受診率の低い福島の甲状腺検査と 検査間隔の妥当性
福島県が行っている甲状腺検査については、データ収集の手法に問題があり、一つは甲状腺がんと診断される子供のカウントの仕方、もうひとつは甲状腺検査の精度に問題があるということを、前回、お伝えしました。
これらは、実際に検査は受けているが、そのそのデータ収集の方法に問題があって、甲状腺がんあるいはその疑いがある子供たちが、相当数、見落とされていないのではないかという問題ですが、今回、紹介するのは、検査すら受けていない対象者が相当数存在するという問題です。
2015年12月の資料なので、最新のデータではありませんが、2014年度から開始された本格調査の年代別受診率が公表されてるので紹介します。
2014年度の受診率は70,5%です。
2~7才 76,5%
8~12才 91,5%
13~17才 84,9%
18~23才 24,1%
年代によってかなりの差がありることがわかります。
データがどのように集計されたかはわかりませんが、小学生から高校までの集団検診を受診できる年代で8,9割というのは、かなり低い数値です。県外へ流出した子供たちの受診率が低いのでしょうか。
また、18歳以上の対象者には個別に受診案内を送付し、それぞれの都道府県の医療機関等でも受診できるようになっていますし、年に1~2回「甲状腺通信」というリーフレットを送付して検査への関心を持続できるようにしているということですが、受診率の低さには驚きます。
高校を卒業して学校での集団検診を受ける機会がなくなった18才以上の青年たちは対象者4万9237人中1万1858人しか受診していないということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」参照。)
甲状腺検査は、20才までは2年ごと、その後は5年ごとになっていますが、この間隔にも疑問を持ちます。
2015年3月31日までに癌もしくは癌の疑いの104名が手術を受け、うち97人を福島県立医大で実施しました。1例は良性結節と判明したが、96名は甲状腺癌でした。そのうち甲状腺全摘出が6名、片葉切除が90例で、全例にリンパ節郭清(悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法)を行っています。
病理診断では93例が乳頭癌、3例が低分子癌、リンパ節転移は23例が陽性であり、2例に多発性肺転移の疑いがあるということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」より)
早期に発見されれば、重症化しないですむことを考えれば、成人の5年ごとの間隔には疑問を持ちます。
さらに、原発事故当時、高校生だった人たちは、すでに高校・大学を卒業して社会人になっている対象者もおり、甲状腺検査のために時間を割くことは、より難しくなると考えられます。
検査のための有給休暇をとれるとか、職場の健康診断の際に甲状腺検査を実施するとかしなければ、受診率はますます低下するばかりです。
福島県の甲状腺検査については、前回から引き続きお伝えしていますが、とにかく、甲状腺癌、あるいは癌の疑いの患者がなるべく見つからないように、意図的に杜撰な検査体制がとられているとしか考えられません。対象者に大きな網目のネットをかけ、その穴から通り抜けた対象者は放置されるように仕向けられているとしか思えません。
被爆国であり、しかも重大な原発事故を経験しながら、いまだに原子力の軍事利用、総括原価方式による政治家、官僚、財界への資金の還流という古い体制に固執しているのが、安倍政権です。
福島の甲状腺検査の結果は、安倍政権が進める原発政策の大きな妨げになることから、そのような杜撰な検査体制がとられているのではなかと考えられます。
そもそも福島の子どもたちに甲状腺の健康被害が生じるような事態を引き起こしたのは、誤った国策で原発を導入した国と十分な安全対策を怠ってきた東京電力です。
検査体制の徹底・充実と十分な治療体制など、国には率先して対策を講じる責任があります。



これらは、実際に検査は受けているが、そのそのデータ収集の方法に問題があって、甲状腺がんあるいはその疑いがある子供たちが、相当数、見落とされていないのではないかという問題ですが、今回、紹介するのは、検査すら受けていない対象者が相当数存在するという問題です。
2015年12月の資料なので、最新のデータではありませんが、2014年度から開始された本格調査の年代別受診率が公表されてるので紹介します。
2014年度の受診率は70,5%です。
2~7才 76,5%
8~12才 91,5%
13~17才 84,9%
18~23才 24,1%
年代によってかなりの差がありることがわかります。
データがどのように集計されたかはわかりませんが、小学生から高校までの集団検診を受診できる年代で8,9割というのは、かなり低い数値です。県外へ流出した子供たちの受診率が低いのでしょうか。
また、18歳以上の対象者には個別に受診案内を送付し、それぞれの都道府県の医療機関等でも受診できるようになっていますし、年に1~2回「甲状腺通信」というリーフレットを送付して検査への関心を持続できるようにしているということですが、受診率の低さには驚きます。
高校を卒業して学校での集団検診を受ける機会がなくなった18才以上の青年たちは対象者4万9237人中1万1858人しか受診していないということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」参照。)
甲状腺検査は、20才までは2年ごと、その後は5年ごとになっていますが、この間隔にも疑問を持ちます。
2015年3月31日までに癌もしくは癌の疑いの104名が手術を受け、うち97人を福島県立医大で実施しました。1例は良性結節と判明したが、96名は甲状腺癌でした。そのうち甲状腺全摘出が6名、片葉切除が90例で、全例にリンパ節郭清(悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法)を行っています。
病理診断では93例が乳頭癌、3例が低分子癌、リンパ節転移は23例が陽性であり、2例に多発性肺転移の疑いがあるということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」より)
早期に発見されれば、重症化しないですむことを考えれば、成人の5年ごとの間隔には疑問を持ちます。
さらに、原発事故当時、高校生だった人たちは、すでに高校・大学を卒業して社会人になっている対象者もおり、甲状腺検査のために時間を割くことは、より難しくなると考えられます。
検査のための有給休暇をとれるとか、職場の健康診断の際に甲状腺検査を実施するとかしなければ、受診率はますます低下するばかりです。
福島県の甲状腺検査については、前回から引き続きお伝えしていますが、とにかく、甲状腺癌、あるいは癌の疑いの患者がなるべく見つからないように、意図的に杜撰な検査体制がとられているとしか考えられません。対象者に大きな網目のネットをかけ、その穴から通り抜けた対象者は放置されるように仕向けられているとしか思えません。
被爆国であり、しかも重大な原発事故を経験しながら、いまだに原子力の軍事利用、総括原価方式による政治家、官僚、財界への資金の還流という古い体制に固執しているのが、安倍政権です。
福島の甲状腺検査の結果は、安倍政権が進める原発政策の大きな妨げになることから、そのような杜撰な検査体制がとられているのではなかと考えられます。
そもそも福島の子どもたちに甲状腺の健康被害が生じるような事態を引き起こしたのは、誤った国策で原発を導入した国と十分な安全対策を怠ってきた東京電力です。
検査体制の徹底・充実と十分な治療体制など、国には率先して対策を講じる責任があります。



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