応がないか」、これ案外、正鵠を射ているのかもしれません。
IOCはワクチンについて、十分に調査した上での判断だったのではないかと・・・・。
下記の図からも明らかなように、ほとんどの国がmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンを製造している中で、従来型の不活化ワクチンを製造しているのは中国だけです。

mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンについては、これまで人への使用実績がない、あるいは使用実績があっても少ないので、まさに今、人体実験をやっているような状態です。さらに、将来的な副反応につていは誰にも予測できず、安全性に懸念があります。一方、不活化ワクチンのような従来型のワクチンでは、副反応が予測でつきますし、長期的な安全性については検証済みです。
そういう意味では、ワクチンの効果が多少落ちても、安全性を重視すれば不活化ワクチンということになるのではないでしょうか。
2月時点で、中国内で認可が得られているワクチンは4種類です。国有製薬大手の中国医薬集団(シノファーム)傘下の北京生物製品研究所、同様に、武漢生物製品研究所、製薬大手の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)傘下の北京科興中維生物技術による不活化ワクチン3種類と、製薬会社の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)によるウイルスベクターワクチン1種類です。
【中国】コロナワクチン2種承認、計4種に[医薬]
これらのワクチンから、どれが提供されるかは不明ですが、たぶん不活化ワクチンが提供されるのではないかと推測されます。
人の命や健康に、優劣とか優先順位をつけることは好ましいことではありませんが、オリンピック選手のような、人類の限界に挑むような貴重な逸材、あるいは国を代表する記録の保持者となれば、将来的な可能性をつぶすことができませんから、当然、少しの副反応が生じることも許されないはずです。
だからこそ十分な安全性を考慮して、中国の(たぶん)不活化ワクチンを選んだのではないかと考えられるのです。
中国製のワクチンでも、少数の死亡例があるようですが、ワクチンとの明確な因果関係は不明です。
尚、核酸ワクチンについては、下記のような図を見つけました。
ワクチン接種について、どのような選択をするかは、十分な情報を得たうえで、ひとりひとりが考え判断しなければならないことは言うまでもありません。



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