特定秘密保護法は 国家による犯罪を温存させる!!
野党や国民の多くが反対する中、安倍政権の暴挙によって、特定秘密保護法案が成立しようとしています。
まさに、民主国家の断末魔です。
誰もが被害者になる可能性がある身近な問題として、最も危惧しなければならないのは、この法案が成立したあげくには、特定秘密の名のもとに国家による犯罪が隠蔽され、不正行為が糾弾されることなく温存され、将来にわたって被害者を生じさせてしまうということです。
当然のことながら、まやかしの国家賠償制度を利用する原告、上告審の大半を占める上告不受理・却下にされた上告申立人などは、その中に含まれます。
ところで、最近、上告詐欺の根拠を明らかにしている下記の記事が人気のようです。
まだの方は、是非ご覧いただきたいと思います。
“上告詐欺”がやり易くできている民事訴訟法!
さて、平成25年11月14日付け中国新聞に、特定秘密保護法案と刑事手続きの関係について、秘密指定が国家の違法な活動を隠蔽するような場合にも触れて、たいへん分かりやすく解説された甲南大名誉教授 斉藤豊治氏の評論が掲載されていましたので、ご紹介します。
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中国新聞 平成25年11月14日付 「識者評論」より
罪刑法定主義に反する秘密保護法案と刑事手続き
甲南大名誉教授 斉藤豊治
国会審議中の特定秘密保護法案は、各省庁が「特定秘密」とした情報を、秘密を取り扱う公務員や民間人が漏らす行為を罰する。
秘密だと知りつつ故意に漏らせば10年以下、不注意で漏らせば2年以下の懲役刑が科される。報道関係者ら外部の者が、秘密を取り扱う公務員に対して、情報の提供を求めた場合、方法が行き過ぎと判断されると、10年以下の刑が科される。この法案の刑事手続き上の問題点を指摘する。
第一は、罪刑法定主義の趣旨に反するという点である。刑罰法規には「何が犯罪に当たり、どんな刑罰を科すかは、国会が成立させる法律で決めていなければならない」といううルールがある。これを罪刑法定主義という。
法案では、何が特定秘密かは、国会とは関係なく、行政機関が一方的に指定することになっており、罪刑法定主義の趣旨に反する。
秘密を取り扱う者は、何が特定秘密に指定されているかを知っている。しかし、その秘密指定が国家の違法な活動を隠蔽するものであるような場合、それを明らかにする方法はない。あえて明らかにすると、重い処罰が待っている。
また、報道関係者や一般市民は、具体的に何が秘密か分からない。それでも、公務員らに対して、特定の情報を漏らすよう働き掛けると、秘密漏えいを唆し、あるいは共謀したとして刑事責任を問われ、刑罰は5年以下である。取材が行き過ぎだと判断されると、より重い刑が科される。
第二に、刑事裁判における被告人の人権にも悪影響を与える。被告人は憲法31条などで、適正な手続きに基づく裁判を受ける権利が保障されている。裁判は証拠に基づくものでなければならない。
刑事裁判になれば、この証拠の中に特定秘密が含まれる場合がある。問題となる情報が特定秘密の事項に該当するのか、秘密指定が適正に行われていたかが争点となる可能性がる。弁護人が検察官に証拠開示を請求し、検察官が拒む場合、裁判所は公判前整理手続きで裁定を行い、検察官に証拠提示を命令できる。
その際、裁判所は裁判官室で秘密内容を確認し、被告人・弁護人には内容を知らせないという選択もあり得る。秘密の内容を知った裁判官は守秘義務を負い、それに反して漏らした場合、5年以下の刑を科される可能性があるからだ。
実際には、裁判所は証拠開示を指示することもなく、秘密指定がなされているという外形的な事実、つまり間接証拠から、秘密にする必要性があると推測する方法を選択する可能性が大きい。被告人が、これに反論する証拠を提出することは、事実上不可能である。
結局、秘密指定が適切に行われていないという被告人の主張は、ほとんど認められないことになろう。裁判は、行政機関の長が行った秘密指定を追認する場にすぎなくなる。
法案は、報道・取材への配慮規定と「免責」規程を置いた。しかし、法案は水も漏らさぬ秘密保護を意図しており、秘密の情報は行政の側で「蛇口」を締められ、取材は困難となる。懲役10年を覚悟して、疑問の多い秘密情報をメディアに提供する公務員は、皆無に近いだろう。
斉藤豊治
42年福井市生まれ。東北大教授、大阪商業大教授などを歴任し、弁護士登録。専門は刑事法。著書に「国家秘密法制の研究」「大災害と犯罪」など。
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まさに、民主国家の断末魔です。
誰もが被害者になる可能性がある身近な問題として、最も危惧しなければならないのは、この法案が成立したあげくには、特定秘密の名のもとに国家による犯罪が隠蔽され、不正行為が糾弾されることなく温存され、将来にわたって被害者を生じさせてしまうということです。
当然のことながら、まやかしの国家賠償制度を利用する原告、上告審の大半を占める上告不受理・却下にされた上告申立人などは、その中に含まれます。
ところで、最近、上告詐欺の根拠を明らかにしている下記の記事が人気のようです。
まだの方は、是非ご覧いただきたいと思います。
“上告詐欺”がやり易くできている民事訴訟法!
