不公正な国家賠償訴訟
裁判所と法務局のダブル不正によって行われた国家賠償訴訟の闇を暴きます
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原子力発電
不可解な原発爆発事故の説明
大地震と想像を絶する大津波が、東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらしました。
大自然の脅威に、人間は無力であることを実感しています。
風光明媚な海岸線を飲み込み、一瞬にして多くの命を奪い、たくさんの人びとが暮らしていた町を壊滅状態にした津波の破壊力には、ただただ驚くばかりです。
私も、安否不明な知人や親戚がおり、心配しております。
一人でも多くの方が救出されますことをお祈りしています。
ご心配をお掛けしましたが、私は無事でおります。
物が落ちて壊れるなどしましたが、比較的被害が少なかったようです。
福島では、地震や津波で多くの犠牲者や被害が生じましたが、さらに追い討ちをかけるように福島第一原発で相次ぐ爆発事故があり、不安を募らせています。
政府や原子力安全保安院の説明を聞いていると、回りくどくて、結局、何を言いたいのか、さっぱり分かりません。肝心なところが、しっかり説明されていません。
東京電力が、計画停電をするの・しないので報道が振り回されていますが、もしかしたら原発爆発の報道を避けるために仕組くんだんじゃないかって、勘ぐってしまいます。
政府や東京電力は、重大事故の正確なデータを公表せず、被害を過小に伝えているようでなりません。
この間にも、被曝による被害は拡大しているのではないかと危惧されます。
政府の発表を信用せず、自分自身で、放射能漏れから身を守る必要があります。
ちょっと古い情報からですが、まさに、このことを専門家も指摘しています。
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「原子力事故が起こったら 市民の防災ノート・伊那谷版」
http://www.lohasworld.jp/yomimono/atomdez2.html
からの抜粋です。(文章の順番が前後します。)
事故の際に政府の発表する公式見解は、あてにできない。
一般に、政府や行政機関は、私たち個人の、健康や“いのち”を守ることより、秩序や統制を守ることに目が向くようです。
政府発表の「安全宣言」も,あてにはなりません。
私たちが自らの“いのち”を守るためには、公式発表をうのみにせずに、自分で正しく判断する必要があると思います。
また、みずから情報を集めることも事故の際にはとても大切なことです。
チェルノブイリ、スリーマイル島の事故の共通点として、迅速かつ正確な情報が行政側から得られずに、地元の住民たちが多量の放射能を浴びたことがあげられます。
チェルノブイリ周辺では、最近になって白血病やガンで死ぬ人や、子供たちの甲状腺異常が急速に増えているそうです。
チェルノブイリやスリーマイル島の事故もそうですし、1991年の美浜2号機や、もんじゅの事故でも、公の機関は事故を秘密にし、過小評価することが傾向として現れています。
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「放射能汚染と被曝 小出 裕章
<本稿は「技術と人間」1999年12月号に掲載された.>」
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/jco/kid9912.html
からの抜粋です。
(1999年のJCO燃料加工工場での臨界事故に関してです。)
Ⅳ.国の姿と不可能な原子力防災
依らしむべし知らしむべからず
今回の事故に対して国がとった対応をみると、国というものの本質を見る思いがする。国はもともと住民を守る気などさらさらないということである。すでに述べたように、原子力の安全規制を一手に握ってきた国は、今回の事故に当たって、何の対応もとらなかった。やむなく、東海村が三五〇メートル圏内住民の避難要請、茨城県が一〇キロメートル圏内住民の屋内退避要請を出すが、なぜそうした措置が必要だったかの根拠は示されなかった。また、それらの要請は翌々日、翌日にそれぞれ解除されるが、そのときにもまた根拠は示されなかった。そのうえ、これもすでに述べたように、国はヨウ素による汚染を知りながら、一切の情報を公開しなかった。さらに、一〇月二日には農作物に関する「安全宣言」を出すが、これまた根拠は示されなかった。
また、中性子線の測定が始まり、臨界が継続していることが認識された九月三〇日夜には、避難範囲を三五〇メートルからせめて五〇〇メートルに拡大する必要があることも、緊急助言者組織内で議論されるが、そうした措置をとれば混乱が起きるとの理由で、見送られた。さらに、住民が避難した舟石川コミュニティーセンターがJCOからの風下に当たり、放射性雲に巻き込まれたことも認識され、住民を別の場所に避難させることも議論されたが、それもまた見送られる。
もともと不可能な原子力防災
表1(省略します。詳しくは、上記のサイトをご覧ください。)にJCO事故に関連した行政当局の対応を一覧表にして示す。事故発生四〇分後にはJCOから科技庁に連絡が行っているが、科技庁の災害対策本部、政府の事故対策本部が作られたのは、それぞれ事故後四時間、四時間半経ってからであった。さらに安全委員会の中に専門家集団として緊急助言者組織を作ると決まるまでにはさらに時間がかかって、事故後五時間であった。おまけに、これらの組織が会合を開くまでにはさらにまた時間がかかり、緊急助言者組織の初会合が開かれたのは、事故後七時間半経ってからであった。その間、何の術もないまま放射線と放射能が労働者、住民を襲っていた。
日本の原子力発電所が立地するにあたっては、安全審査を受けることになっている。その安全審査では、「重大事故」、「仮想事故」と呼ばれる事故が起きると仮定し、周辺の被曝線量が評価される。しかし、それらの事故は、いかにも最大限の事故であるかのように装われながら、実際には、炉心溶融は決して起きない事故でしかない。従来、炉心溶融が起こるような事故は、「想定不適当事故」という烙印を押されて、無視されてきたのであったが、そうした事故が起きないと断言できるわけではなく、最近になってようやく「シビア・アクシンデト」と言葉を換えて呼ばれるようになり、それへの対策を取ることが求められるようになった。仮に、そうした事故が発生するのであれば、環境への放射能放出は事故発生二時間後から三〇分の間に起こる。
原子炉とはもともと臨界状態を発生させるための装置であり、核分裂反応で生じる中性子線やガンマ線に対する防護措置を前提としている。一方、今回の事故は、JCOという燃料加工工場で起きた事故であり、もともと臨界状態wp想定していない場所での事故であった。そのため、労働者と住民の被曝の大部分は、反応で直接生じる中性子線とガンマ線によって引き起こされた。しかし、放射能(核分裂生成物)による被曝がなかったわけではない。ただ、燃料加工工場での臨界事故という性質上、今回のJCO事故で燃えたウランの量は、一ミリグラム程度でしかなかった。広島原爆で燃えたウランの量は七五〇グラムであり、それにくらべれば約一〇〇万分の一でしかない。ところが、今日では標準的になった一〇〇万キロワットの原子力発電所では、一年間に一〇〇〇キログラムのウランを燃やす。JCO事故に比べれば一〇億倍である。仮に、その九九%の閉じこめに成功したとしても、JCO事故の一〇〇〇万倍の放射能が環境に放出される。その原子力発電所で事故が起きてなお、住民が被曝から守られるなどと言うのであれば、もはやそれは信仰という以外にない。
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「原子力事故が起こったら 市民の防災ノート・伊那谷版」
http://www.lohasworld.jp/yomimono/atomdez2.html
からの抜粋です。(文章の順番が前後します。)
万一に備えて、自分たちの防災マニュアルを持つことが必要
放射能に対する正しい知識を身につけることが、災害のときのみならず、普段の生活において放射能を防ぐためにも大切なことです。
放射能災害では、大量の放射能が細かなちり状になって空気に混じり降ってきます。
目に見えず、においも無い放射能の災害は実感が伴わないので過剰かと思うくらいの対策を持つべきです。
5年後10年後にガンになったりする前に、できるだけの努力はしてみましょう。
放射能による被害は6~10シーベルトで死亡、1シーベルト以上で放射線傷害、0.1シーベルト以上だと高いガンの可能性があり、0.01シーベルト以上なら将来的にガンが発生しやすくなるというのが大まかな目安です。
原発から環境に放出された放射能は人々の肺に吸い込まれたり、地面に沈着して作物に取り込まれ、食物とともに体内に取り込まれたりします。
地面の放射能からは直接ガンマ線を被爆し、体内の放射能からはα線、β線、γ線すべてを被爆することになります。
短期的には半減期の短い放射能、特に甲状腺に集まって集中的にβ線とγ線を浴びせるヨウ素131、長期的には筋肉に取り込まれるセシウム134と137、灰の粘膜に付着して猛烈なα線を浴びせるプルトニウム、骨に沈着してなかなか排出されないストロンチウム90などが、深刻な影響を与える放射能です。
最初の数日間は揮発性のヨウ素の影響を少なくすることを、最重要に考えていく必要があります。それには、ヨウ素剤の服用が有効です。
原発事故が起きると、真っ先に放射性ヨウ素が飛んできます。子供たちが甲状腺に多量の放射性ヨウ素を取り込む前に、ヨウ素剤を、と私たちは言ってきました。ところがなかなか薬局でもヨウ素剤が手に入りにくくなってきています。8月号の「食品と暮らしの安全」に、ヨウ素を昆布で摂る場合の目安が載っていました。
[
「食品と暮らしの安全」によりますと、事故が起こったらすぐに昆布・とろろ昆布を一日50g食べはじめ、4日目には20gに減らすそうです。子供はこの半分。備蓄量は一人500g。昆布は古くなると酸化しますので、エージレスか何かと一緒に密封して保管しておきます。
]
↓
↓
この部分ですが、『食品と暮らしの安全』
↓
中戸川様よりコメントをいただきましたので、
↓
次のように訂正させていただきます。
↓
[
トロロ昆布の量
昆布を「1日に50g」は食べすぎです。
記事は1999年に書かれたもので、チェルノブイリを上回る大事故を想定し、行政のヨウ素剤が手に入らないときの自衛策として「50gの昆布を食べよう」と提案した内容です。50gというのは、ヨウ素剤の成分量に相当します。
しかし、ヨウ素の1日摂取基準を考えると、昆布を2g程度食べただけで1日の許容上限量を超えますから、50gでは過剰摂取の害が出ると思います。
実際に大事故が起き、高濃度の放射性ヨウ素にさらされるような状況であれば別ですが、通常は50gのような極端な食べ方をせず、毎日1g程度までにしてください。
]
市民の防災マニュアル
放射能雲はガス状のものと1000分の1mm程度の超微粒子で成り立っています。
通常の雲のように、目に見えるとは限りません。
超微粒子は触れるものすべてに付着するので、呼吸で吸い込んだ場合は肺に沈着します。
したがって、自分の住居が放射能雲の通路に当たった場合、次のような措置が必要になってきます。
1 窓を閉め、隙間を目張りして家屋を気密にする。
2 ヨウ素剤を早めに服用する。
3 放射能雲に巻き込まれているときとその後しばらくは、屋内でも何枚も重ねた
濡れタオルをマスクにして、直接空気を吸わないようにする。電気が
使えれば空気清浄器も有効。ただし、集塵機に放射能がたまる。
4 ありとあらゆる容器に飲料水を溜める。保存食をできるだけ多く確保する。
放射能雲が到着したあとは井戸水や水道の水を飲まない。性能の良い
浄水器はある程度有効だが、これも浄水器自体に放射能が蓄積する。
5 放射能雲に巻き込まれている間は外出は控える。やむを得ないときには
雨合羽等で装備して外出する。帰宅の際は衣服を着替え脱いだものは
屋外に廃棄する。
6 雨や雪が降っているときは特別な注意が必要。雨や雪は放射能微粒子を
ため込むため、非常にリスクが高くなる。雨や雪のときは外出しない。
と
にかく、政府の発表を当てにせず、自分自身で放射線から防護することが大切です。
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原子力発電
避難先から戻って来ました!
