投票先を決める上で 参考になれば!! ~安倍首相の行動原理~
憲法改正にあれほど意欲的だった安倍政権が、今回の選挙の遊説では憲法改正についての言及を避けています。
安保関連法の成立過程に見るように、安倍首相には、集団的自衛権行使容認の問題から国民の目をそらすように仕向けて衆議院選挙に臨み、選挙で大勝した後は一部の議員による閣議決定で憲法解釈を変更して憲法違反の法律を成立させたという前科があります。
今回の選挙も、憲法改正という重大な争点隠しが指摘がされています。
憲法改正についは国民投票が義務付けられていますので一部の議員で勝手に決めることはできませんが、本質的な問題から国民の目がそれるように仕向けて、陰でこっそり重要な法律を成立させることは、安倍政権の得意とするところです。
その淵源は、安倍首相のおじいさんである岸信介首相の時代までさかのぼることが、矢部宏治氏の『日本はなぜ、『戦争ができるきる国」になったのか』という本から知ることができます。
過去の記事で紹介した矢部宏治氏の『日本はなぜ、「「基地」と「原発」を止められないのか』という本は、衝撃的な内容でしたが、これに続く今年5月末に出版された『日本はなぜ、『戦争ができるきる国」になったのか』という本も、また衝撃的な内容です。
普通の生活を営んでいる私たちにとっては信じがたいことですが、1952年に独立国家として主権が回復した後も、アメリカによる軍事的な占領状態が継続されているということは、国際問題研究家の新原昭治氏が発見した極秘文書から明らかになっています。
その占領状態を説明する上で重要なポイントとなるのが、当時の岸信介首相と藤山外務大臣が結んだ「基地権密約」と「指揮権密約」です。
今回は、このうちの「基地権密約」の問題について紹介したいと思います。
血は争えないということなのか、あるいはCIAの入れ知恵であるのかどうかはわかりませんが、安保関連の法律成立に関しては、岸首相の時代も安倍首相の時代も、国民の目を誤魔化す姑息な手段がとられています。
おじいさんの岸首相の時代に密約としてひっそりと隠されていたものが、孫である安倍首相の時代に、憲法を改正することでオモテの法律として姿を現そうとしており、今回の選挙はそれを決定する重要な選挙になります。
一冊の本の内容をブログの一記事でお伝えしても表面的なことにとどまってしまいますので、参議院選挙の投票先を決めるうえで参考になるようなことに焦点を絞ってお伝えしたいと思います。
1960年の安保改定で、「旧安保条約と行政協定」が「新安保条約と地位協定」に変更されましたが、この中に書かれている基地権については条文の表現を変えることで、見せ掛けだけを変更し、行政協定の中身には手を付けないことが前述の岸信介首相と藤山外務大臣によって結ばれた密約で合意されました。そのため、「占領継続状態」がそのまま引き継がれているということです。
この二人は、行政協定の改定問題で「ウラでどんな密約を交わしてもよい。オモテの見掛けが改善されていれば、それでよい」という立場をとっていたということが新原氏が発見したアメリカ側の極秘電報から明らかにされています。
A級戦犯だった岸信介を、米CIAは1948年に助命・釈放し、CIAの工作員として雇ったということは事実のようですので、岸信介首相は、そのミッションを忠実に果たしたということなのかもしれません。
日米行政協定(1952年)第3条1項と日米地位協定(1969年)第3条1項は、見掛けは違いますが、内容的にはほとんど同じことを言っており、わかりやすく言うと次のようになります。
日米行政協定(1952年)第3条1項(前半)、日米地位協定(1969年)第3条1項(前半)
「アメリカは米軍基地の中で、何でもできる絶対的な権利をもっている」
日米行政協定(1952年)第3条1項(後半)、日米地位協定(1969年)第3条1項(後半)
「アメリカは、軍事行動を行う上で必要な、在日米軍基地へアクセス(出入り)するための絶対的な権利をもっている」
矢部宏治氏は、著書の中で、密約について次のように述べています。
「密約という「目に見えないルール」の影響は、計り知れないほど大きく、ひとつの密約が下流に行くにつれて無数のウソを生み、そうした無数のウソを誤魔化すために、また何倍ものウソが必要になってくる」
まさに、平気で嘘をつく安倍首相の行動原理そのものです。



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