さて、平成25年11月14日付け中国新聞に、特定秘密保護法案と刑事手続きの関係について、秘密指定が国家の違法な活動を隠蔽するような場合にも触れて、たいへん分かりやすく解説された甲南大名誉教授 斉藤豊治氏の評論が掲載されていましたので、ご紹介します。

中国新聞 平成25年11月14日付 「識者評論」より
罪刑法定主義に反する秘密保護法案と刑事手続き
甲南大名誉教授 斉藤豊治
国会審議中の特定秘密保護法案は、各省庁が「特定秘密」とした情報を、秘密を取り扱う公務員や民間人が漏らす行為を罰する。
秘密だと知りつつ故意に漏らせば10年以下、不注意で漏らせば2年以下の懲役刑が科される。報道関係者ら外部の者が、秘密を取り扱う公務員に対して、情報の提供を求めた場合、方法が行き過ぎと判断されると、10年以下の刑が科される。この法案の刑事手続き上の問題点を指摘する。
第一は、罪刑法定主義の趣旨に反するという点である。刑罰法規には「何が犯罪に当たり、どんな刑罰を科すかは、国会が成立させる法律で決めていなければならない」といううルールがある。これを罪刑法定主義という。
法案では、何が特定秘密かは、国会とは関係なく、行政機関が一方的に指定することになっており、罪刑法定主義の趣旨に反する。
秘密を取り扱う者は、何が特定秘密に指定されているかを知っている。しかし、その秘密指定が国家の違法な活動を隠蔽するものであるような場合、それを明らかにする方法はない。あえて明らかにすると、重い処罰が待っている。
また、報道関係者や一般市民は、具体的に何が秘密か分からない。それでも、公務員らに対して、特定の情報を漏らすよう働き掛けると、秘密漏えいを唆し、あるいは共謀したとして刑事責任を問われ、刑罰は5年以下である。取材が行き過ぎだと判断されると、より重い刑が科される。
第二に、刑事裁判における被告人の人権にも悪影響を与える。被告人は憲法31条などで、適正な手続きに基づく裁判を受ける権利が保障されている。裁判は証拠に基づくものでなければならない。
刑事裁判になれば、この証拠の中に特定秘密が含まれる場合がある。問題となる情報が特定秘密の事項に該当するのか、秘密指定が適正に行われていたかが争点となる可能性がる。弁護人が検察官に証拠開示を請求し、検察官が拒む場合、裁判所は公判前整理手続きで裁定を行い、検察官に証拠提示を命令できる。
その際、裁判所は裁判官室で秘密内容を確認し、被告人・弁護人には内容を知らせないという選択もあり得る。秘密の内容を知った裁判官は守秘義務を負い、それに反して漏らした場合、5年以下の刑を科される可能性があるからだ。
実際には、裁判所は証拠開示を指示することもなく、秘密指定がなされているという外形的な事実、つまり間接証拠から、秘密にする必要性があると推測する方法を選択する可能性が大きい。被告人が、これに反論する証拠を提出することは、事実上不可能である。
結局、秘密指定が適切に行われていないという被告人の主張は、ほとんど認められないことになろう。裁判は、行政機関の長が行った秘密指定を追認する場にすぎなくなる。
法案は、報道・取材への配慮規定と「免責」規程を置いた。しかし、法案は水も漏らさぬ秘密保護を意図しており、秘密の情報は行政の側で「蛇口」を締められ、取材は困難となる。懲役10年を覚悟して、疑問の多い秘密情報をメディアに提供する公務員は、皆無に近いだろう。
斉藤豊治
42年福井市生まれ。東北大教授、大阪商業大教授などを歴任し、弁護士登録。専門は刑事法。著書に「国家秘密法制の研究」「大災害と犯罪」など。
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