この人たちに任せて本当に大丈夫?!
同封されていた「申請書兼同意書」には、「上記の事項について、同意の上、検査を受検いたします。」と書かれており、その上記の事項というのが、次のことです。
「 内部被ばく線量評価のための検査は、放射性物質(放射性セシウム)が体内に取り込まれているかを判断するための検査です。
検査結果については、皆様にお知らせするとともに、データはいわき市が保管し、必要に応じ、プライバシーに配慮した形で、検査結果の一部を公表させていただきます。
また、福島県が進める県民健康管理調査の一環として、県(県立医科大学を含む)に検査結果を提供することがあります。」
「福島県民はモルモットか?」という嫌な思いが頭をよぎったのが、最後の文の「県(県立医科大学を含む)に検査結果を提供することがあります。」というところです。
県立医科大学といえば、「ミスター100ミリシーベルト」の異名を持つ長崎大学の山下俊一教授が、原発事故の直後に佐藤雄平福島県知事の要請で「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命され、その後、県立医大の副学長兼放射線医学県民健康管理センター長に就任しています。
佐藤雄平福島県知事と山下俊一教授のことについては、当ブログでも以前お伝えしており、詳しことは、下記の記事をご覧ください。
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
人体実験を容認!! 福島県立医大 入学式
とにかく、通常のウランによる発電と比較し危険性と毒性をともなうプルサーマル発電を東京電力福島第一原発3号機に受け入れ、より深刻な被害を発生させる原因を作った県知事、100ミリシーベルトまでは安全だとして適切な対策を講じなかった山下教授、これらの人物の管理下で、検査データが恣意的に利用されはしないかという懸念がつきまといます。
そのような中、つい最近読んだ 「政府は必ず嘘をつく(堤未果著)」 という本に、私が危惧していることが現実になるのではないかということを予測させる記述があったので紹介します。

● 国際機関というと、つい私たちは信頼のおける機関として信用してしまいがちだが、実はそうではない。
国際放射線学会が放射線無害を表明している上に、バックについているWHO(世界保健機構)やIAEA(国際原子力機構)も、国連常任理事国同様、原発推進の立場である。
● 山下教授はチェルノブイリ原発事故の際、「放射線による影響はない」と報告した放射線影響研究所の重松逸造教授と同じ調査チームのメンバーである。
佐藤雄平知事から「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」として雇われた後、「朝日がん大賞」を受賞、それからまもなく、福島医大が放射線医療の拠点化を目指してまとめた「復興ビジョン」を出している。
(放射線関連の医療産業の集積に取り組む。産学連携の研究施設として、ふくしま医療産業振興拠点(仮称)を設け、地元や海外の企業と連携して放射性医療の検査、診断、治療に用いる機器開発などを促進する。研究のパートナーとなる企業誘致も進め、地域産業の活性化と雇用創出にもつなげる)(福島民報、2011年9月20日付)
さらに、8月9日には、山下氏の勤務する長崎大学がIAEAとの間で被ばく医療分野の学術交流や人材育成協力のための実務合意に調印している。IEAEは、原子力の平和利用を推進する目的で設立された国際機関だ。
その直後に、イギリスでは、WHOが「原発の人体への影響を担当する放射線健康局」を閉鎖しており、実質的な調査権限が原発推進機関であるIAEAに一本化されていたことを認めたニュースが流れた。
11月には、福島県は、野田総理に18歳以下の県民の医療費を無料化する要請を出している。
● 著者が取材した原発閉鎖を掲げるIPSEC(Indian Point Safe Energy Coalition)のメンバー、アレン・ギルバート医師は、「山下氏個人の意図がこうだと断定はできません。ですが、ここまで利害関係を持った人物を放射線アドバイザーとして県が迎え入れたことを、国民はその背景と共に重く受け止めるべきでしょう。判断するのが、日本の国民ですが、私ならマスコミに次々登場し安全を力説する学者たちの所属大学に、事故を起こした電力会社から約5億円という額が流れていることを重要視しますね。9・11後一斉にテレビに登場し『テロとの戦い』を煽った専門家たちも、政府に雇われていたことが、後で暴露されましたから。
ひとつ言えることは、福島は今、世界中の軍や医療従事者、学者や原発関係者にとって、のどから手が出るほど欲しい、被ばくにおける最新研究対象だということです」
● 利権構造全体を理解することは、重要な事実に関する隠ぺい、ねつ造、またはすり替えを見抜くためのカギになる。
原発の場合であれば、情報の発信元がその巨大な利権を支える〈原子力村)の構成員(官僚、電力会社、マスコミ、学者等)であるかどうかで、それを出す意図や受け手を導く方向性が変わってくるだろう。
ここでは、原発関連のことだけを紹介させていただきましたが、東京都が被災地の瓦礫の受け入れを表明した背景から「アラブの春」に至るまで、世界中の動きが、複雑な利権構造の中で流動していることを伝えています。
その背景にあるのは、想像を絶する資金力を付けた経済界が政治と癒着する(コーポラティズム)だ。
当然のことながら、情報を伝える側のマスコミも、この利権構造の中にからんでいるので、正確な情報を伝えようとはしない。
9・11では、マスコミのセンセーショナルな報道に気をとられていた国民は、その深刻さに気づかず、大惨事につけ込んで実施された大幅な規制緩和や市場化の過激な市場原理主義「ショック・ドクトリン」によって貧困格差が加速し続けている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この本を読むと、東日本大震災の被災地復興の名のもとに閣議決定された復興特別区域法や、野田政権が勧めようとしているTPP、大阪府の教育基本条例などが実施された後には、この日本がどうなるのかということが予測できます。
裏表紙に書かれているように「今こそ、自ら考え、行動し、真実を見抜く目を持つことの意義を問いかけている」のです。






- 関連記事