“兵糧攻め”を成功させるため 「裁判をするなら二審まで」
今月22日のNHKスペシャル「消えた弁護士たちー中国“法治”の光と影」を見ました。
経済成長とともに、人々の権利意識が高まる中国。習近平指導部は発足以来「法治」の徹底を掲げ、法に基づいて人々の利害の対立を処理し、社会の安定を図ろうとしている。その一方で、共産党支配に悪影響を与えるとみなされた人々への締め付けはかつてなく強まっているとも指摘されている。・・・・
(NHK HPより)
市民の権利を守る弁護士が次々と拘束され、長期間囚われたり、資格を取り消されるなど、人権派弁護士や活動家が厳しい締め付けにあっているという内容です。
中国共産党の一党独裁による政治の歪みを強調することで、日本の政治の健全性を際立たせようという狙いがあるのか、NHKのこの種の番組を見るたび、著しい違和感を覚えます。
公共放送であるのなら、他国のことを取り上げる前に、まともな法治国家とはいえない自国の現実にこそ目を向け、国民に伝えるべきだと思います。
今回お伝えすることも、NHKに取り上げていただきたいテーマの一つです。
原発訴訟が最高裁判所事務総局によって誘導され、訴訟自体が結論ありきの茶番のであることは、以前、当ブログでも取り上げています。
最高裁判所事務総局によって誘導される 結論ありきの原発訴訟
しかしながら、たまには、国民の目線に立った良心的な判決を下す裁判官も存在することは確かです。
特に日本の安全保障にかかわる問題や原発訴訟など、国の重要案件の方向性を決定するような裁判には、最高裁の意向通りの判決になるよう、最高裁が、国の方針に沿う判決を下すような裁判官を当該の裁判所に、事前に異動させておくということをやっています。
最高裁事務総局の方針に反するような判決を下した裁判官を左遷するなど、事後に報復措置をとるケースが消極的とすれば、国の方針通りの判決になるよう事前に人事異動するケースは積極的なケースといえます。
平成14年5月、福井地裁の樋口英明裁判長が、関西電力の大飯原発3、4号機の運転差止めを認めた歴史的判決を言い渡したしていますが、この控訴審判決が、今月4日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)であり、一審の運転差し止め判決を破棄し、差し止めを認めない逆転判決を言い渡しています。
昨年末の高浜原発 仮処分取り消し決定は 報復人事の産物か!!
大飯原発3、4号機、高浜原発3,4号機を巡るこれらの裁判に、前述の消極的なケースと積極的なケースの双方を見ることができます。
リテラの「大飯原発再稼働判決の裏側!運転差し止めの一審を覆した裁判所の策謀とは?一審判事の左遷、高裁判事と政権の関係…」から紹介します。
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(大飯原発訴訟 一審)
2014年5月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が関西電力 大飯原発3、4号機の運転差止めという画期的判決を出した。
↓
(高浜原発 一審 仮処分決定)
樋口裁判長は大飯原発訴訟の後、関西電力 高浜原発3,4号機の差止め訴訟を担当。2015年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分を出すのだが、その直後、名古屋家裁に“懲罰左遷”されてしまった。
(地裁から家裁への異動なので、降格人事と見るのが普通。)
↓
(高浜原発 一審)
後任の林潤裁判長は、樋口判決を覆し高浜原発の再稼働を決定する。
林裁判長はそれまでに東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任、また裁判所の人事権を握る最高裁事務総局にも席を置いたことがあるエリート。さらに、左右陪席の2人の裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。そんなエリート裁判官たちが福井地裁に赴任するというのは、通常ならあり得ないこと。つまり、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した樋口裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
↓
(大飯原発 控訴審)
当時の高裁裁判長は関電側に厳しい態度を取ったが、ほどなくその裁判長は転勤となり、次に着任してきたのが今回の判決を下した内藤裁判長だった。内藤裁判長は、当時の最高裁事務総局のトップである事務総長で現在は最高裁判事の戸倉三郎氏の司法修習同期の裁判官で、かつ大学の同窓でもある間柄なのだ。
実際、内藤裁判長は訴訟指揮を放棄するかのように争点整理もせず、原告側証人として出廷した地震学者の島崎邦彦氏が疑問点を指摘したにもかかわらず、その解明を行うどころか、裁判官は島崎氏に一言も質問することなく証人尋問を終え、住民側が求めた証人尋問を全て却下、その挙句、樋口判決を簡単に覆してしまった。
つまり電力会社や政府が“国策”として目指す再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し人事権を発動し、その後釜として自分たちのコントロールのきく人物を、原発訴訟の担当として送り込んだということだ。
