憲法に対する正しい理解と 深い洞察が求められます
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衆参両院の憲法審査会が相次いで実質審議を再開した。
憲法審査会は憲法改正原案が提出された場合、これを審査し、採決する場となる。過半数が原案に賛成すれば可決され、本会議に提出される。
(中略)
安倍晋三首相は、歴代の総理の中でもとりわけ改憲に熱心で、「任期中に実現したい」という意向を明らかにしてきた。だが、その進め方は策略的な印象が強い。
当初は、改正手続きを定めた96条の改正を主張した。裏口入学だと各方面から批判を浴びるとこれを引っ込め、緊急事態条項を前面に掲げるようになった。
さらに最近では、参院選の「合区」を憲法改正によって解消するという考えが急浮上している。
ほんとうは何を変えたいのか。本音を隠しているのか、とにかく変えたいのか。
民進党は「安保法を放置しての改憲論議は絶対許されない」(白真勲氏)と述べ、安保法制の議論を優先すべきだと主張する。
「合区」についても「選挙制度はあくまで法律事項」と主張する公明党との隔たりは大きい。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/71944
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なりふりかまわず、とにかく憲法を改正(改悪)したいという安倍首相の異常性を感じます。
これも、憲法改正を成し遂げられなかったおじいさんである岸信介首相の呪縛なのでしょうか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161116/k10010771611000.html
憲法審査会のメンバーについては、両院とも過半数を超えるメンバーが自民党の議員になっています。
その自民党が提案する(第二次)憲法草案というのが、憲法といえないような代物です。
どこがどうおかしいのか、「しま様」から、憲法についてわかりやすく解説している動画を紹介していただきました。
まがい物の(第二次)憲法草案と本来あるべき憲法の形態との違い、また、現行の憲法と(第二次)憲法草案との大きく異なる点について、小林よしのり氏が指摘しています。
要点をまとめ、一部補足しています。
(1) 国民に憲法尊重義務を課している。
まず第一に勘違いしてはならないことは、憲法は強大な力をもつ国家権力を縛るものであるということです。
現行の憲法第99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とあります。
ですから、憲法を尊重し擁護しなければならないのは、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員であって、国民には、その義務がないということです。
ところが、自民党の改憲草案の第102条1項には、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」とあります。
憲法によって国家権力を縛るのが立憲主義であるが、自民党の改憲草案では、国民に憲法尊重の義務を課しており、憲法をまったく分かっていない人が作ったとしか思えません。
(2) 緊急事態条項の存在。
最も危険な条項とされているのが、自民党の改憲草案の第98条の「緊急事態の宣言」です。所謂、「全権委任法」で、ヒトラー率いるナチス・ドイツはこの法律によりワイマール憲法を死文化させて、独裁の法的根拠になった法律です。
(3) 天皇は、日本国の象徴ではなく「元首」になっている。
現行の憲法第1条では、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」となっていますが、自民党草案第1条では、「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。」となっています。
(4) 憲法を尊重擁護義務者から天皇を削除している。
(1)で触れた憲法尊重擁護義務については、さらにおかしいことがあり、現行憲法第99条では、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」となっているところを、自民党の憲法草案第102条 2項では、「国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。」と天皇を削除しています。
これらの憲法改悪が目論むものは、いったい何か

ある方向性が見えてきますが、「まさに、これだ!!」と思うものが、社民党のHPに掲載されています。
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http://www5.sdp.or.jp/special/kenpo/106teruya.htm より
自民党の改憲派国会議員は、天皇に憲法尊重擁護義務を課すのは、畏(おそ)れ多い、天皇は元首として憲法の上位にある存在、憲法を超越する存在だと考えているようだ。要するに、元首たる天皇の神格化であり、その権威を高めて、天皇の政治利用を促進する狙いである事は間違いなかろう。私は、根拠もなく、大袈裟に言っているのではない。自民党「日本国憲法改正草案」前文は、「日本国は、天皇を戴く国家である」と規定しているのが、何よりの証左である。
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曲がりなりにも、戦後、近代国家として歩んできた日本ですが、仮に自民党の憲法草案のようなものが制定され、施行されるとしたら、時代錯誤の前近代的国家に逆戻りすることになるでしょう。
憲法違反をしたとしても、国家権力が処罰を受けることはありません。
だからこそ、国民やマスコミには国家権力を監視する義務があります。
強行に制定した憲法違反の安保法制など、これ以上の自民党の横暴を阻止するためにも、憲法に対する正しい理解と、自民党の真の目的を見抜く深い洞察が求められます。
ネットをご覧になる皆様は、ネトウヨには、くれぐれもご注意です。



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