1ヵ月ほどブログをお休みしていましたが、再開します。
物資不足と断水、そして何より放射線から逃れるため、しばらくの間、西日本の親戚の家に避難していましたが、12日に、いわきに戻って来ました。
帰る際、東京駅で高速バスの切符を買おうとしたところ、その1時間ほど前にあった震度6弱(いわき)の地震の影響で、運行を見合わせているということでした。
いわきまで辿り着けるのか不安でしたが、まもなく運転が再開され,どうにかバスに乗り込むことができました。
。
いわき市内にある勿来(なこそ)インターから先は通行止めで、一般道を走行したのですが、道路がいたるところデコボコしており、のろのろ運転の車でかなり酷い渋滞となっていました。
ところが、渋滞していたのは一部の区域だけで、そのほかは車もまばらです。見慣れているはずの街並みも、さほど遅い時間でもないのに、多くのお店の明かりが消えていて暗く、いったい、ここはどこの街なのかと錯覚するほどでした。
改めて、被災地に戻ってきたという感じがしました。
電気やガスは、先月11日の地震の後も正常に供給されていましたが、水道は地震で断水になり、一旦は復旧したものの、今月11日の震度6弱の地震で再び断水してしまったということです。
家に着いて、まず行ったことは、給油です。何をするにもガソリンがなければ行動できません。
バスから見えた、唯一営業していたセルフのガソリンスタンドに、給油に行きました。
制限はなく、満タンに入れることができました。
次は、なんと言っても、水を確保しなければなりません。
近所の給水所2箇所を回ってみましたが、遅い時間だったため、どちらもやっていませんでした。
仕方なく、市の中心部にある水道局の24時間やっている給水所まで行きました。
翌日は、その3日ほど前から営業を再開したばかりの近くのスーパーに買い物に行きました。普段と変わらないぐらい豊富に品物が揃っており安心しました。
避難先では、震災の影響で品薄だった大手メーカーのヨーグルトもたくさんありました。
でも、それまでのように、必要な物をポンポンとかごの中に入れるわけにはいきません。
まずは産地を確かめ、できるだけ原発から遠い地域のものを選びます。野菜などは産地が細かく表示されていますが、肉の場合は「国産」という表示のだけのものもあり、そういうものは、つい避けてしまいます。
通常なら避けてしまいがちな輸入された肉や野菜を敢えて選んだりもしています。
福島や茨城のおいしそうな野菜や果物も、通常より安い価格で並べられていますが、どうしても購入する気にはなれません。
このような行動をとらなければならない背景には、政府の発表に不信感をもっているからです。
たとえば、「○○村のほうれん草から、△△ベクレルの放射性セシウムが検出されました。これを1年間食べ続けたとしても・・・・・。」というような、おなじみの表現を耳にしますが、この表現に著しい違和感を覚えます。
だいたい、1年中ほうれん草ばかり食べ続けている人などいません。ほかにも、たくさんの種類の食品を摂取します。
ですから、1人が1日に摂取すべき食品を地元の食材から取り入れ、それを1年間継続して摂取したときに、どれだけの放射性物質を体内に取り入れることになるのかということを公表しなければなりません。
原発周辺に住んでいる人は、さらに、大気中や土壌、水道水からも放射性物質の影響を受けます。これらの影響を複合的に捉えたときに、放射線の影響がなくなるまでの期間に、どれだけの放射線量が累積されるのかということを明確に示さなければなりません。
ところが、そのような複合的な影響についての説明はほとんどされておらず、政府は、現実味のない曖昧な情報を流すだけです。
これでは、かえって国民の不信感を増幅させ、混乱を招きます。
正確なデータと明確な情報を公表した上で、個人の判断と選択を尊重すべきなのです。
原発に近ければ近いほど、大気や土壌、水や食材から受ける放射線の影響も大きくなります。
ですから、原発周辺の人ほど十分に気をつけ、ひとつでもリスクを減らすよう努めなければなりません。
というわけで、私は原発から40Kmぐらいのところにいますが、外出するときはマスクを着用し、料理や飲み物すべてにはミネラルウォーターを使用し、洗濯物も、短時間使用する厚手のタオル等を除いては、ほとんど室内に干すようにしています。
市内のこの地域は、13日の夜遅くになって、やっと水道が使えるようになりましたが、余震は頻発していますし、原発の状況に注意しながらの生活は、今後もまだまだ続きそうです。
話題が変わりますが・・・・
それにしても、西日本の地方新聞で、福島地検いわき支部の記事を目にするとは想いも寄りませんでした。
それと前後して、別の話題で福島地検いわき支部のことがネットニュースに掲載されているということを、ある方が教えてくださいました。
私が刑事告訴していた事件の対応からして、起こるべくして起こったとしかいいようがありません。
おかげ様で、「福島地検いわき支部」での検索で、ブログへ立ち寄ってくださる方も多いようです。
詳しいことは、改めてお伝えしたいと思います。
原発のこと、刑事告訴していた事件のこと、国家賠償のこと・・・・、ブログでお伝えしたいことは、たくさんありましたが、避難先では正真正銘の主婦をしていましたので、パソコンに触れたのも、ほとんど帰りの飛行機の予約をしたときぐらいでした。
というわけで、今後どれからお伝えしようかと迷うところではありますが、ブランクがあったぶん頭の中がスムーズに“ブログモード”に切り替わるかどうかは不安ですが、また、よろしくお願いします。
原子力発電
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
先月11日の地震・津波による福島第1原子力発電所の事故が起きる2~3週間ほど前、私は、佐藤栄佐久前福島県知事の著書
「知事抹殺 つくられた福島県汚職事件」
を読んだところでした。
ですから、原発事故が起きたとき、真っ先に思ったことは、前知事が逮捕されることがなかったなら、これほど酷い原発事故には至らなかったのではないかということです。
原子力発電を巡っては、在任中、知事が全力を傾注していたことのひとつであり、この著書の中でも2章にわたって詳細に述べられています。
この記事を書くにあたり、もう一度、原発に関する章を読んでみると、今回の原発事故が、起こるべくして起こったということ、関係者が原発立地地域の県民の立場に立ってよく考えてくれたなら、これほど甚大な被害をもたらすことはなかったのではないかということが鮮明に読み取れます。
言い換えるなら、国策として推進してきた原子力政策のどこに問題があったのか、その責任はどこが取るべきなのかということが、明確に理解できます。
要点を簡潔にまとめてみます。
① 原発政策の実権は誰が握っているの?
国会議員さえタッチできない内閣の専権事項、つまり政府が決めることで、その意を受けた原子力委員会の力が大きい。原子力委員会の実態は、霞ヶ関ががっちり握っている。
② 前知事の原発事故に対する原体験
1
986年のチェルノブイリ炉心融解事故の翌年、中曽根首相の東欧訪問に随行した際、訪問する先々で「これはチェルノブイリで汚染された肉ではない」という説明があり、原発事故の恐ろしさと、広範囲にわたる被害を痛感した。
③ 知事に就任して初めての原発事故
1989年 東京電力福島第2原発3号機で、原子炉の冷却水循環ポンプ内に部品が脱落。
↓
地元の自治体は、情報の伝達も後回しにされ、原発に対しての権限もなく、傍観しているだけだった。
この事故で得られた教訓
「国策である原子力発電の第一当事者であるべき国は、安全対策に何の主導権もとらない」という「完全無責任体制」である。
事故が起きても、国にとっては、個別電力会社の安全管理の問題であり、電力会社の役員を呼びつけ、マスコミの前で陳謝させ、ありがたく指導するだけだ。
「ひとつの事故から得た教訓を原発関係者が共有し今後の防止につなげよう」という、航空機事故調査のような「水平展開」がまったくない。
「同じことで同じような事故が起き続ける仕組み」になっている。
↓
前知事は、「同じ目には二度と遭うまい」と考え、原子力発電や原子力行政についての勉強を始めた。
④ 高速増殖炉「もんじゅ」の事故とプルサーマル
原子力発電所から出る使用済み核燃料(燃料棒)の再処理をすることで、再び使用可能なウランとプルトニウムを取り出し、核燃料として再使用しようというのが核燃料サイクルの考え方だ。この再生燃料を「MOX燃料」といい、高速増殖炉で使用する方法と、プルサーマル用に加工し、通常の原子力発電所で使用する方法がある。
高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故を機に、原発が集中する福島、新潟、福井の知事が核燃料サイクルのあり方などについて、提言という形で国で文書を提言する。
↓
国は「円卓会議」を設置し、プルサーマル推進の原子力政策の決定システムを変更した。
「もんじゅ」の事故などで国は高速増殖炉計画を中断し、プルサーマル計画を強引に進めようとするが、度重なるMOX燃料のデータ捏造や核燃料税を巡って、福島県は、狡猾な国や東京電力とバトルを繰り広げる。
ところが、次の⑤の事件で、その様相が変わる。
⑤ 東電の検査データ捏造やトラブル隠しが発覚
2002年8月経産省原子力安全・保安院から「福島第一・第二原発で、原発の故障やひび割れなどの損傷を隠すため、長年にわたり点検記録をごまかしてきた」という恐るべき内容のFAX18枚が県に送られてきた。
しかも、、原子力安全・保安院は、2年前に告発を受けながら、それまで放置してきた。
「国と電力会社は同じ穴のムジナ」だ。前知事は、当事者の東電よりも、2年間も放置してきた国と原子力保安院に対しての怒りの方が大きく、
「本丸は国だ。敵を間違えるな」
と檄を飛ばした。
↓
東電トップは引責辞任し、原発の立地する4町の町長たちは、プルサーマル計画の凍結の立場を決め、県も、国と東電の責任の明確化と再発防止を求める決議を採択。
⑥ 東京電力のすべての原発が運転停止
⑤の2002年8月に発覚した東電の検査データ捏造、トラブル隠しの事態を受けて、原子力保安院は、全電力事業者に、検査記録の総点検を指示したところ、他の原発でも次々にトラブル隠しが発覚した。
2003年4月、検査や修理、点検のために、東京電力のすべての原発(福島10基、柏崎刈羽7基)が運転を停止する事態になった。
⑦ 原子力政策に反映されなかった福島県の意見
2005年6月、東京電力の県内に原発10基が、再び全基稼動することになり、7月に、原子力委員会は今後10年程度の国の原子力政策の基本方針をまとめた[原子力政策大網(案)」を発表したのに対し、福島県は、[原子力政策大網(案)に対する意見」として、政策決定過程、核燃料サイクル、安全確保の3つの観点から13項目の意見をまとめ、原子力委員会に提出した。
↓
「原子力政策大網」は、原子力委員会で了承され、閣議で国の原子力政策として決定されるが、福島県が提出した意見はまったく反映されなかった。
⑧ 福島県はプルサーマルを実施しないことを再確認
プルサーマル計画についの国からの働きかけに、青森、佐賀が屈し、同意する中、福島県はプルサーマルを実施しないことを再確認した。
前知事の考え
福島県の最高責任者として、県民を守るため、
「事故情報を含む透明性の確保」と、[安全に直結する原子力政策に対する地方の権限確保」の二点について、国や関係者はよく考えてほしかった。
原発は国策であり、知事などの立地自治体の長には何の権限もないが、世論(県民の支持)をバックにすることができる。
日本の原子力行政の体質
経済産業省の中に、プルサーマルを推進する資源エネルギー庁と、安全を司る原子力安全・保安院が同居している。(泥棒と警察が一緒になっているような体質)
国民の意見は形式的に聞き、自分たちの決定した路線を強引に推進する。
核燃料サイクル計画については、安全性や経済性、核物質の管理、最終処分場などの問題の見通しが立たないまま、責任者の顔が見えず、誰も責任を取らない日本型社会の中で、強引に推し進められる。
以上が、前知事が原子力発電に対して行ってきた一連の流れですが、何かの事故が起こるたびに、原子力行政の体質的問題が明らかになって行く様子がうかがえます。
さらに、この著書の中では、地震に基づく過去の事故等についても言及しています。
2007年の新潟県中越地震では、想定されていた値の5倍の揺れにより、柏崎刈羽原子力発電所の運転中の7基の原発が自動停止し、炉心冷却装置のうち1台が故障、放射性物質を含んだ水がプールから漏れ出し、関連施設の火災などが発生した。
2008年には、中部電力浜岡原子力発電所が、耐震性の不足を理由に廃炉を検討していることが明らかにされた。
今回の福島第一原発と同じような事故が、すでに柏崎刈羽原発でも発生していたのです。前述の③で触れたように、事故から得た教訓を原発関係者が共有し、今後の防止につなげようとする水平展開がなされていたなら、今回のような原発事故も十分に想定できたはずです。
原発に対する国の管理・監督体制がほとんど機能していなかったことが、今回のような環境に大きなダメージを与える重大事故を引き起こしたと推測されます。
続きは次回にします。
原子力発電
原発事故の責任
先月11日の大地震と原発の相次ぐ爆発の後、避難するにあたり、新聞の購読を停めようと新聞店に電話をしました。
留守番電話になっていたので、「明日から無期限でお休みします」とメッセージを入れたのですが、1ヵ月近くたって帰宅してみると、郵便受けに、1週間分ぐらいの新聞が郵便物と混ざって、ぎっしり入れてありました。
どうやら、避難する人たちからの連絡が殺到し、新聞店の留守番電話がパンク状態になり、メッセージが録音されていなかったようです。
長年、朝日新聞を購読していたのですが、ここ数年は偏向報道が甚だしく、この機会に別の新聞に変えようかと考えていたところでしたが、そのチャンスを逃してしまいました。
そんな朝日新聞ですが、4月23日付の福島県内版の「東日本大震災の衝撃 専門かに聞く」という欄で、京都大原子炉実験所助教の今中哲二氏が、原発政策のどこに問題があったのかという点について、
前回のブログ
でお伝えした佐藤栄佐久前福島県知事と同じようなことを主張されていました。
原発事故については、既存メディアが、御用学者ばかりを登場させて、「想定外だった」ということを盛んに報道していますが、それとは異なり、珍しくまともな記事でしたので、全文を紹介します。
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リスク伏せ原発推進
安全神話
京都大原子炉実験所助教 今中哲二さん
福島第1原発の事故では、電力業界の矛盾や体質のツケが一気に噴き出した。
原発で最悪の事態が起きたらどうなるのかー。そのリスクを、日本に原発が導入された当時の政府・電力関係者は十分承知していたはずだが、国民には正しく説明してこなかった。
例えば、原発を設置する際に国が行う安全審査の指針では、「技術的見地からは起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと」と絶対に安全であることを求めている。その一方、電力会社は原発1事業所あたり1200億円の賠償保険への加入が義務づけられ、それを上回る損害がでた場合は、電力会社が負担しきれない部分について政府が支援する制度が整っている。
万一の事態に備えているとはいえるが、なぜ、絶対安全なはずの原発でここまで手厚い制度が必要なのか。そもそも「安全神話」は業界のタテマエに過ぎず、住民に事故のリスクを伏せて立地を推進してきたのが日本の原発政策の実態だ。
私はかつて、「夢のエネルギー」と期待された原子力にひかれて研究の道に入った。ところが、原発の安全神話は1979年の米スリーマイル島原発事故で崩れ、86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故で地に落ちた。
事故後、欧米では「このままではやばい」と対策を強める雰囲気が生まれた。しかし、自然災害の多い日本こそ、明日は我が身と受け止めて原発のリスクに正面から向き合うべきだった。
チェルノブイリ原発の30キロ圏内は、事故から四半世紀たった今も封鎖されたまま。住民たちはこの間、放射能のリスクと向き合ってきた。「人はいつまでも非常事態下では生きられない。非常を日常として受け入れるしかない」。現地を知るウクライナ人研究者の重い言葉だ。
日本でもこれから汚染が続く。残念ながら、放射能と共存するしかない時代に入ったのだ。
(聞き手・小林哲)
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今
回の原発事故は、自然災害が引き金になったとはいえ、想定外の出来事などでは決して済まされるものではありません。政府や電力会社が原発に伴うリスクを知りながら十分な検証や検討を行うこともなく、また、国民に対して十分な説明を怠って強引に推進してきた結果として引き起こされた明らかな人災であり、その関係者の責任を明確にする必要があります。
原発事故の損害賠償についての政府原案によると、賠償の支払いには東京電力の責任を明確にしていますが、政府においては、東電に対し、原子力損害賠償法に基づいて1事業所あたり1200億円の保証をするほかは、電力各社が負担して新設する「機構」に交付国債を発行するだけの間接支援に留まるということです。
これは、東電以外の事故を起こしていない電力会社にとっては甚だ迷惑な話であるとともに、政府にとっては、責任逃れのまったく都合が良い案になっています。
政府が原発を国策として推進してきたにもかかわらず、その管理・監督体制がほとんど機能していなかったために、今回の重大な原発事故が引き起こされたともいえ、政府にも損害賠償を負担させる必要があります。
ところが、ここで、単純に政府が損害賠償の一部をを負担するということになれば、その財源は国民の税金ということになり、最終的には国民が負担することになります。
残念ながら、判例(最高裁昭和53年10月20日判決・民集32巻7号1367ページ)においても、国が国家賠償法1条1項の責任を負うとした場合には、その責任主体は国であって、公務員個人に対して損害賠償請求をすることができないとしており、これにならって処理される可能性が十分あります。
(詳しくは
「公務員に都合がよいように作成・適用されている国家賠償法 (一審・3)」
)
しかしながら、今回の原発事故は、風評被害も含め、広範囲にわたり巨額の損害を与えています。特に、原発周辺で直接的な被害を被られている方にとっては、それまで居住していた土地や家・故郷を奪われ、生活の糧となる農地や漁場までも奪われてしまうという深刻な状況に陥っています。それにもかかわらず、原発を推進してきた政府関係者は何の痛手を受けることなく何食わぬ顔でいるというのでは、被害者をはじめとする国民の理解を得ることができません。
ですから、
過去に遡って関係者の責任を明確にし、それらの関係者個人とその所属していた組織に損害賠償を負担させるような法律を制定すべきです。
これにより、膨大な賠償額の一部を関係者に直接負担させるという目的のほかに、責任を明確にすることで、今後、原発のようなリスクを伴う政策が、不十分な検討・検証のもとに推進されるということを抑止する効果が期待できます。
最後に、26日に満25年を迎えたチェルノブイリ原発事故についての番組を紹介します。
冒頭の朝日新聞と同様、偏向報道が著しいNHKですが、今回の福島第1原発事故の以前に制作されたせいか、、公正で冷静な立場から報道している良質な番組です。是非ご覧ください。
枝野官房長官が、「直ちに健康に影響を及ぼすようなレベルではない」ということを盛んに言われていますが、「5年後、10年後、20年後になって健康に支障が出る可能性がある。」ということを予感させられます。
原子力発電
プルサーマル3号機の爆発は 即発臨界だった!!?
