変質した民主国家!
独りよがりの情報では、知識や考えが偏りがちのなったりすることもありますが、多くの情報に触れることで、その偏りを修正することができ、信頼性の高い意見や考えをお伝えすることができますし、時には思わぬ方向へ話が展開することもあります。
最近、ある方から、私の乏しい知識に新たなカテゴリーを付け加えていただいたといっても過言ではない、素晴らしい本と、その著者を紹介していただきました。
それは、小室直樹氏の「痛快!憲法学(集英社インターナショナル)」という本です。
題名から、一見、憲法の解説書のようなイメージを受けますが、それが全然違うのです。
B5判(普通の大学ノートの大きさ)で横書き、ぺラぺラ、ページをめくると、写真や絵がふんだんに掲載されていて、さながら世界史の教科書といったところです。
実はこの本、欧米社会で、民主主義や憲法、資本主義が、どのようにして生まれ、発展してきたのかという人類の壮大な歴史が記されているのです。
キリスト教を拠り所に、元(原因)となる社会的背景から、その結果として新たな社会体制や制度が生じ、、さらに、それが覆され・・・という具合に、人々の興亡が繰り返されることで、欧米社会に、民主主義や資本主義が形成されていく過程が、壮大なスケールで体系的に描かれているのです。
それと対比する形で、日本は、どのようにして近代国家への道を歩んでいったのか、さらには、定着するかに見えた民主主義や憲法が、しだいに変質していき、司法・行政・立法の三権が官僚らの私有物と化し、日本が一種の機能不全に陥っていく様子が、戦争に突き進んだ政治情勢や田中角栄氏の暗黒裁判などを通して描かれています。
戦時においては、マスコミが大衆を戦争へとあおり立て、選挙に当選したい代議士は、マスコミに扇動された世論の方になびき、日本が、さらなる戦争へと突き進んでいく様子が克明に記されています。
マスコミに操られているという点では、日本の現在の状況と共通しています。
科学技術の発展においては、少し前まで常識であったものが、ほんの数年後には全く通用しなくなるということが多々ありますが、壮大な人類の歴史の中では、人々の怒りや不満、感情から突き動かされた社会の動きは、普遍的な社会の営みとして同じようなことが繰り返され、社会が発展してきたということが理解できます。
高校で世界史を勉強したときには暗記することばかり多くて、その面白さがわかりませんでした。
しかし、正確な史実に基づいて体系的に書かれたこの本は、歴史の流れがよく理解でき、現代社会においても歴史から学ぶべきことが多いということ、さらには、歴史を振り返ることで未来を予測できるということに、改めて気づかさせてくれました。
国家賠償訴訟をする以前は(正確には、一審判決が下される前までは)、私は、紛れもなく平和ボケした国民の一人であり、日本は平和な民主国家・法治国家であるということを疑いもなく信じていました。
ところが、インチキ裁判を経験したことで、見せかけの民主国家・法治国家であること、矛盾に満ちた社会であることに気がついた私は、社会の問題の本質を捉えている小室氏の考えに素直に共感できました。
現代日本が、なぜ民主国家・法治国家とはいえないような社会になってしまったのか

多くの社会問題を抱えた機能不全の社会に、どうして陥ってしまったのか





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