最高裁判所自らが判例違反をしているんじゃないの!
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受験シーズン真っ只中ですね。
今回は、この受験に関係することなのですが・・・・
最高裁の判決にしては珍しく拍手を送りたくなるような、極めて妥当な判決があります。
それが、学納金返還訴訟(不当利得返還請求事件)です。
どんなものかと言いますと、(わかりやすく、私立大と国立大の例に置き換えて説明しますが)
私立大学に合格し、入学金や授業料を支払って入学手続きを済ませた受験生が、その後、国立大学にも合格たので、私立大学への入学を辞退した場合に、いったん支払った入学金や授業料などの返還を請求する訴訟のことです。
消費者契約法の施行前は、入学金や授業料の返還を一切認めない判決が支配的であったのですが、消費者契約法施行後の2006年11月27日の最高裁による判決以降は、入学金の返還は認めないが、入学金以外の部分(授業料、施設費等)については返還を認める判決が相次いで出ています。
入学金は「入学できる地位の対価」であり、入学辞退者であってもその地位を得ているため、大学は入学金の返還義務がありませんが、授業料、施設費、諸会費等は、「授業の受講や施設の使用に対する対価」であり、入学していない以上は辞退による損害を学校側が受けておらず、実害を超える賠償を禁止する消費者契約法に反するため、入学者が確保できる時期まで入学辞退を申し出れば、授業料等の返還義務あるというのが、おおかたの理由のようです。(ウィキペディア参照)
学納金返還の基準を示したともいうべき2006年11月の最高裁判決は、受験生の家族にとっては、本当にありがたい判決ではあるのですが、この判決を出した当の本人のことについてはどうなのでしょうか?
この判例が、私にとって気になるのは、上告の際に、上告不受理になったり、却下になったケースについて、訴訟費用が返還されないのはおかしいと思うからなのです。
確かに、訴訟費用の扱いについては、法律で定められていることですし、それを承知の上で上告をしているのですからと言われれば、それまでのことなのですが・・・・・
難しいことは抜きにして、単純に、訴訟費用が裁判所の対応に対する対価として妥当かどうか、わかりやすく言えば、訴訟費用が裁判所の対応に見合ったものであるかどうかという観点から、一般的な主婦の経済観念で表現してみたいと思います。
その前に、訴訟費用についての簡単な知識を頭に入れておいていただきたいと思います。
訴訟費用は、訴額(その訴訟で原告が請求する金額)によって決まりす。請求額が大きければ、それだけ訴訟費用も大きくなります。
また、控訴の際の訴訟費用は、一審のときの1,5倍、上告の際は、一審のときの2倍の訴訟費用がかかります。
私のケースで検証してみますと、
一審の裁判は、1年9ヶ月に及び、その間、合わせて10回近くの口頭弁論や弁論準備手続きがありました。
また、当初は、単独の裁判官で裁判をしていたのですが、途中からは合議体になり3人の裁判官で審理が行われました。
ですから、一審についてみれば、期間も長くかかりましたし、合議体になったからといって、訴訟費用が値上げされたわけではありませんので、変なたとえかもしれませんが、食べ放題のレストランで、二人前も三人前も料理を平らげたような、ちょっとお得な気分と言えるかもしれません。(あくまで、裁判の内容を無視してのことではありますが。)
二審の裁判は、合議体で行われますが、たった一度の口頭弁論が開かれただけで、結審となりました。
(二審判決は、例のデタラメ判決でしたので、ブランドのバッグを購入したつもりが、まったくの偽物だったということになりますが、その点については今回の記事の趣旨に外れるものなので、触れないでおきます。)
訴訟費用が1,5倍になったにもかかわらず、たった1度の口頭弁論で結審となり、一審と比較すると、かなり割高な感じがしますが、判決も書いていただきましたので、そんなに問題にするまででもないことかなと思います。
上告の際はどうかと言いますと、
最高裁から記録到着通知書が届いてから、およそ1ヶ月後、上告不受理の調書(決定)が届きました。
しかも、その調書(決定)は、わずか数行の決まりきった文面で、事件番号さえ変えれば、どの事件にも通用するようなものでした。
最高裁に提出する書面は、相手方(被上告人)が一人でも同じものを8通提出しなければならないので、複数の裁判官に読まれ審理されることを想定していると思われますし、そのような人件費なども考慮して、訴訟費用が一審のときの2倍になっているのかなとも考えられるのですが、
実際は、最高裁に上告される膨大な数の事件から考えると、最高裁に資料が届いてから、わずか1ヶ月の間に複数の裁判官に読まれることは不可能であると思われますし、私が、最高裁から福島地裁いわき支部に戻ってきた上告受理申立理由書を確認したところ、用紙の状態から、書面を読んだ痕跡が確認できませんでした(詳しくは『最高裁判所は 本当に裁判資料を読んでるの? ~裁判の不思議~』)。
私は、一審、二審の裁判を通じて、裁判が信用できないということを、ほぼ確信していましたので、上告の際に訴額をかなり下げたわけですが、それでも、けっこうな額の訴訟費用を納めました。
ですから、上告についていえば、高い訴訟費用を取られたあげくに騙されたというのが私の本音です。
仮に、上告された事件が、単独の裁判官によって、最高裁で審理すべきものか、そうでないものかを事務的に振り分けられるとするならば、審理する必要がないと判断された事件(上告不受理や却下になったケース)については、消費者契約法にしたがって、申立人に訴訟費用を返還すべきではないかと思います。
もっとも、ほとんど読まれていないとなれば、これは詐欺ということになるでしょうが。

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