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原発訴訟ではありませんが、私の国家賠償訴訟でも、良心的な裁判官のもとでほぼ決着がついたかに見えた一審、ところが、そこで被告国は次回の裁判の期日を大幅に引き延ばし、その間に年度末となり、担当だった裁判官はほかの裁判所に異動、年度が変わり、なぜか、そこから3人の裁判官による合議体に変更されます。それから判決が下るまで更に1年、高原章裁判長によるいい加減な訴訟指揮とデタラメな結論付けで、敗訴となってしまいました。
被告国の主張にとどめを刺し 最終決戦となった私の第5準備書面!(一審・11)
仕組まれた? 証人尋問
証拠採用の妥当性 ~一審の福島地方裁判所いわき支部判決~
さて、原発訴訟に話を戻しますが、高裁での「不当判決」に対し、原告住民はどのような行動をとったのでしょうか。
前述のリテラの記事から紹介します。
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「最高裁にはもはや何も期待できない」として、最高裁への抗議と不信任を突きつけ上告を断念。
住民側の声明文では、裁判所が「司法の責任を投げ捨て、福島第一原発事故の引き起こした現実から目を背け、正当な科学的議論にも背を向けて下された」と不当判決に対する「心の底からの怒り」を表明した。その上で最高裁が原発訴訟を担当する裁判官の研究会を開催し、「規制委員会の審査結果を尊重すべき」というメッセージを発してきたこと、樋口裁判官の後任として最高裁事務総局経験者のエリートを送り込むなど人事権を濫用して露骨な裁判への介入をしてきたことなどを指摘。「このような状況のもとで、もしも上告すれば、福島第一原発事故以後、初の最高裁の判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える」と「不当な最高裁判決を出させないこと」が、「現状での最良の戦術的選択」だという苦渋の判断をしたことを明らかにしている。
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なんて素晴らしい、原告住民の決断でしょうか
「上告すれば、福島第一原発事故以後、初の最高裁の判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える」と「不当な最高裁判決を出させないこと」が、「現状での最良の戦術的選択」だという苦渋の判断をした」ということは、もちろん最大の評価に値することですが、当ブログで度々指摘している通り、最高裁での上告審は偽装裁判と考えられ、最高裁の“不労所得”の大半を占めていると推測されます。
そのような手段で大金を手にしている最高裁が、世の中を思いのままにコントロールしていることは前回の記事でも紹介しています。
原告住民が、その財源を絶つ行動をとったということは、“兵糧攻め”を成功させるためにも賢明な選択であったといえます。
「裁判をするなら二審まで」、このことこそが、最高裁を弱体化する一つの戦術ではないかと考えています。
“裏金”に支えられている 日本の腐敗構造


経済成長とともに、人々の権利意識が高まる中国。習近平指導部は発足以来「法治」の徹底を掲げ、法に基づいて人々の利害の対立を処理し、社会の安定を図ろうとしている。その一方で、共産党支配に悪影響を与えるとみなされた人々への締め付けはかつてなく強まっているとも指摘されている。・・・・
(NHK HPより)
市民の権利を守る弁護士が次々と拘束され、長期間囚われたり、資格を取り消されるなど、人権派弁護士や活動家が厳しい締め付けにあっているという内容です。
中国共産党の一党独裁による政治の歪みを強調することで、日本の政治の健全性を際立たせようという狙いがあるのか、NHKのこの種の番組を見るたび、著しい違和感を覚えます。
公共放送であるのなら、他国のことを取り上げる前に、まともな法治国家とはいえない自国の現実にこそ目を向け、国民に伝えるべきだと思います。
今回お伝えすることも、NHKに取り上げていただきたいテーマの一つです。
原発訴訟が最高裁判所事務総局によって誘導され、訴訟自体が結論ありきの茶番のであることは、以前、当ブログでも取り上げています。
最高裁判所事務総局によって誘導される 結論ありきの原発訴訟
しかしながら、たまには、国民の目線に立った良心的な判決を下す裁判官も存在することは確かです。
特に日本の安全保障にかかわる問題や原発訴訟など、国の重要案件の方向性を決定するような裁判には、最高裁の意向通りの判決になるよう、最高裁が、国の方針に沿う判決を下すような裁判官を当該の裁判所に、事前に異動させておくということをやっています。
最高裁事務総局の方針に反するような判決を下した裁判官を左遷するなど、事後に報復措置をとるケースが消極的とすれば、国の方針通りの判決になるよう事前に人事異動するケースは積極的なケースといえます。
平成14年5月、福井地裁の樋口英明裁判長が、関西電力の大飯原発3、4号機の運転差止めを認めた歴史的判決を言い渡したしていますが、この控訴審判決が、今月4日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)であり、一審の運転差し止め判決を破棄し、差し止めを認めない逆転判決を言い渡しています。
昨年末の高浜原発 仮処分取り消し決定は 報復人事の産物か!!
