改正されていない 平成25年3月19日改正の事件事務規程(法務省訓令)
事件事務規程(法務省訓令)の改正を教えてくださった方に、「法務省のHPでは、まだ改正前のものが表示されているようです。」とメールを送った直後に、改正前の条文は削除され、「事件事務規程」の文字をクリックすると改正後の事件事務規定のPDFファイルが開くように変更されました。
まったく不可解なタイミングです。
CIAもさることながら、日本政府によるメールの監視が行われているのではないかと、疑わざるを得ません。
「改正」という意味を辞書で引くと「ふつごうな点を改めて正しくすること。」と書いてあります。
事件事務規程の不都合な点といえば、当ブログで、度々指摘している不起訴処分理由告知に関する条文の矛盾です。
刑事訴訟法 第261条には、「検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。」と規定されているにもかかわらず、改正前の事件事務規程(法務省訓令)第73条2項には、「検察官が刑訴第261条の規定により告訴人,告発人又は請求人に対して書面で不起訴処分の理由を告知する場合には,不起訴処分理由告知書(様式第114号)による。」となっており、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」等のみを記載すればよいことになっています。
「嫌疑なし」「嫌疑不十分」に当たる表現は、事件事務規程(法務省訓令)改正前の第72条2項では、不起訴裁定の主文になっています。
主文とは、「結論」に当たる部分で、主文の記載だけでは、不起訴処分の理由を説明したことのはなりません。
そこが、刑事訴訟法、事件事務規程(法務省訓令)の重大な矛盾点です。
平成25年3月19日の改正では、そのあたりが訂正されていなければならないはずです。
ところが、この改正では、不起訴処分理由告知に関する条文や文書の様式の番号が下記に示すように変更されました。
改正前の第72条→改正後の第75条 検察官は,事件を不起訴処分に付するときは,不起訴・中止裁定書(改正前の様式第112号→改正後の様式第117号)により不起訴の裁定をする。検察官が少年事件を家庭裁判所に送致しない処分に付するときも,同様とする。
2 不起訴裁定の主文は,次の各号に掲げる区分による。
(以下省略)
改正前の第73条2項→改正後の第76条2項
2 検察官が刑訴法第261条の規定による不起訴理由の告知を書面でするときは,不起訴処分理由告知書(改正前の様式114号→改正後の様式第119号)による。
改正前後で条文はほとんど変わっていませんので、「改正』というのであれば、不起訴処分理由告知書の中身が変わっていなければなりません。
不起訴処分理由告知書が、様式114号から様式119号に変更されたことで中身も変更されたのかどうかか、法務省に電話で問い合わせてみました。
職員に質問事項を伝えると、回答が告げられるまで、かなりの時間待たされました。
その間、話し声に混じって、仕事中とは思えない高笑いが何度か聞こえました。
あまりにも返答が遅いので、切ろうかと思った矢先、やっと先程の職員がでました。
回答では、様式119号に変更されても、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」等の表現で、中身は変わっていないそうです。
ついでに「不起訴裁定の主文が、不起訴処分理由告知書では、なぜ理由になるのか?」という点を問い質してみました。
「刑事訴訟法には、不起訴処分の理由を説明しなければならないとは書いていない。」という趣旨のトンチンカンな答えが返ってきました。

自浄作用のない法務省が、事件握り潰しの手段を簡単に手放すはずがありません。



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