一種独特の憲法観の「一群の人々」
最近読んだ本で、かねてから不思議に思っていた謎が解けました。
いつも知的で上品な語り口、正論を語っているように聞えるのですが、なぜか憲法論になるとトンチンカン!!
元キャスターをしていただけあって、話の盛り上げ方、まとめ方も上手ですが、憲法についての基本的知識が欠落しているのではないかというアンバランスさ。そこが何とも不思議でならなかったのですが、菅野完氏の「日本会議の研究」(扶桑社)の冒頭部分を読んで納得しました。
この方、当ブログでも時々、紹介させていただいている櫻井よし子氏ですが、「日本会議」の別働部隊、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の共同代表だそうです。
https://kenpou1000.org/
最近、ネットや週刊誌でよく目にする「日本会議」、この組織について知らない方は、“それがどうしたの”という感じでしょうが、さらに読み進めて行くと、「あの方も!!」と驚かされます。
昨年6月の安保法制の質疑で、管義偉官房長官は、当初、「集団的自衛権を合憲とする憲法学者はたくさんいる」と繰り返していましたが、具体的に挙げたのは、長尾一紘中央大学名誉教授、百地章日本大教授、西修駒沢大教授たったの3名だけでした。
この3名もまた、日本会議のフロント団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「二十一世紀の日本と憲法」の役員ということです。
特定秘密保護法の採択、集団的自衛権に関する閣議決定、安保法制の強行採決と傍若無人な振る舞いが目につく安倍政権ですが、第三次安倍内閣の全閣僚のうち、公明と以外のほぼ全員に当たる約8割が「日本会議国会議員懇談会」の所属です。
閣僚以外でも、前回の記事の動画に登場するビックリ仰天の発言をする自民党のメンバーもこの組織の関係者であることから、日本会議は一種独特の憲法観の持ち主の集まりと言えます。
彼らの話しを聞くと、一体、いつの時代の教育を受けた人たちなのか、過去からタイムスリップしてきた人たちではないかと錯覚しそうになります。
それもそのはず、彼らの目指すところは明治憲法の復元だそうです。
また、司法批判の当ブログとしては、是非、お伝えしておきたいことですが、三好達元最高裁長官が、2001年から2015年6月まで日本会議会長、退任後は名誉会長に就任しているということですから、最高裁の現憲法を軽視する姿勢にもうなずけます。
それにしても、日本会議の事務局「日本青年協議会」が取り組んだ運動のほぼすべてが、立法化あるいは政令化され現実のものになっているというのですから驚かされます。同じように彼らが手がけてきた憲法改正も、照準どおり2016年の参院選挙で、憲法改正の発議に必要な3分の2を実現し、それを実証していますから、この組織の運営と行動力には脱帽します。
さらに驚くことがあります。
冒頭で触れた「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が2015年11月10日行った「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」の開会の辞で、櫻井よし子氏は、改憲項目として(ヒトラーが独裁のために悪用したワイマール憲法の「国家緊急権」との類似性が指摘されている)「緊急事態条項」に言及しています。これと同日の衆議院予算委員会で、安倍首相は、改憲の具体的項目として同じ「緊急事態条項」を挙げており、これらが偶然とは思えません。
「緊急事態条項」を他の改憲項目よりも最も重視する姿勢は安倍政権の政策シンクタンク「日本政策研究センタ-」の改憲プランそのもので、この団体もまた、日本会議と深い関係にあります。
日本会議の関連団体の歴史をたどっていくと、すべては70年代初頭の右翼系新興宗教団体「生長の家」の学生活動家に行き着きます。著者が「一群の人々」と表現するごくごく一握りの人々が長年続けてきた「市民運動が結実」し、安倍政権に取りつき、曲りなりにも近代民主主義国家としての体裁を保ってきた日本を破壊しようとしていることが理解できます。
この本は、一般のサラリーマンだった方がたくさんの文献を調べ、多くの関係者を取材して書かれており、事実と証拠に基づいたその客観性にも驚かされます。
暴走を続ける安倍政権、何がそのエネルギー源になっているのか、この本を読んで知ることができます。
「この本を読まずして、安倍政権は語れない。」そんな印象を受けました。



いつも知的で上品な語り口、正論を語っているように聞えるのですが、なぜか憲法論になるとトンチンカン!!