大飯原発3、4号機、高浜原発3,4号機を巡るこれらの裁判に、前述の消極的なケースと積極的なケースの双方を見ることができます。
リテラの「大飯原発再稼働判決の裏側!運転差し止めの一審を覆した裁判所の策謀とは?一審判事の左遷、高裁判事と政権の関係…」から紹介します。
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(大飯原発訴訟 一審)
2014年5月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が関西電力 大飯原発3、4号機の運転差止めという画期的判決を出した。
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(高浜原発 一審 仮処分決定)
樋口裁判長は大飯原発訴訟の後、関西電力 高浜原発3,4号機の差止め訴訟を担当。2015年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分を出すのだが、その直後、名古屋家裁に“懲罰左遷”されてしまった。
(地裁から家裁への異動なので、降格人事と見るのが普通。)
↓
(高浜原発 一審)
後任の林潤裁判長は、樋口判決を覆し高浜原発の再稼働を決定する。
林裁判長はそれまでに東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任、また裁判所の人事権を握る最高裁事務総局にも席を置いたことがあるエリート。さらに、左右陪席の2人の裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。そんなエリート裁判官たちが福井地裁に赴任するというのは、通常ならあり得ないこと。つまり、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した樋口裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
↓
(大飯原発 控訴審)
当時の高裁裁判長は関電側に厳しい態度を取ったが、ほどなくその裁判長は転勤となり、次に着任してきたのが今回の判決を下した内藤裁判長だった。内藤裁判長は、当時の最高裁事務総局のトップである事務総長で現在は最高裁判事の戸倉三郎氏の司法修習同期の裁判官で、かつ大学の同窓でもある間柄なのだ。
実際、内藤裁判長は訴訟指揮を放棄するかのように争点整理もせず、原告側証人として出廷した地震学者の島崎邦彦氏が疑問点を指摘したにもかかわらず、その解明を行うどころか、裁判官は島崎氏に一言も質問することなく証人尋問を終え、住民側が求めた証人尋問を全て却下、その挙句、樋口判決を簡単に覆してしまった。
つまり電力会社や政府が“国策”として目指す再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し人事権を発動し、その後釜として自分たちのコントロールのきく人物を、原発訴訟の担当として送り込んだということだ。
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原発訴訟ではありませんが、私の国家賠償訴訟でも、良心的な裁判官のもとでほぼ決着がついたかに見えた一審、ところが、そこで被告国は次回の裁判の期日を大幅に引き延ばし、その間に年度末となり、担当だった裁判官はほかの裁判所に異動、年度が変わり、なぜか、そこから3人の裁判官による合議体に変更されます。それから判決が下るまで更に1年、高原章裁判長によるいい加減な訴訟指揮とデタラメな結論付けで、敗訴となってしまいました。
被告国の主張にとどめを刺し 最終決戦となった私の第5準備書面!(一審・11)
仕組まれた? 証人尋問
証拠採用の妥当性 ~一審の福島地方裁判所いわき支部判決~
さて、原発訴訟に話を戻しますが、高裁での「不当判決」に対し、原告住民はどのような行動をとったのでしょうか。
前述のリテラの記事から紹介します。
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「最高裁にはもはや何も期待できない」として、最高裁への抗議と不信任を突きつけ上告を断念。
住民側の声明文では、裁判所が「司法の責任を投げ捨て、福島第一原発事故の引き起こした現実から目を背け、正当な科学的議論にも背を向けて下された」と不当判決に対する「心の底からの怒り」を表明した。その上で最高裁が原発訴訟を担当する裁判官の研究会を開催し、「規制委員会の審査結果を尊重すべき」というメッセージを発してきたこと、樋口裁判官の後任として最高裁事務総局経験者のエリートを送り込むなど人事権を濫用して露骨な裁判への介入をしてきたことなどを指摘。「このような状況のもとで、もしも上告すれば、福島第一原発事故以後、初の最高裁の判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える」と「不当な最高裁判決を出させないこと」が、「現状での最良の戦術的選択」だという苦渋の判断をしたことを明らかにしている。
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なんて素晴らしい、原告住民の決断でしょうか

「上告すれば、福島第一原発事故以後、初の最高裁の判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える」と「不当な最高裁判決を出させないこと」が、「現状での最良の戦術的選択」だという苦渋の判断をした」ということは、もちろん最大の評価に値することですが、当ブログで度々指摘している通り、最高裁での上告審は偽装裁判と考えられ、最高裁の“不労所得”の大半を占めていると推測されます。
そのような手段で大金を手にしている最高裁が、世の中を思いのままにコントロールしていることは前回の記事でも紹介しています。
原告住民が、その財源を絶つ行動をとったということは、“兵糧攻め”を成功させるためにも賢明な選択であったといえます。
「裁判をするなら二審まで」、このことこそが、最高裁を弱体化する一つの戦術ではないかと考えています。
“裏金”に支えられている 日本の腐敗構造


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