偽装上告審を暴く端緒となった調書(決定)の押印
確かに無駄な押印が廃止されれば、利便性が向上することは明らかですが、押印が廃止されることで最もメリットがあるのは、公文書を扱う司法・立法・行政の組織ではないでしょうか。
それでもなくても、財務省による文書の改ざんなど公文書の管理が杜撰なことは既に国民の知るところとなっていますが、その上、押印まで廃止となれば、役所は不正のやりたい放題になります。
当ブログが、裁判所による゛ある種の″不正に気がつく契機となったのも、ある押印からでした。
゛ある種の″と表現する意味は、不正裁判には大きく分けて2つの種類が存在するからです。
一つ目は、裁判所で実際に審理が行われるが、証拠や事実関係を無視したデタラメな結論付けがなされるケースです。
主に国家賠償訴訟や行政訴訟で多く見られるケースで、結論ありきでストーリーが作られ、その結論に沿う証拠のみが採用され、他の客観的証拠や事実関係との整合性が検証されるこは、ほとんどありません。
二つ目が、裁判所で審理をしていないにもかかわらず審理が行われたかのように装われ、訴訟費用が騙し取られるケースです。要するに「偽装裁判」ということになるのですが、最高裁への上告で、「上告不受理」「上告却下」となったケースのほとんどがこれに該当します。
この後者のケースを疑うようになった糸口が、調書に押されていた印です。
上告不受理の決定がなされた場合、最高裁から届く調書は、たったの2枚の用紙で構成されています。1枚目が書記官によって作成された調書本体で、2枚目が書記官の公印が押された書記官の認証となっています。
下記に示すように、その一枚目の「裁判長認印」と「書記官」にご注目ください。
〇の中に「印」という文字の㊞というゴム印が押されています。
インクのにじみ具合いから、「ここにハンコを押してください」という㊞の印刷ではなく、これ自体がゴム印の押印であることが分かります。
初めて見たときは、「こんなハンコもあるのか?!」とビックリしました。
※ クリックすると拡大します。



しかも1枚目と2枚目の紙の材質が明らかに異なるのです。
つまり、1枚目の調書本体と2枚目の書記官の認証が別々のところで作成され、一緒に綴じ合わされたものであることが推測されます。
「上告不受理」「上告却下」が、最高裁で審理されておらず「偽装上告審」であると考えられる根拠は他にもたくさんあります。
● 一審判決に不服があって控訴する際の控訴理由書は、二審が行われる高等裁判所に提出することになっているが(民事訴訟規則第182条)、二審判決に不服があって上告する際の上告理由書(上告受理申立理由書)は、二審判決を下した高等裁判所に提出することになっている(民事訴訟法第315条)。
よって、最高裁判所で審理される一部の事件と、大部分の「却下」あるいは「不受理」となる事件を選別するのは、その判決を下した高等裁判所になるのではないかと推測される。
● 二審の高等裁判所に提出した裁判資料が最高裁に到着したことを通知する「記録到着通知書」が当事者宛てに届けられるが、その郵便物には最高裁判所の管轄の郵便局の消印が押されていない。最高裁判所の普通郵便物は、本来、麹町支店が取り扱うことになっているが、最高裁判所からの記録到着通知書が入れられていた封筒には、「丸の内、marunouchi」の消印が押されており、記録到着通知書が最高裁判所以外から発送されている疑いがあり、実際には、裁判資料が、最高裁判所に届けられていないと考えられる。
他にも「偽装上告審」と考えられる根拠はたくさんあります。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
食材偽装の陰で 重大で悪質な「偽装上告審」!!
ところが、これとは違う調書の構成で、調書(決定)本体に「これは正本である。」の書記官の認証と公印があるケースが複数あることが、ネットで公開されている資料から知ることができました。
これらは事件の性質からも、最高裁で実際に審理されたと考えられ、「偽装裁判」には該当しないことが分かります。
「偽装上告審」の見分け方!!
さて、初めの例のように、「裁判長認印」と「書記官」の印に、なぜ㊞の奇妙なハンコを押す必要があったのでしょうか。
それは、調書(決定)の文書が、「上告不受理」を決定した最高裁の裁判官も、文書を作成したとされる書記官も居ないところで、別の人物によって決定され、作成されたためと考えるのが最も妥当です。つまり調書(決定)は偽造公文書ということになります。
ですから、上告審で、書記官の認証が別紙で添えてある場合には、真っ先に「偽装上告審」を疑うべきなのです。


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