原発事故判決では言及されなかった もう一つの重大な国の責任
東京電力福島第1原発事故の被災者約3800人が国と東電に総額約160億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国と東電に対し、総額約5億円を支払うよう命じました。
約1万2000人の避難者らが全国の地裁に起こした約30件の集団訴訟の中では3件目の判決になりますが、原告は福島県とその近隣の住民で、そのうち8割が事故後もその地にとどまった人たちで、同種の訴訟の原告数では最多になっています。
3月の前橋地裁判決は国と東電の賠償責任を認めて原告62人に総額約3800万円を支払うよう命じていますが、9月の千葉地裁判決は国の賠償責任を否定し、東電に、原告42人に対して総額約3億7600万円を支払うよう命じていました。
今回の訴訟で原告側は、空間放射線量を事故前の状態の毎時0,04マイクロシーベルト以下の水準に原状回復することや、実現するまで1人月5万円の慰謝料を請求し、訴訟の結審時まで総額約160億円支払うことなどを求めていましたが、原状回復の請求は却下され、賠償額も原告のうちの約2900人に1万円から16万円と、ごくわずかの支払いが命じられたにすぎません。
国家賠償訴訟における国の完全勝訴率がおよそ98%と推測される中、原発事故訴訟は国の責任を認めた稀なケースといえますが、その判決内容は、原告が受けた損害や、訴訟に期待するような賠償や対策からは程遠く、ある種のガス抜き的な側面しか感じられません。
判決では、政府機関が2002年に発表した地震に関する長期評価に基づき直ちにシュミレーションを実施していれば、敷地を大きく超える15,7mの津波を予見できたと指摘、国が2002年中に東電へ対策を命じていれば事故は回避できたとしています。
国と東電の責任については、原子炉施設の安全確保の責任は第一次的に原子力事業者にあり、国の責任は監督する第二次的なもので、国の賠償責任の範囲は東電の2分の1としています。
様々な報道から、今回の福島地裁判決のポイントとなるところをまとめてみると、大まかにこのようなことになるのですが、判決では言及されていない、原発事故が起こるに至ったもう一つの重大な要因について紹介します。
判決で、「1~4号機の非常用電源設備はこの高さの津波に対する安全性を欠き、政府の技術基準に適合しない状態だった。
経済産業省が規制権限を行使し、津波対策を東電に命じていれば、事故は回避できた。」と指摘しているように、津波対策は、原子炉冷却のための電源確保が最大の目的です。
そのことについて、原発事故の5年前に、国会質問でその可能性が指摘されていたにもかかわらず、当時の安倍首相が、対策の必要性を否定していたということが、リテラのサイトに掲載されていました。
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福島原発事故で、国と東電の責任を認める判決! あらためて言う、福島原発事故の主犯は安倍晋三だ より一部抜粋。
質問をしたのは共産党の吉井英勝衆院議員(当時)。京都大学工学部原子核工学科出身の吉井議員は以前から原発問題に取り組んでいたが、2006年から日本の原発が地震や津波で冷却機能を失う可能性があることを再三にわたって追及していた。3月には、津波で冷却水を取水できなくなる可能性を国会で質問。4月には福島第一原発を視察して、老朽化している施設の危険性を訴えていた。
そして、第一次安倍政権が誕生して3カ月後の同年12月13日には「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」を政府宛に提出。「巨大な地震の発生によって、原発の機器を作動させる電源が喪失する場合の問題も大きい」として、電源喪失によって原子炉が冷却できなくなる危険性があることを指摘した。
ところが、この質問主意書に対して、同年12月22日、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で答弁書が出されているのだが、これがひどいシロモノなのだ。質問に何一つまともに答えず、平気でデタラメを強弁する。
(省略)
そして、吉井議員がこの非常用電源喪失に関する調査や対策強化を求めたことに対しても、安倍首相は「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、(中略)経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と、現状で十分との認識を示したのだ。
重ね重ね言うが、福島原発が世界を震撼させるような重大な事故を起こした最大の原因は、バックアップ電源の喪失である。もし、このときに安倍首相がバックアップ電源の検証をして、海外並みに4系列などに増やす対策を講じていたら、福島原発事故は起きなかったかもしれないのだ。
