やっぱり裁判所は裸の王様だった! ~不正課税の行政訴訟~
被告の主張で、特に担当の行政職員がかかわった部分については矛盾が多く、指摘すると二転三転する曖昧な主張を繰り返し、捏造した証拠まで提出していました。それにもかかわらず、判決理由には、その職員の証言が証拠として採用されたのです。
しかも、1年9か月も続いた一審での裁判の内容にはほとんど触れることなく、一番最後に行われた職員に対する証人尋問での、嘘をもっともらしく作り上げたデタラメのストーリーの中の証言が判決理由に採用されたわけですから、判決理由を読んで愕然としました。さらに、私の正当性を示す上では重要な法律的要件となる信義則の主張については、主張していることすら判決書に盛り込まれませんでした。
一審の裁判の異常性については次の記事をご覧いただければわかります。
事件の経緯と裁判の最大の疑問点 ~記載されなかった信義則の主張
証拠採用の妥当性 ~一審の福島地方裁判所いわき支部判決~
仕組まれた? 証人尋問
それ以来、“裁判がおかしい!”“裁判所が変だ!”と思った私は、ネットで情報収集する一方、不正裁判や冤罪事件についての本を手当たり次第に読んできました。
そのような中で、先月ご紹介した有村とおる氏の電子書籍「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」に出会えたことは幸運でした。
ある出来事をきっかけに不正な課税に気がつき行政訴訟に訴えるのですが、その訴訟でも、またデタラメをされた経験をもつ、あるご夫婦の実話に基づいたノンフィクション・ノベルです。
電子書籍「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」は本人訴訟による行政訴訟の記録であることから、私の状況と極めて似ており、まさに、これまでの私の経験を再現しているようでした。
裁判に至る前の関係機関との不毛な攻防、様々なところに訴えるものの遅々として進まない様子、その長引く状況でモチベーションを保つことの難しさ、ネットを味方につけようとするものの顔の見えない相手からの度重なる妨害、事実を把握していながら無茶苦茶な屁理屈を繰り返す国、判例や法律、専門用語など形式を整えることはだけは一流でも、本質的な問題点を避け、おバカな論理で煙に巻く裁判所、初めから最後まで共感することばかりでした。
その中から判決について記述された部分を抜粋してご紹介します。
(国の答弁書に対し)
「~と主張しなければ論理上整合性が取れない。よほど頭の悪い代理人が「答弁書」を書いたか、事実を事実として認めたくないために、矛盾した「答弁書」になったのだろう。」
(一審判決に対し)
「民事訴訟で原告と被告の主張していない事柄を判決の根拠にするのは、基本原則(弁論主義)に反する。地裁が判決理由に挙げた主要な論点は、被告たる国も原告も主張していないインチキ論理だ。判決は、基本原則を勝手に踏み外して転んでしまったお粗末な詭弁にすぎない。原則無視の上に倫理が破綻しているのだから、始末に終えない。」
(二審判決に対し)
「肝心の課税対象(課税標準)については触れていない。係争になっている課税対象は、~(省略)~。それが唯一の争点なのに、~(省略)~と結論して、争点とかけ離れた事実をもって棄却理由とした。穴だらけの論旨だな、と私は嗤った。」
まさに、私の裁判でも心当たりのあることばかりです。
何から何まで私のケースと同じで、お役所はどこも同じなんだと共感すると同時に、私だけが特殊だったわけではなく、私のような経験をしている人は、このご夫婦以外にもたくさんいるはずだという認識を強めました。
電子書籍「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」が、行政訴訟の貴重な資料としても評価できる点は、裁判でのすべての書面が70~80ページにわたって全文掲載されていることです。
原告が「二重課税」の問題をていねいに、わかりやすく指摘しているというのに、それを理解しようとせず、「二重課税の意味が明瞭でない」「税法の基本的な解釈を誤解している」と、まるで原告に非があるかのような主張をする国、暦年と年度をわざと混同し、いたずらに複雑にすることで原告を欺こうとする裁判所・・・・、原告の理路整然とした主張に対し、なぜこんなデタラメでおバカな論理の答弁や判決理由が展開されるのかというそのプロセスを、つぶさに知ることができます。
また、関連する法規についても掲載されていますので、同じような問題で訴訟を検討されている方にも十分お役に立つはずです。
特に、行政訴訟や国家賠償訴訟などでは、新聞に掲載されているような判決理由(要旨)などを読んだだけでは、事件の真相や本質的な争点を正確に捉えることは不可能です。
原告・被告双方の主張が判決書にまとめられた段階で、事実とかけ離れた架空のストーリーが出来上がってしまい、それに基づいて判決理由が書かれているからです。(判決書を鵜呑みにしてはダメよ! ~嘘つきが勝利する暗黒裁判~)
ですから、電子書籍「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」を読んでいただくことで、判決書を読んだだけではわからない、驚くべきデタラメ裁判の実態を知ることができるはずです。

このノフィクション・ノベルには、税金や法律の問題ばかりではなく、小鳥とのふれあいが交互に織り交ぜられています。それは、村上春樹氏の「1Q84」の構成を彷彿させます。ご夫婦と小鳥たちのふれあい、小鳥同士の絆、成長とアクシデント、この出来事が、冷たいお役所との攻防の合間に、彩りと暖かさを添えてくれます。

ほら、ピーちゃんが飛んでいる ~文鳥、二重課税、行政訴訟~
App Store 販売中。iPad、iPhone に対応。
305ページ 600円。
ブックカテゴリーで「ピーちゃん」を検索してください。
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)
著者 有村とおる氏の紹介
千葉県出身。
2004年「暗黒の城(ダークキャッスル)」で第5回小松左京賞を受賞。
角川春樹事務所より出版
2011年「ほら、ピーちゃんが飛んでいる」を App Store で電子出版
日本SF作家クラブ会員、日本推理作家協会会員
(http://www.maroon.dti.ne.jp/littlebird/)
それにしても、小泉・竹中構造改革のまっただ中に行われた税制改革の財務省の狡猾さと悪辣さには驚かされます。三位一体改革による国から地方への税源移譲に名を借りた、まやかしの税制が、そこには潜んでいたのです。




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