最高裁の判断だからって 鵜呑みにしちゃダメよ!
一昨日、最高裁第1小法廷は鈴木宗男議員の上告を棄却する決定をし、懲役2年、追徴金1100万円の実刑判決が確定し、近く収監されるというニュースが駆け巡りました。
その直後から、私のブログ 「鈴木宗男氏の外務委員長就任は、歪んだ司法判断への決別姿勢かもね!」へのアクセスが急増しました。
鈴木宗男氏の名前を含むキーワードの検索によるアクセスが大部分なのですが、タイトルのとおり1年も前の記事なので、お目当ての情報がなく、ガッカリされた方も多いと思います。
鈴木宗男氏に対しては、かつて、喜怒哀楽の激しい小熊のようなおじさんというマスコミにより作り上げられたイメージしか、私にはありませんでした。
当時、まだ司法やマスコミを信頼していた私は、犯罪の疑いが濃厚という印象を根拠もなく抱いていたのです。
ところが、鈴木宗男氏の著書「汚名(講談社)」を読んで、鈴木宗男氏に抱いていた悪いイメージが一気に払拭されました。
(詳しくは、上記の「鈴木宗男氏の外務委員長就任は、歪んだ司法判断への決別姿勢かもね!」 をご覧ください。)
ですから、一昨日、上告棄却の報道を知ったときには、衝撃とともに、最高裁と、既得権益を守ろうとしている者たちが仕組んだ陰謀のようなものを、直感的に感じ取りました。
首相を選ぶことになる党首選を目前に控えたこのタイミングに、鈴木宗男氏に対する最高裁の決定がされたということは、国策による疑いを否定できません。
その理由は、二つ考えられます。
最大の理由は、昨年9月、民主党に政権交代した際に、幹事長だった小沢氏と、外務委員長だった鈴木宗男氏を結びつけることで、小沢氏に対する政治とお金の悪いイメージを増幅させ、党首選に悪影響を与えること。
もうひとつは、仮に小沢氏が首相になった場合、捜査機関の取り調べの手法や司法判断に強い不満をお持ちの両氏が、連携して司法の近代化・改革を推し進めることが予想され、それを阻止するためではないかと、個人的には考えております。
司法が近代化されることで、これまで既得権の恩恵を受けてきた者たちの過去の不正が明らかになる可能性が高く、彼らにとっては、どうしても回避したい事態だからです。
多くのみなさんは、最高裁の判断だから絶対に正しいのだという誤ったイメージをおもちかも知れませんが、正しい情報に基づいて個々の事件を検証してみると、いくつかの事件については、その間違いに気がつくはずです。
多くの国民が最高裁に対して抱いている信頼で築き上げられている“(表面的な)権威が発する幻想”により、最高裁の判断は絶対的で正しいというイメージが、国民の潜在意識の中に埋め込まれているということに気がつくべきです。
元大阪高裁判事だった生田暉雄氏の著書『裁判が日本を変える!』には、次のように書かれています。
「一度でも裁判に関係した人は、法的サービスという役割を忘れた裁判所・裁判官のきわだった権威主義的態度にお気づきのことと思います。裁判の内容によって国民から信頼を得るのではなく、外形的な権威で裁判の尊厳を保とうとしているのです。」
裁判を経験した私は、まさに、そのことを実感しています。 最高裁の判断だからといって、それを鵜呑みにすべきではないのです。
最後に、鈴木宗男氏の“戦友”である佐藤優氏のブログ【佐藤優の眼光紙背】の記事「なぜ最高裁はこのタイミングで鈴木宗男衆議院議員 の上告を棄却したか?」をご紹介します。
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9月8日午後、7日付で最高裁判所第一小法廷が鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)の上告を棄却した。鈴木氏の弁護人は異議を申し立る意向を表明しているが、過去の例でこの種の異議が認められたことはない。近く懲役2年の実刑が確定し、鈴木氏は刑務所に収監される。
最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。
このタイミングで最高裁判所の司法官僚が鈴木氏の上告棄却を決定したことは、きわめて合理的だ。それには2つの理由がある。
第1の理由は、9月10日に大阪地方裁判所で行われる村木厚子元厚生労働省局長の裁刑事判で、無罪判決が予想されているからだ。そうなれば特捜検察は正義の味方であるという神話が裁判所によって覆される。当然、世論の特捜検察の取り調べに対する疑念と批判がかつてなく強まる。そうなると、「国策捜査」によって事件が作られたという鈴木氏の主張を完全に無視することができなくなる。
第2の理由は9月14日の民主党代表選挙で小沢一郎前幹事長が当選する可能性があるからだ。最高裁判所の司法官僚にとっては、これも頭痛の種だ。小沢氏は鈴木氏の政治的能力を高く評価している。そもそも鈴木氏を衆議院外務委員長に抜擢したのは小沢氏だ。小沢政権になれば鈴木氏が政府の要職に就くなど、政治的影響力が高まるのは必至だ。そうすれば排除が困難になる。
この結果にいちばん喜んでいるのは外務官僚だ。鈴木氏が収監されることにより外交機密費(報償費)の不正使用や、外交秘密文書の破棄に対する責任を追及する政治家がいなくなると外務官僚はほっとしている。しかし安心するのはまだ早い。鈴木氏は小沢氏に外務官僚に関するヤバイ情報をすべて引き継いでいるはずだからだ。
いずれにせよ、今回、最高裁判所が鈴木氏の上告を棄却したことは、普通の国民の目には見えにくいが、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、資格試験に合格したエリート官僚と国民によって選ばれた国会議員の間で展開されている熾烈な権力闘争を反映したものだ。(2010年9月8日脱稿)
提供:眼光紙背
2010年09月08日16時14分



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