だが、安倍首相はそれを拒否し、事故を未然に防ぐ最大のチャンスを無視した。これは明らかに不作為の違法行為であり、本来なら、刑事責任さえ問われかねない犯罪行為だ。
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安倍氏が総裁に返り咲いた直後の2012年10月、「サンデー毎日」(毎日新聞社)がこの事実を報道したが、安倍首相は、Facebookで記事は捏造だとする印象操作を行ったというのです。
さらに、2011年6月18日放送の『週刊ニュース新書』(テレビ東京系)の原発事故の責任を検証する企画で、第一次安倍内閣でも経産相をつとめ、原子力行政に深くかかわっていた甘利氏をインタビューし、その際に、吉井議員の質問主意書に対する安倍首相の答弁書の問題を追及すると、突然、甘利が席を立って、別室に姿を消し、さらに、記者にテープを消し、インタビューを流さないように要求したというのです。
この問題は、その後、甘利氏がスラップ訴訟としか思えない訴訟を起こし、責任追及の動きを封じ込めようとしたというから驚きます。
前述のサイトには、生々しいやり取りが掲載されていますので、興味のある方は、是非、ご覧ください。
それと、この判決で気になるのが、国の責任を第2次的なものとしている点です。
原発は、国策として推進してきたことは明らかで、その証拠となるのが、佐藤栄佐久元福島県知事の逮捕です。
プルサーマルを実施しないことを明言し、国や東京電力と闘っていた佐藤栄佐久元知事が、原子力行政に立ち向かっていたさなかの、2006年10月、木戸ダム建設工事に絡んで、ゼネコンの水谷建設から賄賂を受け取ったという収賄罪で逮捕・起訴されました。
この刑事裁判の判決は、実に不可解なものです。
二審では、土地取り引きの際の時価との差額を賄賂だとする検察側の主張は退けたものの、前知事らが得たのは「換金の利益」という無形の賄賂だとして、一審・東京地裁判決を破棄し、改めて懲役2年執行猶予4年の判決を言い渡しています。つまり、賄賂として認定される金額がゼロにもかかわらず有罪という、不思議な判決になっています。
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
何事も深く理解することはなく、上っ面だけの知識だけで口から出まかせを言い、官僚の作文の朗読、さらには平気で嘘をつくという安倍首相の無責任さが、すべての政策に現れています。
22日の衆議院議員選挙では、そのような政治に終止符を打つ必要があります。



約1万2000人の避難者らが全国の地裁に起こした約30件の集団訴訟の中では3件目の判決になりますが、原告は福島県とその近隣の住民で、そのうち8割が事故後もその地にとどまった人たちで、同種の訴訟の原告数では最多になっています。
3月の前橋地裁判決は国と東電の賠償責任を認めて原告62人に総額約3800万円を支払うよう命じていますが、9月の千葉地裁判決は国の賠償責任を否定し、東電に、原告42人に対して総額約3億7600万円を支払うよう命じていました。
今回の訴訟で原告側は、空間放射線量を事故前の状態の毎時0,04マイクロシーベルト以下の水準に原状回復することや、実現するまで1人月5万円の慰謝料を請求し、訴訟の結審時まで総額約160億円支払うことなどを求めていましたが、原状回復の請求は却下され、賠償額も原告のうちの約2900人に1万円から16万円と、ごくわずかの支払いが命じられたにすぎません。
国家賠償訴訟における国の完全勝訴率がおよそ98%と推測される中、原発事故訴訟は国の責任を認めた稀なケースといえますが、その判決内容は、原告が受けた損害や、訴訟に期待するような賠償や対策からは程遠く、ある種のガス抜き的な側面しか感じられません。
判決では、政府機関が2002年に発表した地震に関する長期評価に基づき直ちにシュミレーションを実施していれば、敷地を大きく超える15,7mの津波を予見できたと指摘、国が2002年中に東電へ対策を命じていれば事故は回避できたとしています。
国と東電の責任については、原子炉施設の安全確保の責任は第一次的に原子力事業者にあり、国の責任は監督する第二次的なもので、国の賠償責任の範囲は東電の2分の1としています。
様々な報道から、今回の福島地裁判決のポイントとなるところをまとめてみると、大まかにこのようなことになるのですが、判決では言及されていない、原発事故が起こるに至ったもう一つの重大な要因について紹介します。
判決で、「1~4号機の非常用電源設備はこの高さの津波に対する安全性を欠き、政府の技術基準に適合しない状態だった。
経済産業省が規制権限を行使し、津波対策を東電に命じていれば、事故は回避できた。」と指摘しているように、津波対策は、原子炉冷却のための電源確保が最大の目的です。
そのことについて、原発事故の5年前に、国会質問でその可能性が指摘されていたにもかかわらず、当時の安倍首相が、対策の必要性を否定していたということが、リテラのサイトに掲載されていました。
