裁判所の存在価値を疑う二重課税の判決!
すでに過去のことになってしまった小泉氏・竹中氏による経済改革ですが、これによる負の側面については、いまだに社会に暗い影を落としています。
有村とおる氏のノンフィクション・ノベル、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 に掲載されている行政訴訟の根拠になった不正課税の問題も、小泉・竹中経済改革の負の遺産のひとつです。
三位一体の改革のもとに、国から地方への税源移譲が行われましたが、そこに悪辣で狡猾な不正が仕組まれていたのです。
三位一体の改革による税源移譲については、総務省のホームページに次のように掲載されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「三位一体の改革」とは、「地方にできることは地方に」という理念の下、国の関与を縮小し、地方の権限・責任を拡大して、地方分権を一層推進することを目指し、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直しの3つを一体として行う改革です。
このうち、税源移譲とは、納税者(国民)が国へ納める税(国税)を減らし、都道府県や市町村に納める税(地方税)を増やすことで、国から地方へ税源を移すことです。
税源移譲により、ほとんどの方は、平成19年1月から所得税(国税)が減り、その分6月から住民税(地方税)が増えています。
しかし、税源の移し替えなので、「所得税+住民税」の負担は基本的には変わりません。
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これを読むと、税源移譲により、いかにも地方の財政が潤い、裁量が拡大されるような印象を受けますが、実は、これが地方よりも国が潤い、国家の財政に1兆5千億円もの損失を生じさせ、さらには二重課税の問題を含んでいるとんでもない改革だったのです。
今回は、低所得者に課せられた二重課税のカラクリを、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 の中から紹介します。
不正課税のカラクリを理解するためにには、税金の仕組みをある程度知っておく必要があるので簡単に説明します。
所得に対する税金については、国に入る所得税と地方に入る住民税(住民税所得割)に分けられます。
所得税 + 住民税(住民税所得割)
所得税はその年の所得から算出され、住民税は前年の所得に基づいて算出されます。(いずれも暦年単位で計算)
つまり、次のようになります。(青字の部分)
平成17年分として支払うべき税金 16年の住民税 5%
17年の所得税 10%
平成18年分として支払うべき税金 17年の住民税 5%
18年の所得税 10%
ーーーーーー 税源移譲 ーーーーーーーーーーーーーー
平成19年分として支払うべき税金 18年の住民税 10%
19年の所得税 5%
これに平成18年の税率改定による低所得者(課税所得195万円以下)の課税税率の変化を書き加えたのが上記の赤字の部分です。
税源移譲で、所得税は(10%→5%)になり、住民税は(5%→10%)になります。
一見すると、どれも(5%+10%=15%)で、その年の分として支払うべき税金の均衡が取れていて問題がないように見受けられますが、これを課税標準(課税対象)に基づいて数字を並べ替えてみると、二重課税の実態が一目瞭然になります。
つまり、平成18年の所得に対しては、どれだけの税金が課せられたかという見方をします。そして、それは、平成17年や19年の所得に課せられた税率と比較して、どうであったのかということになります。
平成17年の所得に対し 所得税 10%
課せられた税金 住民税 5% (計 15%)
平成18年の所得に対し 所得税 10%
課せられた税金 住民税 10% (計 20%)
平成19年の所得に対し 所得税 5%
課せられた税金 住民税 10% (計 15%)
ご覧のとおり、平成18年の所得に課せられた税率だけが20%と高くなっているのです。
税源移譲によって、5%が所得税と住民税で二重取りされているのです。
適正に課税されるためには、平成18年の所得税を、変更される平成19年の住民税に合わせて調整するか、住民税の変更を平成20年からすべきだったのです。
ところが、所得税と住民税の課税時期がずれているにもかかわらず、一律に19年に所得税と住民税の両方が変更されているので、このようなおかしなことが起こったのです。
この税制改革の誤りを指摘したのが、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 の中に掲載されている行政訴訟だったのです。
この税金の二重取りに、財務省や総務省が気がつかないはずはありません。意図的に行ったとしか考えられません。
さらに驚くべきことは、この行政訴訟の判決の内容です。
原告は同一の課税標準(課税対象)に対し二重に税金が課されているということを丁寧の指摘しているにもかかわらず、裁判所は、一審、二審とも、その肝心な課税標準(課税対象)のことにはまったく触れず、おバカな論理で結論付けているのです。
まさに私の国家賠償訴訟の判決を彷彿させます。
国民の財産に影響を及ぼす重要な税金の問題に、このような判決しか書けないのであれば、裁判所の存在価値が疑われます。
是非、裁判資料の全文が掲載されている電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 でその実態をお確かめください。
不正課税の問題はこれだけではありません。低所得者が二重課税される一方で、高額所得者は一時的に減税され、それが1兆5千億円もの損失を生じさせたのです。
続きは次回にします。
ほら、ピーちゃんが飛んでいる ~文鳥、二重課税、行政訴訟~
App Store 販売中。iPad、iPhone に対応。
305ページ 600円。
ブックカテゴリーで「ピーちゃん」を検索してください。
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)
著者 有村とおる氏の紹介
千葉県出身。
2004年「暗黒の城(ダークキャッスル)」で第5回小松左京賞を受賞。
角川春樹事務所より出版
2011年「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」を App Store で電子出版
日本SF作家クラブ会員、日本推理作家協会会員
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)