佐藤栄佐久前福島県知事が、原子力発電や原子力行政のことをよく勉強し、福島県民を守るために国や東京電力と闘ってきたことは
前々回
お伝えしたとおりです。
その前知事が、まさしく原子力行政に立ち向かっていた最中の、2006年10月、木戸ダム建設工事に絡んで、ゼネコンの水谷建設から賄賂を受け取ったという収賄罪で逮捕・起訴されました。
東京地検特捜部が描いた事件の筋書きは、次のようなものです。
前知事の実弟が経営するスーツ会社の土地を、水谷建設が相場より約7000万円高い約8億7000万円で購入したのですが、この差額の約7000万円を、特捜部は、木戸ダムを前田建設工業、水谷建設で受注する際の「賄賂」と見立てたもので、前知事の罪は、実弟の要請を受け入れ、県に対して「天の声」を発したというものです。
ところが、この裁判の行方は、実に奇妙な展開となっていくわけですが、このことについては
別の機会
に詳しくお伝えします。
この前知事の逮捕により、福島の原発で何が最も変わったかといえば、それは、プルサーマルが実施されたことです。
前々回
お伝えしたように、前知事はプルサーマルを実施しないことを明言していました。
ところが、昨年8月、佐藤雄平 現知事が、東京電力福島第一原発3号機でのプルサーマル計画を正式に受け入れることを表明し、東京電力は、昨年9月23日、福島第一原発3号機で、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電を開始しました。
プルサーマル発電には、主に次のような危険性があります。
プルサーマル発電の危険性
● プルトニウムは、ウランと比べ数十万倍もの毒性をもっている
● プルトニウムを燃料とするということは、平常時の危険は確実に増加し、万一の事故時の危険も増加する。
● ウランを燃やすために設計された原発で、プルトニウムを燃やせば、さまざまな問題が起こって安全性が低下する。
● プルサーマルで使われた使用済み核燃料は、普通のウラン燃料に比べて発熱量が高く、超ウラン元素という厄介な放射性核種を多く含んでいる。
(
「隠される原子力 核の真実(小出裕章 著)」
から引用。 )
通常の発電を行っていた1号機と、プルサーマル発電を行っていた3号機の爆発映像を比較してみると、プルサーマル発電の危険性は一目瞭然です。
米国 フェアウィンズ・アソシエーツ社チーフエンジニア アーニー・ガンダーソン氏(米国のスリーマイル原発事故の際、事故調査団のメンバーでもあった。)の解説を要約します。
3号機で、何が起こったのか?(1号機との違い。)
次の2つの言葉は、両方とも爆発の事象を表す言葉であるが、意味が違う。
deflagration
・・・・衝撃波が音速である。
閃光を伴わない。
(水素爆発はこれにあたる。)
detonation
・・・・・衝撃波が音速を超えるもの。
閃光を伴う。
1号機は、deflagration にあたり、水素と酸素が反応して水素爆発が起こった。
3号機は detonation にあたり、明るい黄色の閃光が建屋の南側(右側)側面で光り、黒い大きな噴煙がすごい勢いで上方に立ち昇った。細かい粒子のウランはハワイや西海岸で検出され、パウダー状のプルトニウムも発電所付近で検出され、アメリシウムはニューイングランドでも検出されている。
これらの超ウラン元素と呼ばれる核種の検出と黒煙は、ウランやプルトニウムが揮発したことを意味する。
3号機の写真から、建屋の大部分、特に南側が無くなっているが、赤外線写真では同じ場所に高温部分の熱源が確認できる。
このデータは、3号機の格納容器・原子炉は損傷を受けていないことを示している。
これらから、次のような仮説が立てられる。
① 水素・酸素の水素爆発が起こり
② それによって燃料棒が激しく動いて変形するような衝撃波が生じた。
③ 使用済み燃料プールの燃料棒が変形し(集約したことで)即発臨界による核反応を起こした。
④ その核反応が、プールから燃料棒を含む核燃料棒集合体などを吹き飛ばし、噴煙を噴き上げる爆発エネルギーと3号機での劇的な場面を作り出した。
この仮説を確かめるためには、噴煙に含まれる核種の同位体を調べることだ。
2つのキセノン(Xe)の同位体の比率によって、燃料プールで即発臨界が起こったかどうかがわかる。
米軍機が、噴煙のサンプルを採集しているので、実験室で分析し、おそらく政府はその証拠を持っているでしょう。
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原爆のキノコ雲を思わせる3号機の爆発、素人ながらも、ただならぬことが起きたんじゃないかって思いましたが、臨界に達した可能性があるのですね
とにかく、プルサーマルが行われたことで、より重大で深刻な影響を周辺環境に及ぼしたといえます。
政府は、校庭の利用基準を年間20ミリシーベルトという高い値に設定して子供たちを被曝の危険にさらしていますが、子供や住民自体をサンプルとして、今後数十年におよぶ追跡データでも採集するつもりなのでしょうか。
政府は、すみやかに正確なデータを公表し、一刻も早く適切な対策をとるべきです。
原子力発電
人体実験を容認!! 福島県立医大 入学式
菅首相は、6日、中部電力の浜岡原発のすべての原子炉の停止を要請したということですが、この判断については高く評価します。
しかし、心の底から賞賛できないのは、何か裏があるように思えてならないからです。
3月11日の大地震と大津波の後、福島第一原発が相次いで爆発し、その混乱のさなかに、いきなり東京電力による計画停電が発表されました。
そして今回、校庭の利用基準を年間20ミリシーベルトにしたことに対し菅政権への批判が高まっている中、それをかき消すかのように、突如、浜岡原発の停止が発表されました。
何か重大なことが起こるたびに、突然、センセーショナルな政策を発表し、国民の注目をそらしているようでなりません。
その陰で、直ちに対策を立て、すみやかに実行されなければならないことが先送りされ、公表されるべきことが隠されてきました。
特に、健康に重大な影響を及ぼす放射性物質のデータや情報がすみやかに公表されなかったことは、国民にとって重大です。
放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI」というシステムも、住民の避難の際にまったく活用されませんでした。突拍子もない政策の発表に振り回されている間にも、住民の被曝による健康への影響は進行しているのです。
何か重大な事故や事件が起こるたび、緊急性の高い本質的な問題から逃げ、検討が不十分な状態の小手先の政策を発表することで誤魔化しています。
詳しい情報を公表すれば、住民の間に混乱やパニックが生じるなどと言い訳にならないようなことを政府は言っていますが、津波の予報が出されたときに、パニックになるからといって避難指示を出さなかったことがあったでしょうか。パニックになりながらも必死に迫りくる波から逃れた人々が、命を落とさずに済んだのです。
避難指示を出していなかったなら、より多くの犠牲者が生じていたはずです。
放射性物質も同じです。
混乱が予測できたとしても、まずは安全な場所まで避難させることが第一です。
安全が十分確認できた後に、順次、戻せばよいのです。
放射性物質は目に見えるものでもなく、臭いがするものでもなく、差し迫った危険を感じにくい物質であることをよいことに、政府は曖昧な情報を流し、適切な対応を怠っているとしか思えません。
午前中、自治体の回覧が回ってきて、その中に近くの中学校の保護者向けの通信が挟まれていました。
そのうちの1枚には、放射線の防護法や、原発で重大な事態が生じたときの対処法など、ほとんどが原発関連のことについて書かれていました。
いわき市は、そのような事態が危惧される地域でありながら、適切な対策もとられず放置されているようでなりません。
爆発などの突発的な危険性についてはもちろんのこと、何十年住み続けても十分に安全な状態であることが保障されなければ、居住させるべきではありません。
6日に福島県立医科大学の入学式が行われ、その様子がNHKの県内ニュースで放送されていました。
そのニュースを見て、著しい違和感を覚えました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110506/k10015730671000.html
ネットにアップされている画像は、肝心な部分が削除されており、途中までしか公開されていませんが、注目すべきは次の部分です。
「福島県立医科大学は、福島県内で唯一、医学部のある大学で、原発事故を受けて地元の人たちの間で放射線による健康への影響について不安が高まっていることから、この分野の専門家の育成に力を入れることにしています。新入生たちは、入学式のあと長崎に投下された原爆やチェルノブイリ原発事故が人の体に及ぼした影響を研究している、長崎大学大学院の山下俊一教授から話を聞きました。この中で、山下教授は「放射線による健康への影響は一般的に正しく理解されていないのが現状で、正しい知識を身につけてほしい」と述べたうえで、「この大学で学ぶ君たちは、放射線について世界一の学識を身につけ、医療の現場で実践してほしい」と期待のことばを述べました。」
はじめの一文は、原発事故で不安に思っている人たちへの精神的ケアについて言及しているとも受け取れるのですが、問題は、その後です。
来賓に放射線研究の教授を招くなど、放射線による障害が、福島県民に発症するすることがすでに想定されているかのような用意周到さには、まったく驚かされます
将来、福島県民に癌や白血病などが多発することが予想されるから、その経過に向き合っていかなければならないとしか聞こえません。
それに、入学した学生自身も被曝の危険性があり、この汚染された福島県に、卒業後どれだけ残るのかは極めて疑問です。
放射線による影響で、医療のお世話になるような状況が発生しては決してならないのです。そのためにも、政府による適切な対策が直ちに求められます。
想定される事態を知りながら。政府が適切な対策もとらずに放置しているとしたら、その理由は二つ考えられます。
ひとつ目は、住民の放射線による健康への影響を、長期間にわたり調査しデータ化するため。
ふたつ目は、避難指示の対象となる住民が多ければ多いほど、それだけ国の財政的な負担が膨大になるので、それを回避するため。
国民の健康や生命より国家の財政を優先し、福島県民を人体実験に利用するなどということは絶対にあってはなりません。
原子力発電
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
当ブログは、本来、デタラメ裁判の実態をより多くの方に知っていただくために開設しており、そこから派生した刑事事件を巡る捜査機関のデタラメについてもお伝えしています。
ところが、3月11日の震災以降は、ずっと原発事故のことをお伝えしており、ブログの趣旨から外れているのではないかと思われるかもしれませんが、そんなことは、まったくありません。
今回の原発事故にしても、この国の中枢に巣くう組織的・構造的な病巣から起こるべくして起こったといえ、国家権力のかかわる不可解な事件・事故の大部分は、ほとんどが同じような構図で発生しています。
根底では、ほとんどが繋がっているのです。
比較的安定しているといわれていた福島第一原発1号機で、メルトダウンが起きていたことが、つい先日判明しました。制御不可能な危険と背中合わせで、しかも、ひとたび事故が起これば、周辺環境に取り返しのつかない深刻な影響を与える原子力発電所が、なぜ、国策として地震多発地帯である日本に数多く建設されたのでしょうか。
原発が推進された一連の流れに目を向けると、あまりにも多くの要因・人物が関係していて、どこに責任があるのか本質が見えづらくなってしまいます。
そこで今回は、その一部分に着目して検証してみます。
それが、以前にもお伝えした佐藤栄佐久 前福島県知事の事件です。
プルサーマルを実施しないことを明言し、国や東京電力と闘ってきた前知事が、原子力行政に立ち向かっていたさなかの、2006年10月、木戸ダム建設工事に絡んで、ゼネコンの水谷建設から賄賂を受け取ったという収賄罪で逮捕・起訴されました。
前々回の記事
でも簡単にお伝えしていますが、まずは、おさらいします。
前知事の実弟が経営するスーツ会社の土地を、水谷建設が相場より約7000万円高い約8億7000万円で購入したのですが、この差額の約7000万円を、特捜部は、木戸ダムを前田建設工業、水谷建設で受注する際の「賄賂」と見立てたもので、前知事の罪は、実弟の要請を受け入れ、県に対して「天の声」を発したというものです。
ところが、この裁判の行方は、実に奇妙な展開となっていきます。
土地の取引価格の推移を時系列にまとめてみます。
(
「知事抹殺 つくられた福島県汚職事件」
より)
1999年ごろ、実弟は、スーツ会社の土地開発を、元前田建設社長に依頼していたが、うまくゆかず、会社の経営も苦しくなってきたので、前田建設会社から4億円の融資を受けた。
同社から更なる融資の同意は得られず、元前田建設社長から依頼を受けた水谷建設が
8億7000万円
で土地を購入した。
1億円の資金が足りなかったので、実弟の依頼で、さらに1億円が追加された。
土地売却後すぐに、4億円は、前田建設に返却された。
水谷建設が、スーツ会社すべての敷地を買い取り、ショッピングセンターが建設された後は、良好な賃貸収入が得られた。
前知事を巡る事件や脱税の摘発を受けて、水谷建設はこの土地を手放したが、購入価格を上回る
9憶6000万円
で売却することができた。
さらに、
12億円以上で
ファンドに転売された。
転売されるたびに、より高額な価格で取り引きされていることに注目してください。
検察は、この土地を5億円~7億9000万円と住宅地として計算し、その差額を賄賂とているが、利用価値がある商業地は住宅地より高い値段が設定できるそうです。
つまり、
差額の7000万円が賄賂とは認められない状況だったのです。
検察は、時価との差額1億7000万円が賄賂だとして起訴したが、一審は、7000万円を賄賂とし懲役3年執行猶予5年とした。
二審に至っては、土地取り引きの際の時価との差額を賄賂だとする検察側の主張は退けたものの、前知事らが得たのは「換金の利益」という無形の賄賂だとして、一審・東京地裁判決を破棄し、改めて懲役2年執行猶予4年の判決を言い渡した。(つまり賄賂額ゼロ)
賄賂として認定される金額がゼロにもかかわらず有罪というのは、不思議な判決です。
しかも、資本主義社会の正当な取り引きそのものを否定するような判決です。
なぜ、裁判所がそこまで異常な判断をして、前知事を有罪としなければならなかったのかというと、プルサーマル発電を福島第一原発で実施させるためだったのではないかと推測されるのです。
それを想定していたかのように、前知事のあとに就任した佐藤雄平 現知事は、昨年8月、福島第一原発3号機でのプルサーマルの受け入れを表明し、昨年9月にプルサーマル発電を開始しました。
ところが、今回の震災で、その3号機が爆発し、より深刻で重大な被害を周辺環境に及ぼしました。(詳しくは
「プルサーマル3号機の爆発は 即発臨界だった!!?」
)
