カオスと化している日本の統治機構
その間にも、コロナの感染者の数は拡大する一方で、どのような方向性でコロナを収束へ向かわせようとしているのか、政府の方針はまったく見えてきません。
緊急事態宣言で外出自粛を求めたかと思えば、「Go To トラベルキャンペーン」で旅行を推奨するようなことをはじめたり、旅行はいいが帰省はダメとか、それぞれの大臣のいうこともバラバラです。
そこで存在感を高めているのが地方の知事で、国の無策を補うかのように有効な対策を打ち出している県もあれば、一方で、一部ですが明確な根拠もない不用意な発言で、県のみならず国民を混乱させるような知事も見受けられます。
日本の統治機構は無政府状態かカオスといったところでしょうか。
そもそも、このよな混乱を招いている大きな要因のひとつが、、コロナ対策に当たっている政治家や専門家といわれる人たちが、本来やるべき人がやるべき役割を果たさず、やらなくてもいい人が自分の領域外のことに口出しして、結果として誤った判断を誘発していることにあると思います。
前者の本来の役割を果たしていない人の筆頭が、なんといいましても安倍首相です。
コロナの感染が急激に拡大しているにもかかわらず、ろくな記者会見も開かなければ、コロナ対策のための国会も開こうとしません。
昨日、広島での平和式典に出席した後で、1か月半ぶりに臨んだ安倍首相の記者会見は、わずか15分程度、感染防止を国民にお願いするばかりで、国としての具体的な対策が示されることはありませんでした。
まったくやる気がないとしか思えません。
一部で安倍首相の健康不安説が広がっていますが、仮にそうであれば、早いところ辞任して使命感のある後任に任せるべきです。
とは言いましても、首相を辞めればただのオジサン、とは言わないまでも権力を失い、検察の捜査の手が及ぶことを恐れているのでしょうか。辞めるに辞められない状況に、一番迷惑を被っているのは国民です。
ところで、やる気のない安倍首相が、しなくてもいいことをした例があります。
それが、全国のほとんどの学校が休校になった休校要請です。実は、首相には休校を決める権限も要請する権限もありません。公立学校であれば、学校を管理・運営する教育委員会の権限です。突然の休校要請で、学校にも保護者にも多大な混乱を生じさせたことは明らかです。
それと、何の専門家なのか分からないようなことを発言している人のひとりが、新型コロナ対策分科会メンバーの釜萢敏氏です。
3日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」で玉川氏や岡田晴恵氏からも指摘されていましたが、純粋に医学の立場からではなく、経済状況も考慮に入れたうえで意見を発言している点に違和感があります。まるで、経済優先の安倍政権の意向を代弁しているかのような意見です。
まともな意見を言う専門家を排除し、政府寄りの専門家ばかりを集めていては、建設的な議論などできるはずがありません。
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そして、最近、とんでもない混乱を生じさせた人が、大阪の吉村知事です。
記者会見で商品をずらりと並べ、イソジンうがい薬にコロナウィルスを減らす効果があるということを大々的に発表したものですから、店頭やネット通販からはうがい薬が消え、本当に必要な人に行き渡らない状況を引き起こしました。
うがい薬が口腔内のウィルスを少なくすることは常識的にわかることでありますし、だからといって鼻や気道や細胞内に入り込んでしまったウィルスまで減少させることができるとは考えられません。普通の水でうがいしても、それなりの効果が得られるはずです。
当初は、松井市長、吉村知事の単なる目立ちたがりか株価操作の片棒を担いでいるのかと思っていましたが、もしかしたら別な目的もあったのかもしれません。
イソジンうがい薬の発売元は本社が大阪市にある塩野義製薬です。さらに開発にコロナワクチンの開発についても、吉村知事が宣伝していましたが、これも大阪大学と共同で開発を進めている大阪にあるアンジェスです。
地元企業を応援するのはいいのですが、行政の長が、特定の企業を取り立てて不確かな情報を基に紹介するのは筋違いです。
政治献金が目的なのかと思いたくなります。
行政が発表する情報だけでも様々な情報が入り乱れていますし、政府の機嫌をとるかのような滅茶苦茶なことを言うコメンテーターもいます。何が本当で、どういう行動をとるべきか、本質を見抜く能力、洞察力が求められます。


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