昨年末の高浜原発 仮処分取り消し決定は 報復人事の産物か!!
昨年末に、福井地裁(林潤裁判長)が、関西電力高浜原発3,4号機の再稼働を差し止めた4月の仮処分決定を取り消したことについては、当ブログの年末の記事でお伝えしました。
一年の締めくくりに また一つ司法の信頼を失墜させる判断
年末に取り消された、昨年4月の再稼働差し止めの仮処分決定をしたのが、平成14年5月に大飯原発3、4号機の運転差止めを認める歴史的判決を言い渡した福井地裁の樋口英明氏(62歳)です。
「司法は生きていた」という垂れ幕を掲げて原告たちが大喜びしていた光景は、皆さんの記憶にも新しいと思いますが、あの判決を下したのが、福井地裁の樋口英明裁判長です。
この判決が、なぜ注目を浴びたのかといえば、仮処分決定を別とすると、福島第一原発事故後初めての、原発裁判における司法判断だからです。原発事故の被害を踏まえ、行政庁の判断を追認してきたこれまでの裁判所の姿勢に変化が生じるのか、国民の関心が高まっていました。
さらに注目すべきは、住民の権利を尊重した画期的な判決です。
人格権が憲法上最も高い価値を有するとして、「人の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題を並べて論じるべきではない」「豊かな国土とそこに国民が生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失だ」として住民らの請求を認める判決を下しました。
この判決の素晴らしいところは、福島原発事故の被害を踏まえた上で、判断の対象を明確に示している点で、「かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。」と述べていることです。
大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
このような歴史に残る素晴らしい判断をした樋口裁判官ですが、昨年4月1日付けで、同氏は福井地裁から名古屋家裁に異動。「左遷」されていたということが、「現代ビジネス」のサイトに掲載されています。
一部を抜粋します。
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現代ビジネス
そして、裁判長は飛ばされた 高浜原発再稼働「差し止め仮処分はけしからん」最高裁・高裁のお偉方は原発が大好き(上)(下)
'06年、志賀原発の運転を差し止める判決を下した、元裁判官の井戸謙一弁護士が語る。
「樋口氏は福井地裁に来て既に3年経っていますから、異動自体は通常の定期人事でしょう。ただ、彼は裁判官歴32年の大ベテラン。キャリアからいえば、次は名 古屋高裁の右陪席というポジションが一番可能性が高かった。それが家裁に異動ということですから、疑問は残ります。裁判所の上層部としては、高裁に行かせたくない訳があるのかもしれません」
懐疑的な見方が広がるなか、ある司法関係者が話す。
「これは左遷以外の何ものでもありませんよ。定年まで3年の裁判官を家裁に送るなんて、誰が見ても窓際人事。定期異動にかこつけて、厄介払いしたということでしょう。最高裁を頂点とする裁判所全体は、基本的に政府の歩調に合わせ、原発再稼働を是とする立場を取っている。その方針に反した樋口氏は、報復人事を食らったんですよ」
そもそも裁判官の人事とはどのようにして決まるのか。明治大学政治経済学部教授の西川伸一氏が解説する。
「下級裁判所の裁判官の人事は基本的には管轄している各高裁の事務局が立案し、最高裁の事務総局と意見を交わして、決めることが多い。しかも、今回は注目を浴びている樋口さんの異動です。最高裁が何も口を出していないとは考えにくい。
樋口さんの場合、福井地・家裁部総括判事から名古屋家裁部総括判事に異動になっています。高裁所在地の名古屋に戻るということは一見栄転のように思えますが、地裁から家裁への異動ですので、降格人事と見るのが普通でしょう。このあたりは巧妙にごまかしましたよね」
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瀬木比呂志氏の「絶望の裁判所」にも書かれていましたが、まさに最高裁判所事務総局人事局がやりそうなことです。
この樋口裁判官の左遷・降格人事を見せしめにして、昨年末の福井地裁(林潤裁判長)の取り消し決定が行われたのではないかと推測せざるを得ません。



一年の締めくくりに また一つ司法の信頼を失墜させる判断
年末に取り消された、昨年4月の再稼働差し止めの仮処分決定をしたのが、平成14年5月に大飯原発3、4号機の運転差止めを認める歴史的判決を言い渡した福井地裁の樋口英明氏(62歳)です。
「司法は生きていた」という垂れ幕を掲げて原告たちが大喜びしていた光景は、皆さんの記憶にも新しいと思いますが、あの判決を下したのが、福井地裁の樋口英明裁判長です。
この判決が、なぜ注目を浴びたのかといえば、仮処分決定を別とすると、福島第一原発事故後初めての、原発裁判における司法判断だからです。原発事故の被害を踏まえ、行政庁の判断を追認してきたこれまでの裁判所の姿勢に変化が生じるのか、国民の関心が高まっていました。
さらに注目すべきは、住民の権利を尊重した画期的な判決です。
人格権が憲法上最も高い価値を有するとして、「人の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題を並べて論じるべきではない」「豊かな国土とそこに国民が生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失だ」として住民らの請求を認める判決を下しました。
この判決の素晴らしいところは、福島原発事故の被害を踏まえた上で、判断の対象を明確に示している点で、「かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。」と述べていることです。
大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
このような歴史に残る素晴らしい判断をした樋口裁判官ですが、昨年4月1日付けで、同氏は福井地裁から名古屋家裁に異動。「左遷」されていたということが、「現代ビジネス」のサイトに掲載されています。
一部を抜粋します。
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現代ビジネス
そして、裁判長は飛ばされた 高浜原発再稼働「差し止め仮処分はけしからん」最高裁・高裁のお偉方は原発が大好き(上)(下)
'06年、志賀原発の運転を差し止める判決を下した、元裁判官の井戸謙一弁護士が語る。
「樋口氏は福井地裁に来て既に3年経っていますから、異動自体は通常の定期人事でしょう。ただ、彼は裁判官歴32年の大ベテラン。キャリアからいえば、次は名 古屋高裁の右陪席というポジションが一番可能性が高かった。それが家裁に異動ということですから、疑問は残ります。裁判所の上層部としては、高裁に行かせたくない訳があるのかもしれません」
懐疑的な見方が広がるなか、ある司法関係者が話す。
「これは左遷以外の何ものでもありませんよ。定年まで3年の裁判官を家裁に送るなんて、誰が見ても窓際人事。定期異動にかこつけて、厄介払いしたということでしょう。最高裁を頂点とする裁判所全体は、基本的に政府の歩調に合わせ、原発再稼働を是とする立場を取っている。その方針に反した樋口氏は、報復人事を食らったんですよ」
そもそも裁判官の人事とはどのようにして決まるのか。明治大学政治経済学部教授の西川伸一氏が解説する。
「下級裁判所の裁判官の人事は基本的には管轄している各高裁の事務局が立案し、最高裁の事務総局と意見を交わして、決めることが多い。しかも、今回は注目を浴びている樋口さんの異動です。最高裁が何も口を出していないとは考えにくい。
樋口さんの場合、福井地・家裁部総括判事から名古屋家裁部総括判事に異動になっています。高裁所在地の名古屋に戻るということは一見栄転のように思えますが、地裁から家裁への異動ですので、降格人事と見るのが普通でしょう。このあたりは巧妙にごまかしましたよね」
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瀬木比呂志氏の「絶望の裁判所」にも書かれていましたが、まさに最高裁判所事務総局人事局がやりそうなことです。




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