危険性を伴うプルサーマル発電が、十分な検証・検討されることなく国策として強引に進められ、さらには、捜査機関や司法組織を加担させてまで、なぜ実施されなければならなかったのか、その背景を徹底的に調べ、追及する必要があります。
検察の不十分で歪んだ捜査と裁判所の偏った判断のもとに、県民により選ばれた知事が失脚させられたということは、国家権力により県民の民意が踏みにじられたことになります。
その挙句に、プルサーマル3号機の爆発があり、福島県を中心とする広範囲の地域の人々や様々な産業、環境に甚大な被害をもたらしたのです。
捜査機関が、前知事に対する不当な逮捕・起訴により、福島の県政に及ぼした責任は重大です。誰の指示でそのような不当な捜査がおこなわれたのか、当時の政権や捜査機関・司法組織を含む関係者個人の責任についてもしっかり追及し、それらに対しても賠償を求めるべきです。(原発事故の責任については
「原発事故の責任」
でも詳しくお伝えしています。)
前知事の逮捕が、プルサーマル実施のために行われたのではないかと私が確信するのは、国家賠償訴訟での体験と、それを巡る刑事事件での実態から、行政・裁判所・検察・法務局などの癒着による不正の実態に気がついたことが背景にあります。
三権分立を標榜し民主国家の仮面をかぶっていたこの国の実態が、今回の原発事故を機に暴かれつつあります。
この震災を、真の民主国家再生のチャンスと捉え、根本から国家を構築し直さなければなりません。
原子力発電
原発事故の情報操作と世論誘導
5月20日の朝日新聞で興味深い記事を見つけました。
東京電力福島第一原発周辺の津波の高さが、その周辺に比べて突出して高いというのです。
東電は津波の高さを14~15メートルと発表していますが、周辺の相馬市磯部では6,86メートル、いわき市豊間では9,2メートルで、福島県内の津波の高さは、10メートル未満ですから、東電の発表は、かなり怪しいことになります。
公表された写真や衛星写真の様子から、専門家も、実際には10メートル程度だった可能性があるとみているそうです。
津波の高さには、津波が地面をどれくらい覆ったかを示す海面からの高さの「浸水高」と、海水が斜面を駆け上がったときときの「遡上高」があり、東電は、浸水高が14~15メートル、遡上高も14.5メートルとして、想定していた5,7メートルの3倍近く超えたと、高さを強調してきたのです。
この記事を読んで、即座に、
「福島原発メルトダウン 広瀬隆」
に書かれていた地震のマグニチュードのことが思い浮かびました。
気象庁が発表した東北地方三陸沖地震のマグニチュードが次々と引き上げられ、怪訝に思いましたが、そのことについての記述です。
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当初の発表では、マグニチュードは暫定で8,4、やがて8.8に修正され、最後に9,0にまで引き上げられました。
この理由について、地震・地質学者の島村英紀氏の指摘を引用されていますので、そのまま掲載します。
「今回の地震のマグニチュード9,0と言うのは、気象庁がそもそも『マグニチュードの物差し』を勝手に変えてしまったから、こんな前代未聞の数字になったのだ」
実は、マグニチュードの計算法には、いろいろな物差し(種類)があります。これまでの地震はすべて、日本では「気象庁マグニチュード」を採用しており、その計算式(複雑なので省略します)に東北地方三陸沖地震のデータを入れると、「いくら大きくてもマグニチュード8,3か、8,4どまり」と島村さんは指摘するのです。それが9,0にまで上昇した理由は、「日本では学者ぐらいしか使っていない『モーメントマグニチュード』で気象庁が計算し直したからだ」と。
(・・・途中省略・・・・)
なぜ、いままでの物差しを気象庁は突然に、しかも何の説明もなく変更したのでしょうか。そこに私は、科学の真理をねじ曲げる、政治的な介入を感じます。
(
「福島原発メルトダウン 広瀬隆」
より引用)
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怪しげな津波の高さにしても、地震のマグニチュードにしても、原発を推進してきた政府や東電、御用学者・・・、所謂、原子力村といわれる人たちが、責任逃れのために、次の法律の文言を気にかけてのことなのです。
原子力損害の賠償に関する法律
第二章 原子力損害賠償責任
(無過失責任、責任の集中等)
第三条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
「福島原発メルトダウン」
の中で、広瀬隆氏は、「前代未聞の数字を発表することで『想定外』、『1000年に一度の地震』のほうへ情報操作、世論誘導して、責任逃れを図っているわけです。」と記しています。
まったく、そのとおりだと思います。
原子力村の人たちにとっては、今回の震災を、何が何でも「異常に巨大な天災地変」に仕立て上げる必要があるのです。
補足します。
地震のマグにチューードについて、ktpage 様から、気象庁に問い合わせたときの貴重な情報をいただきましたので、コメント欄も、是非、ご覧ください。
原子力発電
東電OL殺害事件 なぜ このタイミングに! ~原発事故との接点~
(引用)
1993年3月に、東京都内のアパートで東京電力の女性社員が殺害された事件で、無期懲役が確定したゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者の再審請求審で、東京高検が最新の技術によるDNA鑑定を実施したところ、女性から採取された体液のDNAと、殺害現場から採取された別の男性の体毛のDNA型が一致したことがわかった。
鑑定結果は、被害女性がマイナリ受刑者以外の男性と一緒に殺害現場のアパート空き室にいた可能性を否定した確定判決と矛盾する可能性がある。
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昨夜、このニュースがテレビで流れているのを見て、一瞬、驚きました。
東京電力福島第一原発の事故をきっかけに、
再生可能エネルギーによる発電の必要性が取りざたされている、まさに、このタイミングに、この事件のことが報道されたからです。
といいますのも、震災の1ヵ月ほど前に、たまたま佐藤栄佐久前福島県知事の著書
「知事抹殺 つくられた福島県汚職事件」
を読み、この事件は、プルサーマル発電を推進するための国策による冤罪事件ではなかったのかという認識が強まり(詳しくは
「原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・」
)、震災後にその背景をネットであれこれ調べているときに見つけたのが、阿修羅に投稿されていた
「佐藤栄佐久前福島県知事の裁判と二つの事件、日本のエネルギー政策を左右する影」
と題する次の記事だったからです。
この記事を読むと、東電OL殺害事件と原子力発電の接点が明確に読み取れます。
全文は、こちらのサイトをご覧いただくことにして、要点だけ抜粋してお伝えします。
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/155.html
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佐藤栄佐久前福島県知事の裁判と二つの事件、日本のエネルギー政策を左右する影
投稿者 taked4700 日時 2009 年 10 月 20 日 06:40:31: 9XFNe/BiX575U
佐藤栄佐久前福島県知事の裁判が話題になっている。警察による冤罪事件ではないかというものだ。福島県は二つの原子力発電所に合計10基の原発がある。更に、2基が建設中および計画中だ。そして、佐藤前福島県知事は、プルサーマルなどの原子力政策に反対していた。他にも、佐藤前福島県知事はかなり目立っていたらしいから、いろいろと狙われる理由はあったのかも知れない。しかし、一応、原子力政策に対する反対が理由だと仮定して、他の事件を見てみると、あるひとつのリングが見えてくる。
まず、佐藤栄佐久前福島県知事が異を唱えていたプルサーマルについて述べる。
(中略)
簡単に言ってしまえば、原子力発電で大きなネックになっている二つの問題、つまり、原子力資源であるウランが輸入に頼っていることと使用済み核廃棄物であるプルトニウムの処分方法の両方を一挙にほぼ解決するものなのだ。
つまり、輸入に頼るウランを一度燃やしてできたプルトニウムを再度燃料に使えるので、日本においては二重の意味で有利な発電方法なのだ。しかし、普通の原子炉に、プルサーマル燃料と通常の燃料の二種類が混ざって装填されるため、制御が難しく、特に地震などの際に安全性が確保されるかどうかが問題になる。
そして、日本においてプルサーマル計画が大きく動き出したのが1997年だ。この年の2月4日、核燃料サイクルについて了承するという閣議決定がされ、同2月21日には電力11社によるプルサーマル全体計画が発表されるのだ。以降、プルサーマル計画の説明が新潟、福島、福井県に対してされていく。(この部分は、
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/17/17010608/01.gif
を参照のこと)
同じ1997年の3月8日、東電OL殺人事件が起こっている。
こちらは、東京電力の上級女子社員が売春客に殺されたという事件だ。
(中略)
しかし、自らも東京の一流私大を出て、東大出の東京電力の管理職にまでなった夫を持っていた母親が、娘に東京電力社員ありながら売春をさせるだろうか、少なくとも何年間もそういった状態を続けることを許すだろうか?更に、刑事裁判の場で証言した売春客はすべて本名や顔を隠しての証言だった。つまり、本当にそれらの証言が正しいものかどうかの検証は一般人にはできないのだ。また、彼女が売春によって稼いだはずのかなりの金額の金についてもうわさを除いてきちんとした検証はまったくされていないのだ。
更に、東電OL殺人事件の犯人であるとされるネパール人は、犯行を否認してい、実際、第一審では無罪判決を受けているのだ。殺人事件自体の経過でさえ、さまざまな矛盾点があり、事件後12年を経た現在でも冤罪事件であると言う主張がされている。
つまり、東電OL殺人事件も、売春と言う実態があったとは到底思えず、一種の作られた事件であるはずだ。(以上の記述は佐野真一著「東電OL殺人事件」、「東電OL症候群」と言う新潮文庫の本から。以降も、東電OL殺人事件について記述は、この2冊の本から。)
では、なぜ、東電OL殺人事件が起こったのか?被害女性の父親は、やはり東京電力に勤めていて、1977年にがんで亡くなっている。その2年前、工務部全体を統括する副部長と言う管理職になりなぜか一年で降格され、その一年後のガンでの死だ。
そして、この時期は、原子力の危険性が世界中で言われていた時期なのだ。
(中略)
つまり、被害女性の父親は、原子力発電の危険性を指摘して管理職から降格された可能性が強いのだ。彼は、高圧の地中送電線を東京都内に引く責任者を務めていたというから、地震の地盤への影響についても詳しかったはずだ。そして、父親がガンでなくなった1977年、彼女は大学二年生だった。だから、この時期、彼女が原発に関する父親の見解を聞いている可能性は強い。父親の死後3年の1980年、彼女も東電に入社する。
ちなみに、スリーマイル島原発事故が1979年、チェルノブイリ原発事故が1986年である。青森県六ヶ所村での核燃料廃棄物再処理工場の建設が始まるのが1993年、そして、1995年、阪神大震災が起こる。
多分、阪神大震災を見て、彼女は日本における原発の危険性を東電内部で発言し始めたのではないだろうか。阪神大震災の一年ほど前、「東京イニシアチブ」と言う論文が発表され、そこには、「高温岩体の地熱発電への研究開発資金を大幅に増やせば、日本国内に大きなエネルギー資源が見つかるかもしれません。北海道と本州の4300平方キロメートルの地域が高温岩体の井戸に適した条件を持っているそうです(1992年電中研ニュース)。2000メートルから4000メートルの深さまで掘ることによって、約40万メガワットの発電が可能。この発電力は日本全体の発電能力の2.5倍。この電力の予測価格は、キロワット時あたり13円でした」(
http://eco.nikkei.co.jp/column/maekita_miyako/article.aspx?id=MMECcc005002082007
を参照)と書かれていたと言うから、彼女も日本における地熱発電の可能性について理解していたはずであり、原発の代わりに地熱発電をと言う主張はそれなりに説得力がある。
しかし、これらのことは、東電OL殺人事件発生当時、まったくマスコミに取り上げられることはなかった。マスコミの関心は、その後、神戸連続児童殺傷事件によってまさに乗っ取られていくからだ。
神戸連続児童殺傷事件は1997年5月24日、14歳の中学男子生徒が11歳の知的障害のある男子児童を殺害し、翌25日その児童の首を切り落とし、26日未明に男子生徒の通学していた中学の正門前にその頭部を犯行声明文とともに置いたという事件である。そして、これら一連の事件は、東電OL殺人事件の容疑者とされるネパール人が逮捕された5月20日の直後と言うタイミングなのだ。つまり、東電OL殺人事件の犯人逮捕がされ一応事件のけりがついたとされた直後に神戸連続児童殺傷事件が起こるのだ。
しかし、神戸連続児童殺傷事件にしても、とても14歳の男子中学生の犯行とは思えない事件だ。11歳の児童を連れて自宅そばの丘に登りそこで殺害して首を切り、その首を中学の門に置くと言う一連の犯行は、一切目撃されていないし、指紋などの直接的な証拠も一切ない。唯一あるのは少年の自白なのだが、その自白さえも多少でもきちんと見れば矛盾点だらけという代物だ。これらのことについては、神戸小学生惨殺事件の真相(
http://w3sa.netlaputa.com/~gitani/pamphlet/kyumei.htm
)にかなり詳しく述べられているし、「神戸事件を読む 酒鬼薔薇聖斗は本当に少年Aなのか?」という熊谷英彦と言う方が書いた本にもかなり説得力を持つ論理が展開されている。
そして、これらの事件が起こった1997年は、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法が作られた年でもある。4月に成立しているが、そこでは、それまで国庫補助の対象であった地熱発電がはずされたのだ。その後、この法律は、2002年に改正されているがその際も地熱発電は補助対象にならずバイオマス発電などが補助対象として新たに指定されたのみである。更に、2008年にも改正が行われているが、その際には、地熱発電の内小規模発電に適しているバイナリー発電のみが補助対象として指定されている。そのため、1990年代後半から地熱発電の新規開発は止まってしまうのだ。ある程度の規模のある最も新しい地熱発電所は1993年から企画され1997年に自然公園法の認可を得た500kwの九重地熱発電所で大分県の九重町にある九重観光ホテルでやっているものだ。
以上のような経緯を見たとき、佐藤栄佐久前福島県知事の裁判がいかにも非論理的であり、反原発を主張する人々を黙らせるためのものであるということが、ある程度納得いくのではないだろうか?
