痴漢冤罪裁判との共通点 (一躍ヒーローになった最高裁第三小法廷ではありますが・・・)
最高裁判決後のテレビや新聞の報道では、『このケースでは目撃証言などがなく、証拠は女子高校生の供述だけであった。他の痴漢事件でも同様なケースが多く、検挙件数が増加している一方で、無罪になるケースも続出。』 として、痴漢事件の捜査や裁判の難しさを強調しているようでした。
そのときは、事件について、それ以上の詳しい事情を知りませんでしたので、無罪になった名倉教授には同情しつつも、仕方のない状況だったのかと思っていました。
ところが、19日のサンデープロジェクトに出演された名倉教授と弁護士の秋山賢三氏が話していた詳細な事件や裁判の状況を聞いて、あることに気がつきました。
それは、刑事と民事との違いこそはありますが、判決を導き出すための手法が、私の国家賠償訴訟のときと共通していたことでした。
共通点を列挙します。
① 客観的証拠に基づいた事実認定をしていない。
(痴漢冤罪裁判)
名倉教授の手から採取した検体のDNA鑑定をしたが、検察はそのような都合の悪い証拠を出さなかったし、裁判所も証拠を出すよう指示もしなかった。着衣の繊維鑑定では、犯行を裏づけるような証拠が得られていないにもかかわらず、証拠採用していない。
(国家賠償訴訟)
私が提出した書証や国が提出した書証には、私の主張を裏づけるものが多数あったが、完全に無視し採用しなかった。
② 供述のみを証拠として採用している。
(痴漢冤罪裁判)
有罪判決を出すために有利な被害者の供述のみを採用している。
(被害者は、検察と詳細、入念な打ち合わせをしており、単純なケースであるので、普通の能力を備えていれば、本当らしく、具体的、詳細、迫真的に供述することが可能であるとして、最高裁では疑いの余地があるとされた。)
(国家賠償訴訟)
一審判決において、国の主張が二転三転しているにもかかわらず、書証をまったく無視し、国の証人(加害公務員本人)の証言のみを証拠として採用している。
しかも、国の二人の証人は、嘘をもっともらしいストーリーに作り上げ、よく暗記したせりふを述べているという感じであった。
※ 共通していることは、結論がはじめから決まっており、それに合わせて証拠を採用していると思われる。
③ (痴漢冤罪裁判) (国家賠償訴訟)双方に共通していえることであるが、結論を導くための論理が、あらゆる角度から検証されることはなく、不自然であったり不合理な点があっても、もっともらしいある一側面だけを捉えて結論づけている。
④ 新たな事実や証拠が出されていないにもかかわらず、判決や判決理由がまったく変わってしまう。
(痴漢冤罪裁判)
一、二審が、被害者の供述をそれぞれ、十分信用できる、詳細かつ具体的であり疑問をさしはさむ余地がないとして有罪判決を下したが、最高裁は、信用性については、なお疑いを入れる余地はあるとして無罪を言い渡した。
(国家賠償訴訟)
一、二審判決ともに棄却ではあったが、判決理由がまったく異なった。
一審では、1年9ヶ月に及んだ裁判であったにもかかわらず、最終の裁判で行われた証人尋問の国の証人の嘘の証言を基に、事件の内容にはまったく触れることなく棄却とし、二審では、多少内容に触れたものの、判決理由が矛盾していたり、“裁判官により作られた控訴人の主張”が判決理由とされた。
以上のことより、これらふたつの裁判に共通して言えることは、これまでのブログの中で何度もお伝えしてきたことではありますが、 判決が、裁判官の主観に左右され、客観的な証拠に基づかない非科学的な手法によって、合理性の欠落した判決が導き出されているということです。
このような共通点のある痴漢冤罪裁判と国家賠償訴訟ではありますが、唯一の違いといえば、最高裁で取り上げられたことと不受理になったことでしょうか。
名倉氏が、防衛医大教授ということで、仮に職務にかかわる事件であるのなら、国に保護される立場の方であるとか、話題になった映画 『それでもボクはやっていない』 のモデルになった秋山弁護士が代理人であったことなどもあり、社会的にも注目され、最高裁の目に留まったのかどうかはわかりませんが、私としては、 「法の下の不平等」 を痛感しています。
これは、最高裁の注目の仕方にのみ焦点をあてたもので、名倉教授の無罪は確信していますのでお間違えなく・・・・

逆転無罪という極めて妥当な判決を下し、一躍ヒーローになった第三小法廷の裁判官のみなさんではありますが、私のデタラメの仙台高裁判決を確定させ、昨年、刑事事件として立件された(根拠もなく不起訴処分にされてはいますが)方々であることは、くれぐれもお忘れなく。
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