復興を推進するには 腐朽官僚と家産官僚制を駆逐しなければ!
先週半ばから宮城県内に滞在しており、昨日、仙台からいわきに来ました。
仙台から公共交通機関を利用するときは、いつも電車でしたが、震災後は原発事故の影響で太平洋側を通るJR常磐線が使えません。初めて内陸の福島・郡山を経由する高速バスを利用しました。
電車なら特急で2時間ちょっとのところ、バスでは3時間ほどかかりました。乗り心地も電車には劣りますが、乗り換えなしで来れますし運賃も安価なので、そう悪くはありません。
仙台の中心部は、震災前と変わらない賑わいです。いわきに至っては、楢葉や富岡などの原発周辺の住民が多く移り住み、人口が2~3万人ほど増えたとも言われています。グラウンドには仮説住宅が建ち並び、近くのスーパーのレジは長蛇の列、食事時にはレストランが混み合います。
街の中を見る限り震災があったことなど忘れてしまいそうです。ところが、いったん沿岸部に足を踏み入れると、2年経った今も、震災直後とほとんど変わらない光景が目に飛び込んできます。
大部分のの瓦礫は片づけてあり、家の土台だけが残されていますが、ところどころに、津波で流されポンコツになった車が山のように積み上げられていたり、塩害で枯れた森林があちこちで切り倒されています。
波にのみ込まれたところと、そうでないところで明暗がはっきりと分かれています。
仮説住宅では、津波で家を失った人々や原発事故で避難を余儀なくされた人々が、不自由な生活を強いられています。津波で流された鉄道や、原発で寸断された鉄道や道路は復旧の目途さえ立っていません。
2年たった今もこんな状態ですから、先の見通しがまったくつきません。復旧のあまりの遅さに、政府はいったい何をしているか、その能力を疑いたくなります。
アベノミクスの「3本の矢」である「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」は、聞いただけでは何のことなのかピンときませんが、その中のひとつ「機動的な財政出動」は、大型公共工事への投資のことのようです。


その予測のヒントになる情報を、ときどきブログにコメントをくださる「しま様」が提供してくださいました。
公共投資ということは、つまり「ケインズ政策」ということになるそうです。
その「ケインズ政策」について書かれている一節を、小室直樹氏の本から紹介してくださいました。

古典派の基本思想は自由放任。政策と言っても「無用な手出しはするな」と言うばかりだ。だがケインズは、時と場合に依っては積極的に手出しをする事の必要性と、経済理論を駆使して状況を改善する事が出来る点を示したのである。
残念ながら日本には、やれ「ケインズは死んだ」だの「古典派は古い」だのと聞く耳を持たない輩が多い。実際、どちらの処方箋も日本では上手く作動しないが、その原因は「理論」にある訳ではない。両派が研究の対象としている資本主義と、その精神が無いからである。
資本主義風ではあるが、社会主義的であり、封建社会然としている。これらの要素をない混ぜにした「鵺(ぬえ)経済」――それが日本経済の実態である。鵺なる怪物は、猿の頭に虎の手足、体躯は狸で声は虎鶫といった姿だ。そんなものにケインズが謳う「ハーベイロードの仮説」等期待できる筈もない。
「ハーベイロードの仮説」とは、ケインズ理論が政策として用いられる時の条件で、役人が公正で有能であることを前提としている。
役人が無能で、汚職ばかりしている国ではケインズ政策は作動しない。況んや役人が勝手気儘に市場に干渉するようでは古典派の理論も機能しない。日本の行く末を案じるならば、何よりも先ず、腐朽した官僚と家産官僚制を駆逐することが肝要なのである。
『経済学をめぐる巨匠たち』(小室直樹)【ダイヤモンド社】より
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しま様は、次のようなことも、おっしゃっています。
「ケインズ政策とは公共投資ですから積極財政ということになります。ところが消費税の増税を決めてしまっています。積極財政というアクセルを踏んでおきながら、一方で増税というブレーキを踏む???
これを知ったら、ケインズは墓の中で椅子から転げ落ちているのじゃないですか?」




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