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以上が、引用の部分ですが、省略できな重要事項が満載で、結局、全文に近い掲載となってしまいましたが、
この記事のエッセンスは、最後の3行に凝縮されているのではないでしょうか。
震災による原発事故が発生し、これまで甘い蜜を吸ってきた原子力村を擁護してまで原子力発電を推進するメリットがなくなった今こそ、この事件の真相を明らかにしようということなのでしょうか。
いずれにしても、この国の底知れぬ闇を感じずにはいられません。
原子力発電
二枚舌政権!! ~新しいヨウ素剤が配布されました~
先週5日だったと思いますが、外も暗くなった夕方5時過ぎ、「ピン、ポーン」と。インターホーン越しに「はい。」と出ると、「郵便局です。」。
また、検察から、しょうもない文書でも届いたのかと出て行くと、緑色の派手な封筒で差出人は「いわき市保健所」です。
なんだろうと開けてみると、ヨウ素剤が入っていました。
昨年4月に避難先から戻ると、地域の自治体を通してヨウ素剤が配られたのですが、それが12月で有効期限が切れたので、新しいヨウ素剤を配り、古いものを回収するということです。
ヨウ素材のほか、その通知書と受領書、返信用封筒、服用方法などの説明書が同封されていました。
昨年12月16日に、野田首相は原発の収束宣言をしており、あれが全くのデタラメであることは十分承知していましたが、この段階で、実際に新しいヨウ素剤が届いてみると、
“一体全体、この国はどうなっているんだ!!”
と思わずにはいられません。
同封の用紙には、次のように書かれてあります。
一部抜粋します。
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安定ヨウ素剤の事前配布(更新・回収)の実施について
いわき市長 渡辺敬夫
本市は、福島第一原子力発電所の事故に伴い、万が一、高い濃度の放射性物質にさらされた場合、甲状腺への影響をやわらげることができるとされている安定ヨウ素剤を市独自の判断で、3月18日から、妊婦及び40歳未満の方を対象として、配布しているところです。
現時点においては、未だ原発事故が収束していない状況にあり
、また、配布したヨウ素剤が本年12月に有効期限を迎え、対象となる全ての方に配布する必要があることから、郵送(簡易書留)により事前配布(更新・回収)を行うこととしました。
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ここで注目すべきことは、「現時点においては、未だ原発事故が収束していない状況にあり」と明言していることです。
原発が「収束した」とする政府、「未だ収束していない」とするいわき市、どちらが正しいのか、賢明なみなさんなら、お分かりのはずです。
収束宣言のときに、その根拠として「冷温停止状態にある」ということを盛んに言っていましたが、これは詭弁に過ぎません。冷温停止というのは、核燃料が圧力容器内にあり、その水温が100℃未満の状態をいうのであって、核燃料が圧力容器から格納容器内に溶け落ち、どこにあるかわからない状態で、しかも、放射性物質を今も放出し続けている状態では、この定義が当てはまりません。
「冷温停止“状態”」と、“状態”という言葉を付け加えることによって、政府や東京電力が曖昧で勝手な定義を作り出しているだけなのです。
そういえば、TPPに関する日米首脳会談のときも、野田首相が、「全ての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と言ったとか、言わないとか??
日本国内向けには、「言っていない」と言い、米国向けには「言った」のでしょうかね??
まさに、「二枚舌政権」と言わざるを得ない状況にあります。
原発が、今現在、どういう状態にあるのかということについては、週刊朝日 談[DAN]に、
「福島原発事故『収束宣言』大嘘の皮を剥ぐ」
というタイトルで広瀬隆氏の動画がありますので、是非、ご覧ください。
http://www.wa-dan.com/hirose/
また、リンクを貼らせていただいています
「出身地が有名になった人のブログ」
でも、原発事故のことを中心に、たいへん重要な情報や話題を取り上げていらっしゃいますので、是非、そちらもご覧ください。
原子力発電
日本は「法治国家」ではなく「“放置”国家」!!
昨年秋、原発事故に関して、耳を疑うような判決が下されました。
概要は、次の通りです。
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2011年11月24日 朝日新聞 「プロメテウスの罠」より
放射能はだれのものか。この夏、それが裁判所で争われた。
8月、福島第一原発から約45km離れた、二本松市の 「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」 が東京電力に、汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。
――事故のあと、ゴルフコースからは毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、営業に障害がでている。責任者の東電が除染をすべきである。
対する東電は、こう主張した。
――原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。
答弁書で東電は放射能物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。 無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。
さらに答弁書は続ける。
「所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者 (東電) が放射性物質を所有しているわけではない」
飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ。
決定は10月31日に下された。裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の訴えを退けた。
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この裁判は、加害企業である東京電力を相手に訴えた裁判ではありますが、原発が、これまで国策として推進されてきたことを考えると、一民間企業に対する裁判としうよりは、国家賠償訴訟や行政訴訟的な意味合いが強い裁判なのです。
つまり、以前から津波による危険性を指摘されていながら、その検証を怠り、対策を講じてこなかった政府や官僚、御用学者らの責任も同時に問われるべき問題なのです。
ということは、これまで当ブログで度々指摘しているように、原告には、ほとんど勝ち目がない裁判ということになります。
国家賠償訴訟は民主国家としての体裁を保つためのアイテム!
国を詐欺罪で告訴しました!! ~国家賠償詐欺~
裁判所が、加害企業である東京電力や政府の責任を認めず、不正な手段を使ってまで、それらを勝訴させる可能性が極めて高いのです。
ですから、冒頭の新聞記事のような珍妙な判決が書かれるのも当然のことなのです。
民事裁判は、弁護士に依頼すれば費用が掛かりますし、本人訴訟でも、かなりの時間と労力、費用を要します。
その挙句、
民事訴訟法自体が、不正をしやすく出来ています。
つまり、権力を持つ裁判所や被告代理人である法務局に都合がよく出来ているのです。
プライバシーが安心の民事裁判では、公正な裁判は保証されないね!(一審・5)
不正裁判の芽となる民事訴訟法の欠陥
“上告詐欺”がやり易くできている民事訴訟法!
ですから、私の経験から申し上げると、
民事裁判を起こすより先に、まずは刑事告訴し加害者の責任を明確にすることが先決です。
お役所は、不正のしやすい民事裁判を勧める傾向にありますが(
お役所は なぜか民事裁判を勧める!
)、それに追従してはいけません。
この順序が逆になると、多くの時間や労力、費用を無駄にすることになります。
刑事告訴(告発)は、民事裁判に比べたら、とても簡単です。事実を淡々と告訴状に書き連ねればよいだけですから。
しかし、ここでも大きな関門が待ち構えています。
検察が、根拠もなく不起訴にし、事件を握り潰す可能性が高いということです。
不起訴処分にされないためには、どうしたらよいのか
私の経験から得られたノウハウをご紹介します。
①
ここを説明せずして不起訴はありえないという詳細な告訴状を作成する。
②
不起訴の理由については、明確な説明を求める。
不起訴処分の理由が説明されていない、あるいは矛盾している場合には、
そのことを指摘する上申書を新たな証拠とともに提出する。
③
①の事件の核心・ポイントを無視したり触れずして不起訴にした場合には、
その検察官を犯人隠避で刑事告訴し、元の事件とともに告訴しなおす。
④
それらの経緯は、ネット等を通じて随時公表する。
悪質なケースについては実名を公表する。
このようにすることで、検察は安易に「不起訴処分」に出来ないはずです。
私が告訴している国家賠償訴訟を巡る3つの刑事事件は、このようなことを考慮のうえ作成したした告訴状・上申書を提出していますが、検察で長期間放置され、未だ滞っている状態です。
それにしても、原発事故により、原発周辺のたくさんの住民や作業員を被曝させ、住民の家屋や土地を含む東日本の大部分を放射性物質で汚染し、さらには広範囲に及ぶ海洋まで汚染させておきながら、10ヵ月以上経った今も、加害者である東京電力や経済産業省に、警察や検察の捜査が入ったという報道を聞いていません。
検察が、冤罪ともいえる佐藤栄佐久前福島県知事を逮捕・起訴し、原発(プルサーマル)推進に加担してきたからでしょうか。(
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
、
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
)
検察が天につばすることを恐れているというよりは、三権分立が機能していないといったほうが適切かもしれません。
見せかけの法治国家・民主国家の化けの皮が、今、剥がされつつあります。
まさに、日本は“法治国家”ではなく“放置国家”なのです
原子力発電
この人たちに任せて本当に大丈夫?!
