組織防衛と保身のための愚かな構図
しかも、20近くの記事が、犯人のIPアドレスを公表するまで次々とやられました。
当然、捜査機関が事件として扱い、犯人を特定し、責任が糾明されるべき事件です。
ところが、当初、告訴状を提出しようとした時期から、すでに3ヶ月が経過しており、告訴状の受理に、捜査機関が、かなり、てこずっている様子がうかがえます。
私のブログが司法批判の記事が中心であることはともかくとしても、前回の記事でお伝えしたとおり、問題のサイトは、福島県警と何らかのかかわりがあるのではないかという疑念がもたれます。
現時点で、それらの関係について、ハッキリ断定できる状況にはありませんが、とりわけ、捜査機関が関係している事件は、過去において、証拠隠滅や捏造による事件の隠蔽が繰り返されてきたようです。
ですから、今後、捜査機関が告訴状を正式に受理し、立件、起訴するのかは、しっかり見極めなければならないことなのです。
刑事事件として立件すべき事件を、立件せずに揉み消した場合、警察幹部が刑法103条の犯人隠避罪に問われ、これまで多くの有罪判決が出されています。
捜査関係者による事件の揉み消しに関して、たいへん興味深いサイトを見つけましたので、ご紹介します。
沖縄県警で1990年代に発生し、2000年代になってから発覚した沖縄県警幹部による一連の刑事事件揉み消しに関するサイトで、 「沖縄県警で発覚した一連の不祥事と今後の対応に関する意見書 」 (警務監察部門の動きを知りうる立場にある県警中級幹部と弁護士の共同執筆。)と題するものと、 「『沖縄県警で発覚した一連の不祥事と、今後の対応に関する意見書』に対する補足・訂正意見 」です。
とても長い文書なので、それぞれの要点のみを抜粋して、まとめてみました。
沖縄県では、県警最高幹部の「誤った組織防衛意識」や「自分の経歴に傷を付けたくないという保身」などにより、刑事事件としての立件、懲戒処分、マスコミへの公表といった適切な処置が取られることなく闇に葬られていた一連の不祥事が、県警内の内部告発等をきっかけとして、次々と表面化した。
同様の警察幹部による事件の揉み消しが、他の県でも行われている。
【例】
沖縄県警内部の一連の事件
○ 1994年に発覚した警部による住宅手当不正受給詐欺事件
○ 1994年に発覚した交通部長、運転免許課長による免許証不正交付事件
○ 1997年に発覚した巡査部長による15年間無免許運転事件
○ 1999年に、神奈川県警の元本部長が、県警の現職警察官(外事課警部補)の覚せい剤自己使用、同所持について、刑事事件として立件せず、「不倫を理由にして論旨免職処分にしろ」としたこと。
→犯人隠避罪等で起訴され、第一審横浜地裁の有罪判決。
○ 福島県警で公安委員長が警察署長に頼んで知人の交通違反(酒気帯び運転)の揉み消しをしてもらった。
→2001年に、元公安委員長と元警察署長に罰金20万円の有罪判決。
○ 1995年に、富山県警の元本部長が、捜査協力者の犯罪は面倒見るのが当たり前だったとして、県警の捜査員が特別協力者として運用している常習者の、覚せい剤取締法違反事件の立件をしなかった。
立件するに値する悪質・重大な事件であるかどうかは、検討される必要があるが、法律的には、以下のようになっている。
(刑事事件の立件、すなわち、犯罪捜査という位置づけについて)
刑事訴訟法は第189条第2項(一般司法警察職員と捜査)
「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」
警察が「第一次捜査機関」として犯罪の捜査を義務的に行わなければならない。
↓
同法第246条(司法警察員から検察官への事件の送致)
「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。 但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。」
「全件送致主義」で、警察の勝手な判断で犯罪の捜査をサボタージュすることに縛りをかけている。
↓
(事件が検察官に送致された後は)
同法第248条(起訴便宜主義)
「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」
「起訴便宜主義」を規定しており、起訴するか否かの段階においては、検察官に一定の裁量権を与えている。
ここで重要なことは、刑事訴訟法は検察官の起訴に関しては裁量権を認めているが、警察段階の捜査に関しては、(犯罪の認知)→(警察による捜査)→(検察への送致)という流れについて、義務的にやれと命じており、警察の裁量で捜査をしないというようなことは一切認めていないということである。
しかし、警察の捜査力、人員にも限界があり、全ての犯罪の捜査を現実に実行できるものでもない。
そこで、立件するに値する悪質・重大な犯罪のに、警察の捜査力を効率的に配分するということが現実には行われている。
一般県民の場合であれば、被害額千円程度の無銭飲食でも検挙、すなわち刑事事件として立件された例はいくらでもあり、沖縄県警の一連の不祥事案について、当時の県警幹部が刑事事件として立件しなかったことは、当然、刑法103条の犯人隠避罪に該当する。
沖縄県警の一連の不祥事については、免許証のコピーに関する「有印公文書偽造・同行使」のみが唯一公訴時効未完成で、その余の犯罪行為は、既に揉み消し行為発覚時において公訴時効が完成してしまっている。
以上が、沖縄県警幹部による一連の刑事事件揉み消しに関するサイトからのまとめです。
警察幹部による様々な揉み消し事件がありますが、共通して言えることは、刑法103条の犯人隠避罪のハードルはそれほど高くないということです。
警察幹部の「誤った組織防衛意識」や「自分の経歴に傷を付けたくないという保身」などにより、事件を揉み消して、本来の事件の犯人を見逃してあげるはずが、バレテしまい、幹部が余計、厳しく処罰される羽目になったという、実に滑稽なケースでもあるのです。
これと似たような構図の事件、どこかにもありましたね。
思い出していただけたでしょうか。
それは、他人のトラブルを踏み台に漁夫の利を目論むヒラメ裁判官と、実に類似しています。
事件の発端となった当の本人は、不公正な裁判により保護され、本来の事件とは全く関係ない裁判官が、批判されたり、刑事告訴されたり、挙げ句の果ては依願退官(?)・・・・





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