起こるべくして起こった証拠捏造事件
それに先立ち、その際、伝え忘れたりすることがないようにと思い、昨日から、裁判の資料などの関連する箇所を、ひととおり目を通しているのですが、その中に、証拠捏造事件が起こる背景を裏打ちするような事実関係が過去にもありましたので、ご紹介しておきます。
これまでブログの中でお伝えしてきたことは、タイトルのとおり、ほとんど裁判に関連したことですので、裁判に至る前のことについては、あまり触れておらず、その触れていない部分から、今回の証拠捏造事件は、起こるべくして起こったということが読み取れるのです。
夫の長時間労働を労働基準監督署に相談したことが原因で、勤務先からの退職を余儀なくされたことについては、会社が悪いのか、労働基準監督署の対応に問題があったのか、当初は全く事情がわからなかったということは、以前お伝えしたとおりです。
その後、労働基準監督署に問題があったのではないかと気がつくきっかけになったのが、朝日新聞記者の取材でした。
夫の退職から1年近くたったある日、新聞の片隅に長時間労働に関する体験談募集の記事を見つけました。
労働基準監督署に相談したにもかかわらず、最悪の結末に至った至ったことに関して納得がいかなかった私は、さっそく、投書しました。目立つようにと、黄色い封筒で投稿しました。
それが功を奏したというわけではありませんが、それからしばらくたったある晩、朝日新聞の女性記者から電話がありました。電話で、かなり詳しく事情を聞かれた後、後日、直接会って取材を受けることになりました。
平成14年2月14日、記者は、富岡労働基準監督署で五十嵐署長を取材をした後の同日の夕方、いわき駅前で私を取材しました。
その際、私は、署長からの取材内容について、記者から知らされたのですが、以前、担当の監督官Hから受けていた説明には、虚偽のことが含まれていたことを、初めて知ったのでした。
富岡労働基準監督署の担当監督官の説明に不信感をもった私は、その後、福島労働局に対し、不明な点に関しての説明を求めたり、質問書を送り、回答するよう求めました。
記者の取材で知ったことも含め、担当監督官から受けていた不審な説明・言動を列挙します。
(下記は、質問書からの抜粋で、裁判の際にも、甲第10号証として提出しています。)
① 「全社的に捜査に入り、未払いの残業手当についてもしっかり支払わせる。」
「入退管理システムと勤務報告書の差異については、会社側に支払う責任がある。ただし、本人の要請による。もし、会社側がこの差異について残業と認めないと言ってきても、こちらが仕事をしていたと主張すればこちらの言い分が通る。会社側が、残業をしていなかったことを証明できなければ、会社に支払う必要がある。」
(12年12月26日、富岡署で初めて担当の監督官と面談した差異)
その後の展開、署長の見解と異なる。
② 「署長、課長、労働局の局長の3人で会社に行き、強制捜査の一歩手前まで来ている。」
(2回目の労基署の調査(13年2月16日)のとき)
事実と異なる説明。
③ 「会社から説得されないでくれ。会社から説得されたせいで、今まで何度も告訴告発がダメになった。」
(会社に労基署の調べが入る前後や、(会社との)示談交渉の前に度々)
是再勧告を出したがっている様子がうかがえる。
④ 「弁護士はこちらで付ける。」
(13年3月27日、(会社との)民事の示談交渉中、会社側に対し)
全くのデマ。
⑤ 「全国初の104条での告発だ。」
(富岡署で担当監督官との話し合いで)
話だけで、その後何の対応もない。
⑥ 会社の部長を、度々「声のでかいオヤジ」と表現していた。
公務員としての資質を疑うような言動。
以上のような担当監督官の不審な言動や署長の説明等から総合的に判断すると、次のようなことが推論されます。
(甲第10号証から抜粋。)
電話相談による富岡労働基準監督署の当初の調査の不備から、夫が退職を余儀なくされた。このことに対する私たちの憤り、非難を回避するために、担当の監督官は、実際にはありえないことも、可能であるかの説明を繰り返し、退職による損失が過少であるような錯覚、印象を私たちに与えた。
さらに、民事訴訟などで、このことが、監督官庁や社会に公になることを怖れ、民事の示談で片付けてしまった。
また、調査開始当初から、相談者の配慮するよりも、是正勧告を出し、実績をあげようとする姿勢が随所に感じられ、そのようなことが最悪の結果を招いた。

当初の労働基準監督業務のように、口頭で適当なことを言っている分には、録音などの客観的証拠が存在しませんので、犯罪性を追及ことは難しいかもしれませんが、裁判で文書を捏造したことは、それを裏付ける証拠もそろっていますので、逃れようもない犯罪なのです。



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