10日程前に、3月まで住んでいた福島県いわき市の保健所 放射線健康管理センターからホールボディーカウンターによる内部被曝検査実施の通知が転送されてきました。
同封されていた「申請書兼同意書」には、「上記の事項について、同意の上、検査を受検いたします。」と書かれており、その上記の事項というのが、次のことです。
「 内部被ばく線量評価のための検査は、放射性物質(放射性セシウム)が体内に取り込まれているかを判断するための検査です。
検査結果については、皆様にお知らせするとともに、データはいわき市が保管し、必要に応じ、プライバシーに配慮した形で、検査結果の一部を公表させていただきます。
また、
福島県が進める県民健康管理調査の一環として、県(県立医科大学を含む)に検査結果を提供することがあります。
」
「福島県民はモルモットか?」という嫌な思いが頭をよぎったのが、最後の文の「県(県立医科大学を含む)に検査結果を提供することがあります。」というところです。
県立医科大学といえば、「ミスター100ミリシーベルト」の異名を持つ長崎大学の山下俊一教授が、原発事故の直後に佐藤雄平福島県知事の要請で「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命され、その後、県立医大の副学長兼放射線医学県民健康管理センター長に就任しています。
佐藤雄平福島県知事と山下俊一教授のことについては、当ブログでも以前お伝えしており、詳しことは、下記の記事をご覧ください。
原発事故 前福島県知事の逮捕さえなければ・・・・
原発事故の責任 検察や裁判所にも・・・
人体実験を容認!! 福島県立医大 入学式
とにかく、
通常のウランによる発電と比較し危険性と毒性をともなうプルサーマル発電を東京電力福島第一原発3号機に受け入れ、より深刻な被害を発生させる原因を作った県知事、100ミリシーベルトまでは安全だとして適切な対策を講じなかった山下教授、これらの人物の管理下で、検査データが恣意的に利用されはしないかという懸念がつきまといます。
そのような中、つい最近読んだ
「政府は必ず嘘をつく(堤未果著)」
という本に、私が危惧していることが現実になるのではないかということを予測させる記述があったので紹介します。
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● 国際機関というと、つい私たちは信頼のおける機関として信用してしまいがちだが、実はそうではない。
国際放射線学会が放射線無害を表明している上に、バックについているWHO(世界保健機構)やIAEA(国際原子力機構)も、国連常任理事国同様、原発推進の立場である。
● 山下教授はチェルノブイリ原発事故の際、「放射線による影響はない」と報告した放射線影響研究所の重松逸造教授と同じ調査チームのメンバーである。
佐藤雄平知事から「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」として雇われた後、「朝日がん大賞」を受賞、それからまもなく、福島医大が放射線医療の拠点化を目指してまとめた「復興ビジョン」を出している。
(放射線関連の医療産業の集積に取り組む。産学連携の研究施設として、ふくしま医療産業振興拠点(仮称)を設け、地元や海外の企業と連携して放射性医療の検査、診断、治療に用いる機器開発などを促進する。研究のパートナーとなる企業誘致も進め、地域産業の活性化と雇用創出にもつなげる)(福島民報、2011年9月20日付)
さらに、8月9日には、山下氏の勤務する長崎大学がIAEAとの間で被ばく医療分野の学術交流や人材育成協力のための実務合意に調印している。IEAEは、原子力の平和利用を推進する目的で設立された国際機関だ。
その直後に、イギリスでは、WHOが「原発の人体への影響を担当する放射線健康局」を閉鎖しており、実質的な調査権限が原発推進機関であるIAEAに一本化されていたことを認めたニュースが流れた。
11月には、福島県は、野田総理に18歳以下の県民の医療費を無料化する要請を出している。
● 著者が取材した原発閉鎖を掲げるIPSEC(Indian Point Safe Energy Coalition)のメンバー、アレン・ギルバート医師は、「山下氏個人の意図がこうだと断定はできません。ですが、ここまで利害関係を持った人物を放射線アドバイザーとして県が迎え入れたことを、国民はその背景と共に重く受け止めるべきでしょう。判断するのが、日本の国民ですが、私ならマスコミに次々登場し安全を力説する学者たちの所属大学に、事故を起こした電力会社から約5億円という額が流れていることを重要視しますね。9・11後一斉にテレビに登場し『テロとの戦い』を煽った専門家たちも、政府に雇われていたことが、後で暴露されましたから。
ひとつ言えることは、福島は今、世界中の軍や医療従事者、学者や原発関係者にとって、のどから手が出るほど欲しい、被ばくにおける最新研究対象だということです」
● 利権構造全体を理解することは、重要な事実に関する隠ぺい、ねつ造、またはすり替えを見抜くためのカギになる。
原発の場合であれば、情報の発信元がその巨大な利権を支える〈原子力村)の構成員(官僚、電力会社、マスコミ、学者等)であるかどうかで、それを出す意図や受け手を導く方向性が変わってくるだろう。
ここでは、原発関連のことだけを紹介させていただきましたが、東京都が被災地の瓦礫の受け入れを表明した背景から「アラブの春」に至るまで、世界中の動きが、複雑な利権構造の中で流動していることを伝えています。
その背景にあるのは、想像を絶する資金力を付けた経済界が政治と癒着する(コーポラティズム)だ。
当然のことながら、情報を伝える側のマスコミも、この利権構造の中にからんでいるので、正確な情報を伝えようとはしない。
9・11では、マスコミのセンセーショナルな報道に気をとられていた国民は、その深刻さに気づかず、大惨事につけ込んで実施された大幅な規制緩和や市場化の過激な市場原理主義「ショック・ドクトリン」によって貧困格差が加速し続けている。
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この本を読むと、東日本大震災の被災地復興の名のもとに閣議決定された復興特別区域法や、野田政権が勧めようとしているTPP、大阪府の教育基本条例などが実施された後には、この日本がどうなるのかということが予測できます。
裏表紙に書かれているように「今こそ、自ら考え、行動し、真実を見抜く目を持つことの意義を問いかけている」のです。
読む価値のある大変すばらしい一冊でした。
特に、情報の洪水の中で何を信じてよいかわからずにいる方、マスコミの情報につい踊らされてしまいがちな方には、是非、読んでいただきたい本です。
原子力発電
原発事故の 国家賠償・刑事告訴の優先順位
何かの犯罪に巻き込まれて損害を被ったとき、損害賠償を求める民事裁判と、加害者に対する処罰をもめる刑事告訴の二つの手段がありますが、そのどちらを優先すべきかということが今回のテーマです。
刑事告訴され有罪が確定すれば、前科者のレッテルがはられ、人生の屈辱的な汚点となってしまうわけですから、加害者がどんな人物であれ、刑事告訴するという行為自体に多少の躊躇が伴うはずです。
ですから、すでに損害が補填されている状況においては、刑事告訴はやめておこうかという判断もあり得るのです。
軽微な犯罪であり、なおかつ民事裁判において賠償が認めれた場合においても、同様な判断をすることは十分あり得るのです。
優先順位としては、まずは民事裁判を提起することが、被害者にとっても加害者にとっても、最善の選択ということになるはずです。
ところが、国家賠償訴訟においては、国の完全勝訴率が、およそ98%です。原告国民は、ほとんど勝ち目がありません。
しかも、私のケースでは、裁判所と被告代理人の福島地方法務局のダブル不正のもとに裁判が行われました。
国が制定している国家賠償制度でありながら、原告敗訴となるように、はじめから仕組まれていたのです。
国家賠償訴訟は民主国家としての体裁を保つためのアイテム!
一審から上告までの裁判をふり返って見ても、その不公正さは明確です。
私の損害賠償の認定に極めて重要な信義則の主張については、一審から上告に至るまで書面に記載しましたが、主張をしていることすら判決書に盛り込まれませんでした。
さらに、一審(高原章裁判長、他2名)では、二転三転する虚偽の主張を繰り返していた行政職員の証言が、判決理由として採用されました。
二審(大橋弘裁判長、鈴木桂子裁判官、岡田伸太裁判官)では、控訴棄却の判決の趣旨に合致するように、控訴人の主張をねじ曲げたものを控訴人の主張であるとして判決理由にされました。
上告に至っては、最高裁が、裁判資料を読んだ痕跡がまったく確認できませんでした。
告訴状 ~裁判官を刑事告訴し、立件されました。
国を詐欺罪で告訴しました!! ~国家賠償詐欺~
これらにかかった訴訟費用や時間、労力はすべて無駄になったのです。
ですから、
国や行政がかかわる事件では、まずは刑事告訴を優先すべきです。
刑事告訴することで、犯罪の検証や立証は警察・検察がやってくれますし、犯罪性をはっきりさせた上で損害賠償請求を行った方が、無駄な損失を抑え、少ない労力で済むからです。
さて、これを原発事故に応用してみたいと思います。
健康被害については、現時点では、それほど顕著な結果は出ておらず、今後の推移が注目されますが、物質的には東日本の大部分が放射性物質によって汚染されたことは、まぎれもない事実です。
肥沃な農地が汚染された農民、豊かな漁場が汚染された漁民、家庭菜園の楽しみ奪われた人々、放射線の影響を心配しながらその土地・その家での生活を余儀なくされている住民、・・・・・。
地域によって程度の差こそあれ、
個人の私有財産である土地や家屋が汚染されてしまったのです。
私有財産としての価値は、完全に毀損されてしまいました。
国策で推進してきた原発ですから、この責任を東京電力だけに押し付けるわけにはいきません。当然のことながら、国家賠償訴訟の対象になる事件です。
しかし、安易に国家賠償訴訟を起こしたのでは、前述の二の舞になりかねません。
仮に、汚染された東日本の大半の人が訴訟を起こしたとなれば、莫大な費用が裁判所の収入になります。
ところが、同じ事故が原因で同じような損害を被ったわけですから、どれだけたくさんの訴訟が提起されようと、どれも判で押したような判決になるはずです。
数名の裁判官が判決文を考えれば、後はそれを援用して済みます。さらに、上告に至っては、上告不受理・却下の場合には、最高裁で審議が行われていない可能性が極めて濃厚です。
これらの訴訟費用により、裁判所は、莫大な不労収入を得ることになるのです。
それにより既得権益はさらに潤い、それらを元手に、情報統制や住民工作が行われるかもしれません。
ですから、不正工作に利用されるかもしれない資金源を断つためにも、安易に損害賠償訴訟を提起してはなりません。
まずは、刑事告訴して東京電力・監督官庁・御用学者の犯罪を追及することを優先すべきです。
原発事故の刑事告訴については、次の
「福島原発事故の『犯罪』を裁く」
という本が参考になります。
続きは次回にします。
原子力発電
原発事故は事件事務規程(法務省訓令)に則り 起訴されるべき事件
まずは、
前回
のおさらいです。
原発事故により、個人の土地や家屋が放射性物質で汚染されてしまい、私有財産としての価値は、完全に毀損されてしまった。
国策で推進してきた原発だから、東京電力だけにその責任を押し付けるわけにはいかず、当然、国家賠償訴訟の対象になり得る事件だ。
ところが、国家賠償訴訟の統計はとられたおらず(実際にはとられているかもしれないが、公表はされていない。)、
国の完全勝訴率はおよそ98%である。
私のケースでは、裁判所と被告代理人の福島地方法務局のダブル不正のもとに、原告敗訴となるように仕組まれていたことから、大半の国家賠償訴訟においても同様であると考えられる。
(
国家賠償訴訟は民主国家としての体裁を保つためのアイテム!
)
したがって、これらの訴訟にかかった費用や時間、労力はすべて無駄になるので、
国や行政がかかわる事件では、まずは刑事告訴を優先すべきで、加害者の犯罪性を確定させた上で損害賠償請求を行った方が、無駄な損失を抑え、少ない労力で済む。
また、
汚染された東日本の多くの人々が訴訟を起こすとなれば、これらの訴訟費用により、裁判所は、莫大な不労収入を得ることになる。
それにより既得権益はさらに潤い、それらを元手に、情報統制や住民工作が行われる可能性もある。
その資金源を断つためにも、まずは刑事告訴して東京電力・監督官庁・御用学者の犯罪を追及することを優先すべきだ。
前回
のおさらいが、ちょっと長くなってしまいましたが、今回は、この続きです。
国家賠償訴訟より刑事告訴を優先させ、刑事責任を明確にすることが最良の選択であるとしても、その第一段階として、検察が告訴状を受理し、起訴しなければ、先には進めません。
この部分が、日本の刑事司法の最大のネックでもあり、異常性が顕著に現れているところでもあるのです。
国家権力に都合が悪い事件については、検察は、告訴状・告発状の受理をかたくなに拒みます。
告訴状としての体裁が整っており、証拠もそろっていて、しかも刑法等の条文に該当する事件であるにもかかわらず、検察は、難癖をつけて告訴人・告発人に告訴状(告発状)を送り返すというようなことを平気でします。
もしくは、地検⇔高検、最高検⇔地検、地検⇔警察 などの間で告訴状のタライ回しをさせ、とにかく、どこの検察庁も、自分のところさえ関わらなければ良いという極めて利己主義的な行動にでます。
さらに、
しぶしぶ受理したとしても、根拠もなく不起訴処分とします。
不起訴となれば、重大な刑事事件の加害者であっても、無罪となります。公開の裁判にかけられることなく、検察という密室の中で、加害者の無罪が確定してしまうのです。
一方で、起訴されれば、その99%以上は有罪となります。
検察が、裁判所の機能まで奪い取ってしまっていることが、日本の刑事司法の異常性なのです。
国がかかわる事件については、加害者が特定されており、明らかに刑法等の条文に該当しているにもかかわらず、不起訴処分とします。
不正に不起訴にしているので、不起訴処分の理由など説明できるはずがありません。
「不起訴処分理由告知書」なる不起訴裁定の主文(結論)しか書かれていない紙切れ一枚をもって、説明したことにしてしまうという暴挙に出ます。
告訴した事件について、不起訴処分の理由が説明されていないと、改めて説明を求めると、仙台地検特別刑事部が、再び不起訴処分理由告知書を送ってきたというようなこともありました。
不起訴処分理由告知書を二重発行!! ~検察の新たな犯罪~
すでに、不起訴処分理由告知書を発行していること自体、内部の記録に残していないのではないかという疑いさえ生じます。
裁判所・法務省関係者の事件は 記録に残されていない!!
刑事訴訟法、
法務省事件事務規程(法務省訓令)
自体が矛盾しており、不当な不起訴が、合法的な手続きに見せかけてできるような法律になっているのです。
法務省刑事局の事件事務規程(法務省訓令)の矛盾を証明します!
