裁判全般

パフォーマンスに過ぎない最高裁の謝罪

先月25日、最高裁が謝罪するという異例の出来事がありました
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ハンセン病患者の裁判が裁判所外の隔離された療養所などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高裁は25日、「差別的な取り扱いが強く疑われ、違法だった」とする調査報告書を公表し、「偏見、差別を助長し、人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわび申し上げる」と謝罪した。
政府と国会は、隔離政策の違憲性を認めた2001年の熊本地裁判決の直後に謝罪したが、三権のひとつである司法は、それから15年たってようやく差別を認めた。
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新聞やネット上のニュースには、おおよそこのような主旨で報道されていますが、26日付中国新聞の解説には、さらに興味深いことが書かれています。全文を掲載します。
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最高裁の隔離法廷謝罪
「結論成ありき」否めず
解説 最高裁はハンセン病患者の特別法廷について「憲法違反が強く疑われる」と記者会見で述べる一方、調査報告書の文面では違憲判断を明記しなかった。憲法の「番人」が正面から憲法違反を認めるわけにはいかない、という事情を優先させた結果、国民にわかりづらい複雑な見解表明となり、謝罪の趣旨も不明確になった。これでは「結論ありきの調査」との批判は免れない。
最高裁の有識者委員会はハンセン病患者というだけで特別法廷を開くことを許可した手続きについて、法の下の平等を定めた憲法に違反するとしていた。だが、調査報告書は「差別的で、裁判所法違反」と認めながらも、憲法判断の明記を回避。事務総長が記者会見の質疑でようやく「違憲の疑い」に言及した。質問がなければ触れないままだった可能性が高い。
裁判の公開原則についての検証でも、報告書は歯切れが悪い。療養所の外に開廷を知らせる「告示」を張っていたことをもって憲法違反はないと結論づけているが、「社会から隔絶された療養所で法廷を開くこと自体が違憲の疑いがある」という有識者委の指摘の方が、説得力があるだろう。
最高裁が2年前に調査を始めたことは、要請していた元患者らににとっても予想外で、当初は評価する向きがあった。だが、その結論は元患者らの期待に背き、不信感を増幅させるものだったといえる。
(中国新聞 4月26日付)
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この解説から、司法の本質的な問題が読み取れます。
一つ目のポイントは、「違憲の疑い」については、調査報告書には明記しなかったが、記者からの質問で言及したという点です。
これは、裁判の判決書の手法を、そのまま踏襲しているといえます。
結論ありきの判決に導くために、その妨げになる主張は重要なことであっても判決書に盛りこむことはない、仮に盛り込んだとしても判断を避けるというのが特徴です。
ですから、裁判により、本来の事件の性質が歪められ、期待するような判断が得られることはありません。「結論ありき」の判決に合致する事実や証拠だけが盛り込まれることで、本来の事実関係が歪められ、判決理由では争点・論点のすり替え、矛盾する証拠の採用等が行われます。さらに悪質なのは、思い描いた判決に無理やりこじつけるため、適当な根拠が見当たらないときには、当事者が主張していないことを、裁判官が作文することもあるということです。
まさに今回の調査報告書は、これと同じ手法で書かれています。

さらに、最高裁が憲法違反を認めようとしない背景には、ある事情が考えられます。
国民に対しては、実体法・手続法を含めて厳格に法律を適用する一方で、裁判所自らは。、憲法違反、さらには判例違反を常習的に行っています。
国家賠償請求は、憲法第17条で保障された国民の権利ですが、裁判所がデタラメな結論付けでことごとく原告敗訴にし(国の完全勝訴率はおよそ98%)憲法違反を行ってきたことは、これまで当ブログでお伝えしてきた通りです。
最高裁の自らの憲法違反を、一度、認めてしまえば、その範囲は個々の訴訟まで際限なく広がり、司法の信頼が損なわれることは確実です。

上記の中国新聞の記事で、もうひとつ注目すべきことは、最高裁が2年前から、正確には2014年5月から調査を開始したという点です。
元患者からの調査の要請はそれ以前から行われていますし、熊本地裁判決からは相当な時間が経過しています。
なぜ2年前だったのでしょうか?
思い当たることがあります。
この年の2月、元裁判官の瀬木比呂志氏による「絶望の裁判所」が出版されています。
この本は、当ブログでお伝えしてきた「国家賠償詐欺」を証言してくれる内容で、不正裁判の被害者にとっては重要な証拠物となりますが、最高裁にとっては組織的不正の暴露と信頼の失墜につながる衝撃的な内容であることには違いありません。
さらに近年、個人が自由に情報発信できるようになったことで、不正裁判の実態が周知されつつあります。
そのような状況の中で、危機感を募らせた最高裁が、最も影響力の少ない過去の過ちを謝罪することで、謙虚さをアピールし、信頼の回復を狙ったのではないでしょうか。
ですから、その時期に、ハンセン病患者の特別法廷の調査を開始したのではないかと推測されます。

しかし、不正裁判の被害者や、原発訴訟など政権寄りの偏った司法判断にすでに気がついている人たちにとっては、今回の謝罪は単なるパフォーマンスとしか捉えることができません。
信頼を回復しようとするのであれば、現在進行中の不正裁判の問い合わせに真摯に対処し、説明責任を果たすべきです。


 
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