有村とおる氏のノンフィクション・ノベル、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 に掲載されている行政訴訟の根拠になった不正課税の問題も、小泉・竹中経済改革の負の遺産のひとつです。
三位一体の改革のもとに、国から地方への税源移譲が行われましたが、そこに悪辣で狡猾な不正が仕組まれていたのです。
三位一体の改革による税源移譲については、総務省のホームページに次のように掲載されています。
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「三位一体の改革」とは、「地方にできることは地方に」という理念の下、国の関与を縮小し、地方の権限・責任を拡大して、地方分権を一層推進することを目指し、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直しの3つを一体として行う改革です。
このうち、税源移譲とは、納税者(国民)が国へ納める税(国税)を減らし、都道府県や市町村に納める税(地方税)を増やすことで、国から地方へ税源を移すことです。
税源移譲により、ほとんどの方は、平成19年1月から所得税(国税)が減り、その分6月から住民税(地方税)が増えています。
しかし、税源の移し替えなので、「所得税+住民税」の負担は基本的には変わりません。
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これを読むと、税源移譲により、いかにも地方の財政が潤い、裁量が拡大されるような印象を受けますが、実は、これが地方よりも国が潤い、国家の財政に1兆5千億円もの損失を生じさせ、さらには二重課税の問題を含んでいるとんでもない改革だったのです。
今回は、低所得者に課せられた二重課税のカラクリを、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 の中から紹介します。
不正課税のカラクリを理解するためにには、税金の仕組みをある程度知っておく必要があるので簡単に説明します。
所得に対する税金については、国に入る所得税と地方に入る住民税(住民税所得割)に分けられます。
所得税 + 住民税(住民税所得割)
所得税はその年の所得から算出され、住民税は前年の所得に基づいて算出されます。(いずれも暦年単位で計算)
つまり、次のようになります。(青字の部分)
平成17年分として支払うべき税金 16年の住民税 5%
17年の所得税 10%
平成18年分として支払うべき税金 17年の住民税 5%
18年の所得税 10%
ーーーーーー 税源移譲 ーーーーーーーーーーーーーー
平成19年分として支払うべき税金 18年の住民税 10%
19年の所得税 5%
これに平成18年の税率改定による低所得者(課税所得195万円以下)の課税税率の変化を書き加えたのが上記の赤字の部分です。
税源移譲で、所得税は(10%→5%)になり、住民税は(5%→10%)になります。
一見すると、どれも(5%+10%=15%)で、その年の分として支払うべき税金の均衡が取れていて問題がないように見受けられますが、これを課税標準(課税対象)に基づいて数字を並べ替えてみると、二重課税の実態が一目瞭然になります。
つまり、平成18年の所得に対しては、どれだけの税金が課せられたかという見方をします。そして、それは、平成17年や19年の所得に課せられた税率と比較して、どうであったのかということになります。
平成17年の所得に対し 所得税 10%
課せられた税金 住民税 5% (計 15%)
平成18年の所得に対し 所得税 10%
課せられた税金 住民税 10% (計 20%)
平成19年の所得に対し 所得税 5%
課せられた税金 住民税 10% (計 15%)
ご覧のとおり、平成18年の所得に課せられた税率だけが20%と高くなっているのです。
税源移譲によって、5%が所得税と住民税で二重取りされているのです。
適正に課税されるためには、平成18年の所得税を、変更される平成19年の住民税に合わせて調整するか、住民税の変更を平成20年からすべきだったのです。
ところが、所得税と住民税の課税時期がずれているにもかかわらず、一律に19年に所得税と住民税の両方が変更されているので、このようなおかしなことが起こったのです。
この税制改革の誤りを指摘したのが、電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 の中に掲載されている行政訴訟だったのです。
この税金の二重取りに、財務省や総務省が気がつかないはずはありません。意図的に行ったとしか考えられません。
さらに驚くべきことは、この行政訴訟の判決の内容です。
原告は同一の課税標準(課税対象)に対し二重に税金が課されているということを丁寧の指摘しているにもかかわらず、裁判所は、一審、二審とも、その肝心な課税標準(課税対象)のことにはまったく触れず、おバカな論理で結論付けているのです。
まさに私の国家賠償訴訟の判決を彷彿させます。

是非、裁判資料の全文が掲載されている電子書籍 「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」 でその実態をお確かめください。

続きは次回にします。
ほら、ピーちゃんが飛んでいる ~文鳥、二重課税、行政訴訟~
App Store 販売中。iPad、iPhone に対応。
305ページ 600円。
ブックカテゴリーで「ピーちゃん」を検索してください。
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)
著者 有村とおる氏の紹介
千葉県出身。
2004年「暗黒の城(ダークキャッスル)」で第5回小松左京賞を受賞。
角川春樹事務所より出版
2011年「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」を App Store で電子出版
日本SF作家クラブ会員、日本推理作家協会会員
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)



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