高市発言の行きつく先は 法律の矛盾
高市大臣は、テレビ局などが放送法4条1項の違反を繰り返した場合、電波法76条に基づき電波停止を命じる可能性がるということ言及したわけですが、その条文は次のようなものです。
放送法 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
電波法 第76条 総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。
これらの法律を論じる前に、放送法第1条2項には、憲法第21条で保障されている「表現の自由」が、しっかりと盛り込まれています。
放送法 第1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
2 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
憲法 第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
憲法が、国の最高法規であることは、これも憲法で保障されています。
憲法 第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

ところで、ここでいう「表現の自由」とは、具体的にどういうことなのかのでしょうか?
下記のサイトにわかりやすく書かれています。
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http://www.xn--vcs02wdldnpbczo.biz/kenpou/kokumin/s_21.html より
「表現の自由」を含む自由権というものは、「国家からの自由」を意味しています。つまり国に邪魔されないということです。
「表現の自由」が重要な権利として保障される理由の一つは、国民が自由に言論を交わすことで政治的意思決定に関与するという重要な価値(自己統治の価値)を持つことなのです。このことからその内容に関わらず「表現の自由」を保障することが必要となるのです。
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「表現の自由」が「国家からの自由」を意味しているのであれば、行政府の総務大臣の判断で「表現の自由」が制限される電波法第76条は憲法違反の法律ということになります。
為政者の価値観で表現の自由を制限されたのでは、それに相反する意見は排除されてしまい、民主主義が機能しなくなってしまいます。
ところで、高市発言問題を民法各社は報道していますが、NHKは放送していないそうです。
これはビックリポンです!!

http://webronza.asahi.com/national/articles/2016021800001.html/?ref=fb
NHKは総務省が管轄している公共放送です。NHKには憲法を尊重しようなどという姿勢がないとしか思えません。

高市発言問題も、結局のところ安保法制と同様、憲法違反・法律の矛盾の問題に行き着くことになります。
法律の矛盾・問題点を指摘している過去の記事です。
“上告詐欺”がやり易くできている民事訴訟法!
不起訴裁定の要件を満たしていない不起訴処分理由告知書!!
法務省刑事局の事件事務規程(法務省訓令)の矛盾を証明します!
憲法違反でもおかまいなし!! ~日本の法律は二重基準~



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