砂川判決を本質的に理解していない安倍首相
まるで小学生に説明するかのように隣の家が火事になった場合の模型を持ち出して説明していましたが、それはともかくとして、安倍首相自身が、憲法はもとより集団的自衛権の合憲の根拠とした砂川判決についても、根本的に理解していないのではないでしょうか。
集団的自衛権についてよくわかっていない国民に対し、この程度の説明でよいだろうと高をくくって口から出まかせで説明したのかもしれませんが、結果として、自身の恥をさらしたことになります。
安倍首相の説明の何が問題だったのでしょうか。
検証してみたいと思います。
① 集団的自衛権行使の正当性の根拠として砂川判決を挙げているが、砂川判決自体、正当性のない判決である。
最高裁や田中耕太郎最高裁長官へのアメリカ側からの周到な働きかけのもとに砂川最高裁判決が下されている。また、判決の論拠を考え出したのは、米国のジョン・B・ハワード国務長官特別補佐官であり、これらのことがアメリカの開示された公文書から明らかになっいる。
要するに、アメリカに買収された最高裁と田中耕太郎最高裁長官によって下された判決であり、砂川判決自体が違法で、無効である可能性が極めて高い。
砂川判決を持ち出すことの愚かさ
砂川判決との本質的な共通点 ~安倍政権の最終目的~
砂川最高裁判決が出されるまでの背景の追究が不可欠
② 集団的自衛権の合憲の根拠として砂川事件の最高裁判決をもち出しているが、砂川判決は、米軍駐留が合憲か違憲かが争われたもので、安倍首相は的外れの説明をしている。
砂川判決を持ち出すことの愚かさ
③ 安倍首相が判例を都合よく解釈している。
最高裁が砂川判決で統治行為論を持ちだして判断を避けたのは日米安全保障条約についてであるにもかかわらず、安倍首相はそれを集団的自衛権と混同して、集団的自衛権の行使の判断まで政府に委ねられているかのように都合よく解釈している。
出演者の津田大介氏に指摘されて言い直しているが、安倍総理自身、頭の中が混乱しているように見受けられる。
④ 国連憲章で認められている集団的自衛権と自国の憲法、どちらが優先されるのか、安倍首相の認識が間違っている。
国連は主権国家の上を行く上級の権威ではなく、主権国家の憲法のほうが優先される。
※ これについて詳しく知りたい方は、小室直樹氏の『新戦争論(光文社文庫)』を参考にしてください。
集団的自衛権の行使容認の目的は 米国との軍事同盟!!
⑤ 集団的自衛権としての権利と、アメリカとの安全保障条約に基づく義務を同じレベルで論じることで、権利を義務に転換している。
集団的自衛権の行使容認の目的は 米国との軍事同盟!!
安倍首相が言うように、「国民の生命と財産を守る」とか、「国民の生命と平和を守る」という理由だけなら個別的自衛権の範囲内で十分に対応できるはずですが、集団的自衛権の行使まで解釈を広げようとする目的は、日米安全保障条約に基づく、実質的な軍事同盟の義務を果たそうとするところにあると考えられます。
それを裏づけるかのように、アメリカの2016年度国防予算が日本の安保法制(集団的自衛権)を前提に組まれていることが判明しました。米陸軍は、予算削減に対応するため兵士4万人を削減するそうで、その補填のために自衛隊が派遣されることになりそうです。

安倍首相には、「家族だ嫌だといっているのに、その家の主が、隣の家から菓子折りをもらって、自分ちの庭に隣の家のレジャーシートを敷かせてあげる模型」でも作って砂川判決を説明してあげたほうがよさそうです。
でも、マスコミ関係者としょっちゅう飲食を共にしている安倍首相なら、「何が悪いの!いいじゃないの。」っておっしゃるかもしれませんけど。



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