公務員に都合がよいはずの国家賠償法があだに!
前回の記事の告訴状を見ていただくと、法律に詳しい方なら、“あれっ”と思われたかもしれません。
それは、偽証罪は第三者である証人に適用されるものであるにもかかわらず、民事裁判の被告公務員が偽証罪で告訴されているからです。
今回は、これに関連したことをお伝えします。
国家賠償訴訟に関する判例(最高裁昭和53年10月20日判決・民集32巻7号1367ページ)によれば、国が国家賠償法1条1項の責任を負うとした場合には、その責任主体は国であって、公務員個人に対して損害賠償請求をすることができないとしています。
しかし、私の場合には、単に損害賠償のみを目的としているわけではなく、真相の究明も主要な目的としていましたので、あえて、国のほかに労働基準監督署の署長と担当職員の2人を被告に加え、提訴しました。
ところが、実際に裁判が始まってみると、国、署長I、職員Hの三者が提出した書面も証拠書類も、被告それぞれの氏名や就業先以外は、内容が、一字一句同じでした。
国の指定代理人が作成した書面や、準備した証拠を、そのまま複写しているだけなのです。
たとえば、職員Hのみがかかわっている部分については、署長Iはかかわっておらず、「不知」とすべきところを、「認める」あるいは「否認する」などと書かれており、事実に即して記載されておらず、公務員個人を訴えている意味が全くないのです。
これでは、公務員個人に対する訴訟費用が無駄になるだけだと思い、署長Iと職員Hに対する請求は、一審の途中で取り下げました。
そのことにより、職員Hは、訴訟の当事者本人ではなくなり、第三者の立場の証人となり、今回の告訴で偽証罪が問えることになったのです。
本人が偽証した場合と、証人が偽証した場合の法律を比較してみます。
《本人が偽証した場合》
民事訴訟法 第209条1項 宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
《証人が偽証した場合》
刑法 第169条 法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
どちらも虚偽の陳述をすることには変わりないのですが、「本人」と「証人(第三者)」の立場の違いで、罪の重さが、だいぶ異ってしまうのです。
自分に有利なように述べるという人間の心理に対しては、法律も寛大であるということなのでしょうか。
ところが、公務員に都合がよいようにできているはずの国家賠償法が、ここでは、あだとなってしまうのです。
つまり、国家賠償訴訟の場合は、被告はあくまでも国ですので、事件の核心部分に直接かかわった“張本人”であっても、訴訟当事者本人ではない第三者である証人になるわけで、自分が直接かかわったことについて、自分に都合がよいように虚偽の証言をしたとしても、刑法の偽証罪という厳しい制裁が加えられることになるのです。
事件の発端になった労働基準監督署の不適切な対応に対しては、信義則に反するなどの法令違反や、公務員職権濫用罪などの疑いも考えられますが、刑事事件としての責任が問えるかどうかということに関しては、決定的な要件に乏しく、極めて困難であったと思われます。
ところが、国家賠償訴訟訴に至ったことで、新たに、証拠捏造という決定的な犯罪行為が明らかになったのです。
労働基準監督署の対応が適切であったと確信できるのであれば、証拠を捏造する必要性は全くなく、不適切な対応であったからこそ、証拠を捏造する必要があったのです。
また、私自身にとっても、国家賠償訴訟で事実関係が正しく判断されていたのなら、捏造証拠を提出した職員を刑事告訴することはなかったと思います。
刑事告訴している部分というのは、私が直接かかわっている部分で、しかも証拠が十分揃っているところなのですが、このほかにも、この職員が作成した陳述書には多くの虚偽の部分が含まれており、それにもかかわらず、一審の福島地裁いわき支部が、書証等の客観的証拠を無視し、この職員の証言を証拠として採用したということは、陳述書の多くの虚偽の部分がすべて正当化されたのも同然のこととして受け取れるので、私としては、これを見逃すわけにはいかなかったのです。
ですから、今回の刑事告訴は、そのデタラメ裁判の実態を証明するための手段でもあるのです。
自業自得とはいえ、捏造証拠を提出した職員も、ある意味デタラメな国家賠償訴訟の被害者でもあるのです。