とは言いましても、国家権力がかかわる犯罪は、不起訴処分にされたとしても、不起訴処分理由告知書に書かれている“理由(不起訴裁定の主文)”としては、ほとんどが「嫌疑なし」か「嫌疑不十分」のいずれかが記載されているはずです。
事件事務規程(法務省訓令)
第72条2項の各号に照らし合わせても、(17)嫌疑なし、(18)嫌疑不十分 以外に該当するものはないはずです。
事件事務規程(法務省訓令)
第72条2項
(17) 嫌疑なし 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
(18) 嫌疑不十分 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
原発事故で個人の土地や家屋が放射性物質で汚染され、その資産価値が毀損されてしまったことは明白な事実であり、その事故の直接の加害者は東京電力であり、安全性より経済性を優先して、ゆるい安全基準のもとでの原発の建設・稼働を認可してきたのは経済産業省であり、当時の原子力安全・保安院であるのです。
地元住民の刑事告訴に対し、検察は未だに処分を決めていないようですが、原発事故の東京電力の経営陣や政府役人に対する刑事告訴は、事件事務規程(法務省訓令)第72条2項(17)嫌疑なし(18)嫌疑不十分 に該当しておらず、当然、起訴されるべき事件なのです。
原子力発電
原発事故バブル
先週末、一昨年の3月まで住んでいた福島県いわき市に行って来ました。
東京電力福島第一原発の周辺地域から避難している人たちの仮説住宅が市内のあちこちに建ち並び、人口は震災以前より大幅に増加しています。道路やお店は、相変わらずの混雑と賑わいでした。
以前あった建物は取り壊され、新しい建物になったり、前とは違うきれいなお店に様変わりしていたりと、街並みを見渡しただけでも急激な変化を感じます。
聞く話によれば、原発周辺からの避難者には月々1人当たり10万ほどの補償金?(賠償金?)が支払われているとかで、特にそのような人たちによる消費が盛んなようです。
仮説住宅から一般の中古住宅への住み替えを求める人も多く、需要に供給が追い付かない状況です。
いわき市は、まさに
“原発事故バブル”
といった様相です。
その一方で、妻子を首都圏などの遠くに住まわせ、夫だけが市内に残り仕事を続けている家族、若い看護師たちが子供を連れて避難してしまい、新たな看護師を見つけようにもなかなか見つからず、人手不足で夜間の診療体制を見直さざるを得なくなった病院、閉院して遠くに避難する開業医など、医療従事者の不足が顕著になってきているそうです。
被曝の危険性を十分認識している医療関係者だからこそ、「避難」という賢明な選択したのかもしれません。
アンバランスな状況での街の賑わいに、著しい違和感を覚えました。
知人たちは、さらに気になる話を口にしていました。
とにかく亡くなる人が多いということです。知り合いの多い友人は、年末から葬式続きだということを言っていました。葬祭場や火葬場を確保するのも大変なそうです。
人口が増えているのだから、相対的に増えるのは当然という見方もあるかもしれませんが、果たして、そうなのでしょうか。
思わず、前日、東京に向かう新幹線の中で読んだ「福島原発事故 県民健康管理調査の闇(日野行介)」の内容が頭をよぎりました。
放射線によるがんやその他の疾患の発症には、しきい値(下限となる基準)がないということです。
低線量被曝との因果関係を疑わずにはいられませんでした。
震災後の1年間、いわきに住んでいたときには、食物や飲料水に細心の注意を払いがらも、放射線による不安が街の賑わいに掻き消されるような感覚がありましたが、一旦、離れてみると、再びこの地に足を踏み入れることに、多少の不安を感じます。
折りしも、福島第一原発4号機では、燃料棒の取り出し作業が行われています。わずか43時間ほどの滞在でしたが、この間に、原発のトラブルや大地震が起きなかったことに胸をなでおろし、また友人たちと再会することを楽しみにしながら、いわきを後にしました。
見返しの解説より
未曾有の原発事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県の調査の裏で、専門家、行政担当者たちは一体、何をしていたのか。秘密裏に会議を繰り返し、事前に調査結果に対する評価をすりあわせ、議事録までも改竄ー。一人の記者が,“闇”に立ち向かい、調査報告でその実態を明らかにする。
偏向報道が甚だしい既存メディアですが、一握りでも、このような真実に立ち向かう気骨のある記者がいることに、多少の希望を感じました。
「改竄」「隠蔽」「情報操作」など、この国の病巣ともいうべき常套手段が、国民の生命にかかわる重大な調査にも巣食っていたことを痛感させられました。まさに、このブログのテーマでもある不公正な国家賠償訴訟の実態と重なります。
原子力発電
まったく無意味な原子力規制委員会の審査合格
原子力規制委員会は16日、九州電力川内原発1、2号機について、再稼働の前提となる「新規制基準に適合している」とする審査書案を、定例会で了承しました。東京電力福島第1原発事故を教訓に、安全対策を強化した新規制基準に適合する初の原発となります。
規制委の田中俊一委員長は、「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない。」と述べ、審査は必ずしも原発の安全性を担保したものではないという認識を示しました。
毎日新聞 2014年07月16日 20時18分(最終更新 07月16日 21時13分)
より
規制委は「基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」との姿勢を崩さず、政府も「稼働させる政治判断はしない」との立場だ。実質的に再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられ、国策でもある原発が、国の責任があいまいなまま稼働する可能性もある。
なんとも無責任な構図なのでしょうか。
サンデー毎日6,22号「原子力規制委『不穏な人事』 原子力村の最終兵器!新委員 田中知氏の役割」によれば、遅々として進まぬ再稼働審査に業を煮やしたかのように、安倍官邸が、5月27日、「原子力村」のエースとして名高い田中知氏を原子力規制委員会の新委員候補として発表したというのです。
これまで厳しい審査をしてきた地震・活断層担当の島崎邦彦・委員長代理と、それを追認してきた前述の田中委員長を抑える〝重し〟として田中知氏が期待された面があるようだと記されてます。
さらには、規制委の改革を狙う「自民党原子力規制に関するプロジェクトチーム(PT)」座長の塩崎恭久・元官房長官が委員会に乗り込み、島崎氏と田中委員長を名指しで批判する「緊急提言」をしたというから驚きです。
再稼働に向けた動きが、官邸の主導で行われているにもかかわらず、その責任については、政府も国もとらないといういい加減さなのです。
話を戻しますが、合格した審査書案については、福島第1原発で起きた全電源喪失、炉心溶融、水素爆発などの事故のほか、航空機の衝突やテロ対策についても、対応の手順を整備したということですが、はたして、手順通りにいくかは、極めて疑わしいです。
といいますのも、朝日新聞がスクープした「吉田調書」の内容が大きくかかわってくるからです。
スクープの内容は、事故直後に、所員の9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令を無視して、10km南の福島第二原発に退避してしまったということが記載されています。その中には、部課長級の幹部社員の一部も入っていたということです。
所員が大挙して所長の命令に反して福島第二原発に撤退し、ほとんど作業という作業ができなかったときに、福島第一原発に本当の危機的事象が起きた可能性があると書かれています。
以上、
http://digital.asahi.com/special/yoshida_report/1-1m.html
より
もっとも、このスクープには疑義が相次いでいるようで、「所員は命令に違反して退避したのではなく、命令に従って退避した」というのが疑義に共通している点なのですが(
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39685
)、いずれにしても、この中で政府事故調の最終報告の欠点として、本質的な問題を指摘していますので、ご紹介します。
「『吉田調書』福島原発事故、吉田昌郎所長が語ったもの」
より
過ちは生かされたか
政府事故調の最終報告の欠点は、原発の暴走を止めるのは人であり、原発被害から住民を救うのも人であるのに、当時のそれぞれの組織の長、首相、経済産業大臣、原子力安全・保安院長、原子力安全委員会委員長、東電社長、そして福島第一原発の所長の行動・判断を一つひとつ検証しなかったことだ。772人もの関係者から聴き取りをおこなったのに、「個人の責任を追及しない」との方針を掲げたため、事故の本質に深く切りこめなかった。政府や電力会社がいま、再稼働に向け、防潮堤のかさ上げやフィルターベントの取り付けなど設備の増強に走るのは、政府事故調が分析・検証を現象面にとどめたからと言っても過言でない。
未曽有の原子力事故に立ち向かった人間の声は、歴史に刻まなければならない。歴史は人類共通の財産である。第1回の聴取の際、政府事故調は「お話しいただいた言葉がほぼそのままの形で公にされる可能性があるということをお含みいただいて、それでこのヒアリングに応じていただきたいと思います」と説明した。吉田氏は「結構でございます」と即答したことをここに記す。(宮崎知己)
事故が起きたた際の対策や手順をいくら整備したところで、そこにかかわる人間の行動・判断を抜きにして適切な対策は講じられないということを伝えているように思います。
そのことは、事故後のみならず、再稼働に向けた安全審査をする段階においても重視されなければならず、審査にかかわる委員が、どのような立場の人物かを考慮したうえで、審査の適正さを検証する必要がありそうです。
そのような点が欠落している今回の審査合格は、まったく無意味なものではないでしょうか。
原子力発電
原発事故と不正裁判の共通点
当ブログは、「不公正な国家賠償訴訟」というタイトルの通り、主に不正裁判の実態についてお伝えしていますが、東日本大震災の後は、東京電力福島第一原発事故に関することもお伝えしています。
「不正裁判」と「原発事故」、これらには〝共通点”があります。
もちろん、国策で行われてきた原発と、国の機関・制度として行われている裁判ということで、国が直接的に関与しているという点では共通ですが、それ以外にも共通点があります。
それは、重大な事件や事故が発生し、明らかに刑事責任が問われるべきケースであるにもかかわらず、被害者住民等による刑事告発・告訴に対して、検察が不当に不起訴処分にして、誰一人として加害者の刑事責任が追及されていないことです。
そして、これらには、更なる共通点があります。
それこそが、検察が刑事責任を追及できない本質的な理由ではないかと、私は考えています。
それは、
裁判も、原発も、制度上は合法的に見せかけながらも、その内部に政府や裁判所が不当に利益を得られる集金システムが組み込まれているという点です。
不正裁判においては、国家賠償詐欺と上告詐欺の2つの方法で、訴訟費用が騙し取られています。
国家賠償詐欺の最大のメリットは、原告敗訴にすることで、国から支払われる賠償金を抑えることができます。
一方、上告詐欺は、上告される一般の裁判にも当てはまります。
一審のおよそ2倍という訴訟費用を納めているにもかかわらず、おおかたの事件は、上告不受理・却下となり、最高裁で審理されることはありません。それにもかかわらず、その費用は返還されることはなく、不当に得た国の収入となります。しかも、このことは、学納金返還訴訟(不当利得返還請求事件)の最高裁判例にも違反しています。
国家ぐるみの訴訟詐欺は2本立て!!
最高裁判所自らが判例違反をしているんじゃないの!
上告詐欺を、見掛け上は合法的に行えるようにしているのが、不正がやりやすくできている民事訴訟法・民事訴訟規則です。
“
上告詐欺”がやり易くできている民事訴訟法!
