砂川判決との本質的な共通点 ~安倍政権の最終目的~
安倍政権は、集団的自衛権行使容認を含む安保関連法案の合憲の根拠として砂川事件の最高裁判決をもち出していますが、自民党が考えるような姑息な理論ではなく別な意味で、米軍駐留を合憲とした砂川判決と、集団的自衛権の行使を合憲とする安保関連法案には共通点があります。
ひとつは、米軍駐留と集団的自衛権の行使、それらを合憲とすることは、それぞれ当時においても現在においても、多くの著名な憲法学者や大多数の法学者に受け入れられていないにもかかわらず、「解釈改憲」によって合法化した(させようとしている)という点です。
もうひとつは、米軍駐留や集団的自衛権を合憲とする結論づけの論理が、実質的には日米二国間の軍事(安全保障上の)協定に関することであるにもかかわらず、国際的な平和と安全を維持するための国連憲章に基づくものであるかのように見せかけているという点です。
前回ご紹介した「対米従属の正体(末浪靖司)」を読むと、50年以上前に行われたことが、今、まさに繰り返されようとしていることがわかります。
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憲法第9条第2項が禁止する「戦力」の中には、日本政府に指揮権、管理権のない外国軍隊は含まないという砂川判決の論拠を考え出したのが、米国国務省きっての理論家で国際法学者だったジョン・B・ハワード国務長官特別補佐官です。
戦争放棄、戦力不保持を定めた日本国憲法と、そのもとでの米軍の駐留という相反することを両立させるために、彼は実に巧妙な論理を編み出しました。
ハワードは、憲法で非武装になった日本は、侵略者に対する軍事的制裁ができないが、仮に侵略されたらどうするのかという問題を設定します。
その解決法として、侵略者に軍事制裁を加えることを目的として日本に軍事基地をおくことを可能とする方法として、次の3つのことをあげたのです。
① 国連憲章第43条(国連安全保障理事会が憲章第42条により侵略に対する軍事政策を決議した場合に、兵力などの提供について安保理が加盟国と特別協定を結ぶことを定めたものである。)
② 地域的防衛協定(国連憲章第8条が定める「地域的な平和維持の国際組織」である。)
③ アメリカとの二国間防衛協定(以上の①②の国連による集団安全保障とは対立する軍事同盟である。)
ハワードは、国連による集団的安全保障措置と二国間の軍事同盟を並列的に並べることで、米軍の日本駐留と基地の存続があたかも国連憲章のもとづくものであるかのように見せかけたのでした。
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米軍駐留を合憲とした上記の理論は、安倍政権がいう「他国が攻撃されたために自国の存立が脅かされる」というような実際にはあり得ない事態を想定し、国際平和に貢献するかのような集団的自衛権をもちだして、実質的にはアメリカとの安全保障条約を強化しようとする安倍政権の理論と非常によく重なります。
ここでしっかりと認識しておかなければならないことは、集団的自衛権が、友好国に外部から侵略の事態が起こったならば、これを救援に赴いてもよいという「権利」なのに対し、それを二国間の条約に組み込んでしまえば、救援しなければならないという「義務」となってしまう点です。
これについては、過去の記事でも紹介しており、小室直樹氏の「新戦争論」に詳しく記されています。
集団的自衛権の行使容認の目的は 米国との軍事同盟!!
砂川判決が導き出された経緯から考察すると、安倍政権の最終目的は、日米安全保障条約の強化による米国との軍事同盟にあると考えられます。
つまり、自衛隊をアメリカの傭兵として差し出すことだと推測されます。



ひとつは、米軍駐留と集団的自衛権の行使、それらを合憲とすることは、それぞれ当時においても現在においても、多くの著名な憲法学者や大多数の法学者に受け入れられていないにもかかわらず、「解釈改憲」によって合法化した(させようとしている)という点です。
もうひとつは、米軍駐留や集団的自衛権を合憲とする結論づけの論理が、実質的には日米二国間の軍事(安全保障上の)協定に関することであるにもかかわらず、国際的な平和と安全を維持するための国連憲章に基づくものであるかのように見せかけているという点です。
前回ご紹介した「対米従属の正体(末浪靖司)」を読むと、50年以上前に行われたことが、今、まさに繰り返されようとしていることがわかります。

憲法第9条第2項が禁止する「戦力」の中には、日本政府に指揮権、管理権のない外国軍隊は含まないという砂川判決の論拠を考え出したのが、米国国務省きっての理論家で国際法学者だったジョン・B・ハワード国務長官特別補佐官です。
戦争放棄、戦力不保持を定めた日本国憲法と、そのもとでの米軍の駐留という相反することを両立させるために、彼は実に巧妙な論理を編み出しました。
ハワードは、憲法で非武装になった日本は、侵略者に対する軍事的制裁ができないが、仮に侵略されたらどうするのかという問題を設定します。
その解決法として、侵略者に軍事制裁を加えることを目的として日本に軍事基地をおくことを可能とする方法として、次の3つのことをあげたのです。
① 国連憲章第43条(国連安全保障理事会が憲章第42条により侵略に対する軍事政策を決議した場合に、兵力などの提供について安保理が加盟国と特別協定を結ぶことを定めたものである。)
② 地域的防衛協定(国連憲章第8条が定める「地域的な平和維持の国際組織」である。)
③ アメリカとの二国間防衛協定(以上の①②の国連による集団安全保障とは対立する軍事同盟である。)
ハワードは、国連による集団的安全保障措置と二国間の軍事同盟を並列的に並べることで、米軍の日本駐留と基地の存続があたかも国連憲章のもとづくものであるかのように見せかけたのでした。
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米軍駐留を合憲とした上記の理論は、安倍政権がいう「他国が攻撃されたために自国の存立が脅かされる」というような実際にはあり得ない事態を想定し、国際平和に貢献するかのような集団的自衛権をもちだして、実質的にはアメリカとの安全保障条約を強化しようとする安倍政権の理論と非常によく重なります。
ここでしっかりと認識しておかなければならないことは、集団的自衛権が、友好国に外部から侵略の事態が起こったならば、これを救援に赴いてもよいという「権利」なのに対し、それを二国間の条約に組み込んでしまえば、救援しなければならないという「義務」となってしまう点です。
これについては、過去の記事でも紹介しており、小室直樹氏の「新戦争論」に詳しく記されています。
集団的自衛権の行使容認の目的は 米国との軍事同盟!!

つまり、自衛隊をアメリカの傭兵として差し出すことだと推測されます。



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