合議体で判断が食い違った場合 誰の判断が優先されるの?
上訴審で判決が覆ったり、判決理由がまったく異なってしまったこれらふたつの裁判(痴漢裁判では一、二審,国家賠償訴訟では一審)に共通していえることは、被害者あるいは被告一方の供述(証言)のみを証拠として採用し、鑑定結果や書証などの客観的証拠をまったく無視している点にあります。
ですから、このような裁判が行われた場合、判決は、裁判官の主観に左右され易く、判決を恣意的にコントロールすることが可能になるのです。
これらふたつの裁判において、供述(証言)のみを証拠として採用するという、極めて誤判のリスクが高い手法をとったことについては疑念を抱かざるを得ませんが、司法が、一応三審制をとっており(最高裁が、すべての事件の裁判資料を読んでいるかどうかは疑わしいため“一応”をつけますが)、厳正な判断を求められる機会が複数回保障されているので、判決が覆ったり、判決理由が異なってしまうことは十分あり得ることです。
しかも、裁判官は自由心証主義のもとに判断するので、私が一審の証拠採用の妥当性や事実認定の不審さを非難するだけでは、単なる素人の思い込みとしか受け取られかねません。
刑事告訴の対象となった二審判決は当然非難されるべきものであるとしても、それだけにとどまらず、一審判決まで、自信たっぷりに私が批判するのには、それなりの理由があるからなのです。
それは、裁判が途中から合議体になり変則的であったことに加え(詳細は後述)、裁判長と担当裁判官との意見の食い違いが、はっきりと読み取れたからなのです。
二審については、たった一度の口頭弁論で結審となりましたので、裁判の流れを把握する機会はなく、どのような経緯で判決に至ったかは、まったくわかりませんでした。
ところが、一審は、5回の口頭弁論、3回の弁論準備手続き、証人尋問、判決という経緯を辿りましたので、その裁判の進行状況、裁判官の発言や表情、被告当事者や代理人の様子などから、それぞれの裁判官の考えや裁判の成り行き、判決に至る流れが読み取れました。
また、裁判が始まった当初は単独の裁判官で行われており、裁判の方向性がほぼ決まりかけたところで、その裁判官が転勤になり、それ以降は、新たな3人の裁判官の合議体で行われました。
素人であることに配慮してくださった裁判官がいる一方で、提出した書面を本当に読んでくれたのかどうかと疑問を感じた裁判官、裁判長と担当裁判官との判断の隔たり・・・・・
(これまで、国家賠償訴訟については、大局的な見地から論じることが多く、私の裁判にかかわった裁判官のほとんどがヒラメであるかのような印象をもたれている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。)
さらに、一審判決に至るまで1年9ヶ月を要したわけですが、判決直前までの裁判の流れとは、まったく異なる予想外の判決、さらに、最も想定外の証拠の採用・・・・・
一審の福島地裁いわき支部判決には、様々な要素が含まれていて、判決に関しては不信感と疑問ばかりが残りました。
その疑問のひとつは、合議体で裁判官の判断が異なったとき、いったい誰の判断が優先されるのでしょうか(?)ということです。
裁判長の判断であるのか? それとも、提出された書面や資料にていねいに目を通した担当裁判官の判断であるのか?
私の一審では、裁判長の判断が優先されました。
そして、それは、裁判で国が提出した資料等から労働基準監督署を巡る一連の事件の真相を知ることができた私にとっては、真相とまったく相反する判決であったのです。
つまり、裁判で提出された国の書証等から、事件の真相を、私は、ほぼ把握することができたわけですが、裁判所の判決は、まったく真相を捉えていなかったということになります。
このような結論に至ったことについては、合議体の裁判の意義についても疑念を抱かざるを得ません。
もしかしたら、不当判決の責任を分担するために存在するのではないかと・・・
そうなると、裁判員制度も、死刑判決のような重大な責任を国民に押し付けるための制度ではないかと思えてなりません。

- 関連記事
-
- 記録到着通知書! 押印が先ですか or 印刷が先ですか? (2009/06/15)
- 最高裁判所内郵便局員の説明は まったくの嘘でした! (2009/06/08)
- 最高裁からの郵便物って とっても変なんですよ! みなさんのは大丈夫? (2009/06/03)
- 合議体で判断が食い違った場合 誰の判断が優先されるの? (2009/04/28)
- 痴漢冤罪裁判との共通点 (一躍ヒーローになった最高裁第三小法廷ではありますが・・・) (2009/04/21)
- サンプロ出演の田中真紀子氏 司法の本質をズバリ! (2009/03/12)
- 上告の際の訴訟費用って 公平さに欠けていますね! (2009/03/02)