スキーバス事故 規制緩和が原因じゃないですって!! 政府の回し者か?
これから社会に羽ばたこうと、夢と希望でいっぱいの多くの若者の命が奪われたことを思うと、本当に心が痛みます。
事故の原因については、バス会社の杜撰な安全管理や、運転手が高齢で経験不足だったことなどが指摘され、そこに重点を置いた報道がされていますが、なぜ、そのような事故が起きてしまったのか、その背景にこそ目を向ける必要があります。
多くの方が指摘しているのが、小泉政権下で行われた規制緩和による弊害です。
規制緩和によって過当競争が激しくなり、価格を安くする必要に迫られたバス会社は、運転手1人当たりの業務を増やしたり、臨時の運転手や高齢の運転手を雇って人件費を抑えてきました。
また、貸し切りバスは、2000年の規制緩和によって、需要に応じて国が免許を出す免許制から、一定の条件を満たせば参入できる許可制になり、2013年度の業者数は緩和前の2倍近くになっています。
2012年に関越道で起きたツアーバス事故では7人が死亡し、それを受けて、国土交通省は運賃の最低基準を引き上げたのですが、抜本的な対策には至らず、今回、再び重大事故が起きてしまいました。
甘い見通しで規制緩和が進められ、行政の監視も行き届きにくい中で起きた事故といえます。
当然のことながら、当ブログのメインテーマである国家賠償訴訟の対象となり得る事故です。
ところが、国家賠償訴訟制度は、ほとんど機能していません。
原告の完全敗訴率は、およそ98%、国の過失によって被害を被った上、さらに裁判でも被害を受けることになります。
国家賠償訴訟は民主国家としての体裁を保つためのアイテム!
仙台高検に集約することで まやかしの制度 国家賠償訴訟の全容が・・
国の責任は追及されることなく、事故の根本的な原因は曖昧にされ、再び同じような事故が繰り返されます。
まやかしの法治国家の宿命といえます。
今回のバス事故は、規制緩和による弊害であるというのが大方の見方なのですが、別の意見もあるようです。
現代ビジネス 「ニュースの真相」に書かれている「スキーバス転落事故はどうすれば防げたのか?~「小泉時代の規制緩和が原因」説を検証する」というタイトルの記事です。
現代ビジネスは、鋭い切り口で好感のもてる記事が多いので、私も一目置いていたのですが、この記事には、ほんと、ガッカリしました。
「貸切バスについては、規制緩和の前後で有意な変化は見られないので、規制緩和によって事故率が増えたのではなく、旅行業者に責任がある」と結論づけています。
その根拠となっているのが、国交省の統計です。
記事の2ページ目にそのグラフが掲載されているのですが、「事故率(億km走行当たり件数)の推移」というタイトルで、横軸が年、縦軸が事故の件数になっています。
この資料についての詳しい説明がないので推測するしかないのですが、タイトルからして、その年の事故件数を、届け出のあるバス全体の走行距離の累計を億kmに換算したもので割ったのではないかと考えられます。
バス業界に参入する業者が増えれば増えるほど、分母にあたる累計走行距離が大きくなるわけで、このような資料から「規制緩和による影響はない」などと結論づけても、まったく意味がありません。
むしろ、累計走行距離が増えているにもかかわらず、事故率がほとんど変わらないということは、全体の事故件数はかなり増えているとみるべきです。




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