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福島原発事故で、国と東電の責任を認める判決! あらためて言う、福島原発事故の主犯は安倍晋三だ より一部抜粋。
質問をしたのは共産党の吉井英勝衆院議員(当時)。京都大学工学部原子核工学科出身の吉井議員は以前から原発問題に取り組んでいたが、2006年から日本の原発が地震や津波で冷却機能を失う可能性があることを再三にわたって追及していた。3月には、津波で冷却水を取水できなくなる可能性を国会で質問。4月には福島第一原発を視察して、老朽化している施設の危険性を訴えていた。
そして、第一次安倍政権が誕生して3カ月後の同年12月13日には「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」を政府宛に提出。「巨大な地震の発生によって、原発の機器を作動させる電源が喪失する場合の問題も大きい」として、電源喪失によって原子炉が冷却できなくなる危険性があることを指摘した。
ところが、この質問主意書に対して、同年12月22日、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で答弁書が出されているのだが、これがひどいシロモノなのだ。質問に何一つまともに答えず、平気でデタラメを強弁する。
(省略)
そして、吉井議員がこの非常用電源喪失に関する調査や対策強化を求めたことに対しても、安倍首相は「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、(中略)経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。」と、現状で十分との認識を示したのだ。
重ね重ね言うが、福島原発が世界を震撼させるような重大な事故を起こした最大の原因は、バックアップ電源の喪失である。もし、このときに安倍首相がバックアップ電源の検証をして、海外並みに4系列などに増やす対策を講じていたら、福島原発事故は起きなかったかもしれないのだ。
だが、安倍首相はそれを拒否し、事故を未然に防ぐ最大のチャンスを無視した。これは明らかに不作為の違法行為であり、本来なら、刑事責任さえ問われかねない犯罪行為だ。
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安倍氏が総裁に返り咲いた直後の2012年10月、「サンデー毎日」(毎日新聞社)がこの事実を報道したが、安倍首相は、Facebookで記事は捏造だとする印象操作を行ったというのです。
さらに、2011年6月18日放送の『週刊ニュース新書』(テレビ東京系)の原発事故の責任を検証する企画で、第一次安倍内閣でも経産相をつとめ、原子力行政に深くかかわっていた甘利氏をインタビューし、その際に、吉井議員の質問主意書に対する安倍首相の答弁書の問題を追及すると、突然、甘利が席を立って、別室に姿を消し、さらに、記者にテープを消し、インタビューを流さないように要求したというのです。
この問題は、その後、甘利氏がスラップ訴訟としか思えない訴訟を起こし、責任追及の動きを封じ込めようとしたというから驚きます。
前述のサイトには、生々しいやり取りが掲載されていますので、興味のある方は、是非、ご覧ください。
それと、この判決で気になるのが、国の責任を第2次的なものとしている点です。
原発は、国策として推進してきたことは明らかで、その証拠となるのが、佐藤栄佐久元福島県知事の逮捕です。
プルサーマルを実施しないことを明言し、国や東京電力と闘っていた佐藤栄佐久元知事が、原子力行政に立ち向かっていたさなかの、2006年10月、木戸ダム建設工事に絡んで、ゼネコンの水谷建設から賄賂を受け取ったという収賄罪で逮捕・起訴されました。
この刑事裁判の判決は、実に不可解なものです。
二審では、土地取り引きの際の時価との差額を賄賂だとする検察側の主張は退けたものの、前知事らが得たのは「換金の利益」という無形の賄賂だとして、一審・東京地裁判決を破棄し、改めて懲役2年執行猶予4年の判決を言い渡しています。つまり、賄賂として認定される金額がゼロにもかかわらず有罪という、不思議な判決になっています。
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
何事も深く理解することはなく、上っ面だけの知識だけで口から出まかせを言い、官僚の作文の朗読、さらには平気で嘘をつくという安倍首相の無責任さが、すべての政策に現れています。
22日の衆議院議員選挙では、そのような政治に終止符を打つ必要があります。



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