それは、偽証罪は第三者である証人に適用されるものであるにもかかわらず、民事裁判の被告公務員が偽証罪で告訴されているからです。
今回は、これに関連したことをお伝えします。
国家賠償訴訟に関する判例(最高裁昭和53年10月20日判決・民集32巻7号1367ページ)によれば、国が国家賠償法1条1項の責任を負うとした場合には、その責任主体は国であって、公務員個人に対して損害賠償請求をすることができないとしています。
しかし、私の場合には、単に損害賠償のみを目的としているわけではなく、真相の究明も主要な目的としていましたので、あえて、国のほかに労働基準監督署の署長と担当職員の2人を被告に加え、提訴しました。
ところが、実際に裁判が始まってみると、国、署長I、職員Hの三者が提出した書面も証拠書類も、被告それぞれの氏名や就業先以外は、内容が、一字一句同じでした。
国の指定代理人が作成した書面や、準備した証拠を、そのまま複写しているだけなのです。
たとえば、職員Hのみがかかわっている部分については、署長Iはかかわっておらず、「不知」とすべきところを、「認める」あるいは「否認する」などと書かれており、事実に即して記載されておらず、公務員個人を訴えている意味が全くないのです。
これでは、公務員個人に対する訴訟費用が無駄になるだけだと思い、署長Iと職員Hに対する請求は、一審の途中で取り下げました。
そのことにより、職員Hは、訴訟の当事者本人ではなくなり、第三者の立場の証人となり、今回の告訴で偽証罪が問えることになったのです。
本人が偽証した場合と、証人が偽証した場合の法律を比較してみます。
《本人が偽証した場合》
民事訴訟法 第209条1項 宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
《証人が偽証した場合》
刑法 第169条 法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
どちらも虚偽の陳述をすることには変わりないのですが、「本人」と「証人(第三者)」の立場の違いで、罪の重さが、だいぶ異ってしまうのです。
自分に有利なように述べるという人間の心理に対しては、法律も寛大であるということなのでしょうか。

つまり、国家賠償訴訟の場合は、被告はあくまでも国ですので、事件の核心部分に直接かかわった“張本人”であっても、訴訟当事者本人ではない第三者である証人になるわけで、自分が直接かかわったことについて、自分に都合がよいように虚偽の証言をしたとしても、刑法の偽証罪という厳しい制裁が加えられることになるのです。
事件の発端になった労働基準監督署の不適切な対応に対しては、信義則に反するなどの法令違反や、公務員職権濫用罪などの疑いも考えられますが、刑事事件としての責任が問えるかどうかということに関しては、決定的な要件に乏しく、極めて困難であったと思われます。
ところが、国家賠償訴訟訴に至ったことで、新たに、証拠捏造という決定的な犯罪行為が明らかになったのです。
労働基準監督署の対応が適切であったと確信できるのであれば、証拠を捏造する必要性は全くなく、不適切な対応であったからこそ、証拠を捏造する必要があったのです。
また、私自身にとっても、国家賠償訴訟で事実関係が正しく判断されていたのなら、捏造証拠を提出した職員を刑事告訴することはなかったと思います。
刑事告訴している部分というのは、私が直接かかわっている部分で、しかも証拠が十分揃っているところなのですが、このほかにも、この職員が作成した陳述書には多くの虚偽の部分が含まれており、それにもかかわらず、一審の福島地裁いわき支部が、書証等の客観的証拠を無視し、この職員の証言を証拠として採用したということは、陳述書の多くの虚偽の部分がすべて正当化されたのも同然のこととして受け取れるので、私としては、これを見逃すわけにはいかなかったのです。
ですから、今回の刑事告訴は、そのデタラメ裁判の実態を証明するための手段でもあるのです。




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