元キャスターをしていただけあって、話の盛り上げ方、まとめ方も上手ですが、憲法についての基本的知識が欠落しているのではないかというアンバランスさ。そこが何とも不思議でならなかったのですが、菅野完氏の「日本会議の研究」(扶桑社)の冒頭部分を読んで納得しました。
この方、当ブログでも時々、紹介させていただいている櫻井よし子氏ですが、「日本会議」の別働部隊、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の共同代表だそうです。
https://kenpou1000.org/
最近、ネットや週刊誌でよく目にする「日本会議」、この組織について知らない方は、“それがどうしたの”という感じでしょうが、さらに読み進めて行くと、「あの方も!!」と驚かされます。
昨年6月の安保法制の質疑で、管義偉官房長官は、当初、「集団的自衛権を合憲とする憲法学者はたくさんいる」と繰り返していましたが、具体的に挙げたのは、長尾一紘中央大学名誉教授、百地章日本大教授、西修駒沢大教授たったの3名だけでした。
この3名もまた、日本会議のフロント団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「二十一世紀の日本と憲法」の役員ということです。
特定秘密保護法の採択、集団的自衛権に関する閣議決定、安保法制の強行採決と傍若無人な振る舞いが目につく安倍政権ですが、第三次安倍内閣の全閣僚のうち、公明と以外のほぼ全員に当たる約8割が「日本会議国会議員懇談会」の所属です。
閣僚以外でも、前回の記事の動画に登場するビックリ仰天の発言をする自民党のメンバーもこの組織の関係者であることから、日本会議は一種独特の憲法観の持ち主の集まりと言えます。
彼らの話しを聞くと、一体、いつの時代の教育を受けた人たちなのか、過去からタイムスリップしてきた人たちではないかと錯覚しそうになります。
それもそのはず、彼らの目指すところは明治憲法の復元だそうです。
また、司法批判の当ブログとしては、是非、お伝えしておきたいことですが、三好達元最高裁長官が、2001年から2015年6月まで日本会議会長、退任後は名誉会長に就任しているということですから、最高裁の現憲法を軽視する姿勢にもうなずけます。
それにしても、日本会議の事務局「日本青年協議会」が取り組んだ運動のほぼすべてが、立法化あるいは政令化され現実のものになっているというのですから驚かされます。同じように彼らが手がけてきた憲法改正も、照準どおり2016年の参院選挙で、憲法改正の発議に必要な3分の2を実現し、それを実証していますから、この組織の運営と行動力には脱帽します。
さらに驚くことがあります。
冒頭で触れた「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が2015年11月10日行った「今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」の開会の辞で、櫻井よし子氏は、改憲項目として(ヒトラーが独裁のために悪用したワイマール憲法の「国家緊急権」との類似性が指摘されている)「緊急事態条項」に言及しています。これと同日の衆議院予算委員会で、安倍首相は、改憲の具体的項目として同じ「緊急事態条項」を挙げており、これらが偶然とは思えません。
「緊急事態条項」を他の改憲項目よりも最も重視する姿勢は安倍政権の政策シンクタンク「日本政策研究センタ-」の改憲プランそのもので、この団体もまた、日本会議と深い関係にあります。
日本会議の関連団体の歴史をたどっていくと、すべては70年代初頭の右翼系新興宗教団体「生長の家」の学生活動家に行き着きます。著者が「一群の人々」と表現するごくごく一握りの人々が長年続けてきた「市民運動が結実」し、安倍政権に取りつき、曲りなりにも近代民主主義国家としての体裁を保ってきた日本を破壊しようとしていることが理解できます。
この本は、一般のサラリーマンだった方がたくさんの文献を調べ、多くの関係者を取材して書かれており、事実と証拠に基づいたその客観性にも驚かされます。
暴走を続ける安倍政権、何がそのエネルギー源になっているのか、この本を読んで知ることができます。
「この本を読まずして、安倍政権は語れない。」そんな印象を受けました。



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