一方、原発は、地域独占の企業で、しかも総括原価方式により、過剰利益が生じやすい仕組みになっています。
必要経費に利潤を加えたもの(総括原価)から電気料金が割り出されるのですが、この利潤(事業報酬)の計算の仕方に問題があります。電力会社が保有するすべての資産に「報酬率」という一定の%を掛けたものが利潤として上乗せされるため、原発のような大規模な設備を持てば持つほど利益が増える仕組みになっているのです。
世界一高い電気料金が、企業の経営を圧迫しているのです。
「隠される原子力 核の真実(小出裕章 著)」 「原発の嘘(小出裕章 著)」を参照。
これ以降は、小説の形をとっている「原発ホワイトアウト(若杉冽 著)」の内容によるものなのですが・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
経費を浪費したら浪費しただけ報酬が増えるため、電力会社から発注される資材の調達、燃料の購入、工事の発注・・・・は、世間の相場と比較して二割程度割高になっている。
電力会社を頂点として取引先を組織化し、取引先の超過利益2割のうちの一部を預託金としてリザーブして、これが政治工作の資金として使われる。政党交付金が表の法律上のシステムとすれば、総括原価方式による超過利潤は裏の集金・献金システムとして日本の政治に組み込まれる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
電力会社の利益は電気事業法で保証されていますので、この法律自体が、電力会社に原発を造らせ、過剰利益をもたらすためにあるようなものなのです。
つまり、不正裁判・偽装裁判で得られる不当利益も、総括原価方式による集金・献金も、法律ですでにシステム化されており、国や政治家に当てにされている収入ということになります。それを今後も維持する必要から、検察が刑事責任を追及しないようにしていると考えられます。
最近も、ベネッセの顧客情報が流出する事件がありましたが、個人情報保護法が施行されているにもかかわらず、名簿業者などという職種を野放しにしていること自体、問題であると思います。
不正に得られた個人情報であろうが、それを利用することで経済が活性化すれば、税収が増え、国にとっては好都合だぐらいに、財務省は考えているのかもしれません。
不正を追及していくと、行き着く先は国の制度・法律であり、政府や国の機関が不当に利益を得られるようにできているのです。そして、被害者は、いつも、搾取される側の消費者や制度を利用する国民なのです。
原子力発電
原発事故の謎が解ける本 ~東京が壊滅する日~
久々に本の紹介です。
原発関連の本はこれまでに何冊か読んできましたし、ネットで得られる情報などを含め断片的な知識だけはあったのですが、それらがひとつの流れとしてつながるのが、広瀬隆氏の「東京が壊滅する日 フクシマと日本の運命」です。
原発事故後の政府の対応や福島県の対応には、疑問に思うことがたくさんあります。
福島県の多くの子どもたちに甲状腺疾患が生じているのに、政府はなぜ原発事故との関連を否定するのか、放射性物質が拡散する範囲を考えれば、全国の子どもたちも調査すべきであるのに、なぜ調査しないのか、特に福島県では癌以外でも多くの人が亡くなっているのに、なぜ全体的な健康調査をしないのか、除染しても取り除くことが出来ない危険な地域に、なぜ住民を帰還させるのか、汚染された食品を曖昧な基準でなぜ流通させているのか、原発事故が起きたにもかかわらず、その根本的原因や責任の追されないまま、なぜ再稼働に踏み切るのか、事故を起こした当事国が、その欠陥品の原発をなぜ海外に売りつけるのか・・・・・・
など、健康被害から政府の対応に至るまで疑問に思うことは数限りなくありますが、この本を読むと、その謎が解けます。
まさに、目からウロコです。
一言で表現するなら、“原子力の歴史が余すところなく書かれている”といっても過言ではありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
原子力の淵源ともいうべき、ウラン化合物の発見は、フランス革命が勃発した1789年にまでさかのぼります。
その半世紀後、化合物だった四塩化ウランを還元することで、元素としての金属ウランをつくることに成功します。
もちろん、当時は、発色のきれいなので塗料としてなど、現在の核兵器や原子力とはほど遠い利用のされ方をしていました。
同じ19世紀後半、多くの物体を透過する光(放射線)が発見され、「X線」と名づけられます。そして、小学校の図書館に置いてある伝記にもなっているエジソンやキュリー夫人も、それにかかわることになるのです。
原子爆弾のアイディアが誕生したのは、1938年12月のことです。
ウランに中性子を照射すると、ウラン原子が核分裂することを発見しました。この核分裂の際に、質量の一部がエネルギーに変換され、とてつもなく巨大なエナルギーが放出されます。
これが、原子爆弾という兵器のアイディアになったのです。
折りしも、時代は第二次世界大戦へと突入していきます。
1942年、極秘に原子爆弾を製造する「マンハッタン計画」がスタートします。
1945年、7月16日、人類最初の原爆実験が行われ、成功します。
この実験の3週間後の8月6日には広島にウラン原爆が投下され、その3日後には長崎にプルトニウム原爆が投下されました。
おびただしい数の人命が失われ、今もその後遺症に多くの人々が苦しめられていることは、私たちも知るところです。
一見すると、核兵器開発がここで終わっていまったかに錯覚しそうですが、実は、ここからが本格的に核実験がスタートします。
その土台となったのがイギリスのチャーチル(前)首相の演説で、共産主義国のソ連を(仮想)敵国であると発言したことで、東西冷戦の時代へと移って行きます。
1952年10月、原爆のおよそ1000倍近くの威力のある水爆実験にアメリカが成功します。これを追うように翌年8月、ソ連も水爆実験に成功します。
それから4か月後の1953年12月、アメリカのアイゼンハワー大統領が、国連総会の演説で、「原子力の平和利用」を宣言して、現代につながる「原子力発電の時代」へと舵を切ったのです。
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これは、この本に書かれている科学的側面からざっと眺めた歴史ですが、19世紀のウラン鉱物が採掘されはじめた時代から、X線の実験、原爆実験、広島・長崎への原爆投下、水爆実験、原子力発電に至るまで、それぞれの場所や周辺で数えきれないほどの健康被害が出ていたことは、早くから知られていました。
しかし、それぞれの時代で形を変え、現在の原子力発電に至るまで、原子力産業は、なぜ隆盛を極めてきたのでしょうか。
さらに、東京電力福島第一原発の事故が起きたにもかかわらず、政府は事故の被害を過少に評価して、なぜ原発を再稼働させようとしているのでしょうか。
これらのなぞを解く鍵は、これらの背後に見え隠れする裏の歴史にヒントがあります。
この続きは、次回にします。
これらの歴史的事実から、今、日本の水面下で何が進行していて、今後、それがどのような形で現れてくるのか、かなりの精度をもって予測できるということです。
世界の流れ、日本の危険な方向性を正しく理解するために、是非、読んでおきたい本です。
原子力発電
原発事故の謎が解ける本 2 ~東京が壊滅する日~
前回に引き続き、広瀬隆氏の「東京が壊滅する日 フクシマと日本の運命」の紹介です。
前回は、科学的側面から眺めた原子力の歴史を簡単に紹介しました。
19世紀のウラン鉱物が採掘されはじめた時代から、X線の発見、原爆実験、広島・長崎への原爆投下、水爆実験、現在の原子力発電に至るまで、それぞれの場所や周辺で数えきれないほどの健康被害が出ていたことは、早い段階から知られていたにもかかわらず、それぞれの時代で形を変え、現在に至るまで、原子力産業は、なぜ繁栄を続けてきたのか、その答えを知ることで、現在の福島や日本の状況を正しく知り、近い将来の日本の姿を正確に予測することができます。
この本には原子力の歴史が多角的な視点から書かれており盛りだくさんなのですが、その中から福島の原発事故の関係する部分に限定して紹介します。
とは言いましても、まずは原子力に関する世界の流れを知っておく必要があります。
詳しい経緯については本を読んでいただくことにして、大まかに言えば、
アメリカのモルガンとロックフェラーの二大財閥が第二次大戦中の「軍需産業」のすべてを握ったことで、その後も彼らが巨額の利益を得続けるためにるために、ある時には仮想敵国を作り、戦争を煽ることで世界をコントロールし、繁栄を極めてきたといえます。
少し前のイラクやアラブ世界、現在のシリアで起こっているようなことは、ソ連を仮想敵国とした冷戦時代からのアメリカの常套手段といえます。
もちろん、広島・長崎への原爆投下も、これまで言われてきたような「第二次世界大戦を終わらせるために原爆が投下された」のではなく、巨額の利益を得ることを目的に実行されたことは確かです。
さらに恐ろしいことは、マンハッタン計画に携わった二大財閥が、被ばく問題を調査する国際的な機関に人材を送り込み、データを独占することで、被ばく被害を過小に評価し、根拠のない基準を世界に示し、その後の原子力産業への影響を排除するような手法をとって、原子力の維持を企ててきたことです。
次に日本への影響を見ていきますが、その際、アメリカのABCCという機関に注目する必要があります。
広島・長崎への原爆投下によって、被曝問題をコントロールする必要性を感じたアメリカは、「原爆傷害調査委員会(ABCC)」を設立して、広島と長崎の被ばく者に対し放射線の医学的・生物学的影響を調べる調査をはじめた。
だが、彼らは、苦しむ被ばく者の治療を一切行わず、人体実験のモルモットとして調べた。その理由は、
日本人による被ばく研究を禁止してデータを独占し、放射能被害を隠すための権威として振る舞うことを目的としてABCCが設立されたからである。
このABCC創設を提唱したシールズ・ウォーレン博士が、マンハッタン計画をそのまま引き継ぎ、ロックフェラーとモルガンの企業から送り込まれた人材で埋められた組織「原子力エネルギー委員会(AEC)」の医学顧問をつとめ、その後、放射線影響科学委員会のアメリカ代表となり、さらにアメリカの二大財閥の資金によってスタートした国連の世界保健機構(WHO)の要職に就くことになる。
また、原水爆反対の動きを世界的にコントロールするため、1957年、AECが主導して、国際原子力機構(IAEA)が国連の自治機関として誕生する。第二次世界大戦の戦勝国が、資本主義・共産主義、西洋・東洋を問わず、核兵器開発を独占するための国際シンジケート組織であった。
その2年後の1959年、WHOがIAEAと協定を結び、IAEAが独占的な、原子力の世界的権威と位置づけられ、WHOは、実質的に原子力の分野での独立した医学調査の実施が禁じられた。
これらは、すべてアメリカを中心に行われてきたことなので仕方ないとしても、被爆国の日本としては何かやれることはなかったのか、そこが疑問に思うところです。
しかし、
ここでもアメリカに協力する売国日本人の存在が大きな影響力を持ちます。
では、具体的に見ていきましょう。
ABCCは、原爆投下から5年後の時点での被ばく生存者だけを調査対象とし、5年以内の死亡した最大の被害者を調査対象から除外した。加えて10キロメートル以上でも被ばく症状が出ていたにもかかわらず、2,5キロメートルの人だけを被ばく者として調査したほか、ありとあらゆる手段で放射能被害を小さく評価した。
戦後まもなく、このABCCの調査に協力したかなりの日本人が、広島・長崎の医学者と医師の肩書きをもつ者の中にいた。
原子炉売りつけの莫大な利益を狙って、1975年、アメリカのABCCが日本に受け継がれて改組され、放射線影響研究所(放影研)となった。放影研は現在まで、アメリカから資金提供を受けている。
この放影研の理事長として1981年から君臨したのが、薬害・公害で医学的に明白になっていた原因物質をシロと判定し疫学犯罪を重ねてきた重松逸造であった。
ICRP(国際放射線防護委員会)の委員でもあった重松逸造を支援したのが笹川財団で、その傘下で重松逸造と組んだのが、長崎大学の長瀧重信と山下俊一であり、このふたりが、福島の原発事故の放射能被ばくを放置した。
これらが、現在につながるに日本国内での人脈です。
原爆投下による被害を受け、さらに原発事故が起きたにもかかわらず、その後も積極的に原子力にかかわり、推進していこうとしている現在の政府は、まさに二大財閥による世界的な流れの中に完全に取り込まれていると考えられます。
ですから、政府のいう基準値を信じて、汚染地帯に居住し、汚染された水や食品を摂取し続けていたのでは、この本に書かれているような世界各地の汚染地帯で起きてきたようなことが、目の前で展開されることになります。
原子力発電
何が何でも川内原発を停止させない政府!!
九州地方では、14日夜に熊本で発生した地震以降、震度7、震度6強といった大きな揺れの地震が頻発していて、今なお、余震が続いています。地震の恐怖と不安を感じながら不便な生活を強いられている方々の様子を見ていると、東日本大震災のときのことが思い起こされます。
日本列島のどこにいても、大きな自然災害に見舞われる危険性があり得るということを、改めて認識させられます。
阪神大震災、新潟中越地震、東日本大震災・・・、一見すると、度々目にする地震被害の見慣れた光景にも感じますが、ひとつだけ異様に感じることがあります。
震源地に近い川内原発が、地震発生後も稼働を続けていることです。
東日本大震災のときは、地震と津波で直接大きな被害を受けたを東京電力福島第一原発は別としても、そのほかの稼働中の福島第二原発、東北電力の女川原子力発電所、日本原子力発電東海第二発電所などは自動停止しています。
川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の14日の地震の震度は4ということですので、自動停止を感知するまでには至らないレベルの揺れだったのかもしれませんが、その後も、巨大地震の震源地が移動しならが拡大している状況の中で、通常通り運転を続けるということには異常さを感じます。
しかも、九州の各地の道路は地震の影響で寸断されており、仮に放射能漏れなどの事故が起きた際には、スムーズに避難することが困難です。建物の崩壊を恐れて屋外で避難生活を続けている人も大勢いて、その場合には被曝のリスクも高まります。
九州電力川内原発一号機については昨年8月に、二号機については10月に新規制基準の下に再稼働しています。
東日本大震災による福島第一原発の重大事故を経験し、今なお収束していないにもかかわらず、原発再稼働を推進すること自体、正気の沙汰とは思えませんが、さらに、一旦、再稼働をした原発は、何が何でも停止させないという政府の異常性を強く感じます。
「新規制基準をクリアしている原発は安全である」ということをアピールしたい政府と電力会社の思惑と無責任さを強く感じます。
ところで、川内原発再稼働については、「審査の手抜き」「過誤」があったことが指摘されています。
その原発に発生しうる地震の強さの基準のことを「基準地震動」というそうなのですが、それを、九州電力と原子力規制委員会は過小に設定、正しい検討手続きを踏んでいないということです。
さらに重要なのは火山のリスクで、噴火の兆候を把握することは不可能であるとする火山学者の意見をまったく無視して、過小評価したガイドラインになっているということです。そのほかにも、老朽化した川内原発一号機が耐震審査をされないまま認可されたことも指摘されています。
このように、
多くの点において非科学的、非論理的な審査のもとに原発が再稼働されたことが、下記のサイトで詳しく述べられていますので、興味のある方は、是非、ご覧ください。
http://lite-ra.com/2016/04/post-2162.html
とにかく、政府の対応は、九州地方の被災者や国民のことより、原発の運転を第一に考えているとしか思えません。
今後の地震の見通しが予測できない中、川内原発の運転を続けることには何のメリットも見い出せません。
唯一メリットがあるとすれば、原発再稼働に狂っている安倍政権の支持率が下がることぐらいではないでしょうか。
原子力発電
受診率の低い福島の甲状腺検査と 検査間隔の妥当性
福島県が行っている甲状腺検査については、データ収集の手法に問題があり、一つは甲状腺がんと診断される子供のカウントの仕方、もうひとつは甲状腺検査の精度に問題があるということを、前回、お伝えしました。
これらは、実際に検査は受けているが、そのそのデータ収集の方法に問題があって、甲状腺がんあるいはその疑いがある子供たちが、相当数、見落とされていないのではないかという問題ですが、今回、紹介するのは、
検査すら受けていない対象者が相当数存在する
という問題です。
2015年12月の資料なので、最新のデータではありませんが、2014年度から開始された本格調査の年代別受診率が公表されてるので紹介します。
2014年度の受診率は70,5%です。
2~7才 76,5%
8~12才 91,5%
13~17才 84,9%
18~23才 24,1%
年代によってかなりの差がありることがわかります。
データがどのように集計されたかはわかりませんが、小学生から高校までの集団検診を受診できる年代で8,9割というのは、かなり低い数値です。県外へ流出した子供たちの受診率が低いのでしょうか。
また、18歳以上の対象者には個別に受診案内を送付し、それぞれの都道府県の医療機関等でも受診できるようになっていますし、年に1~2回「甲状腺通信」というリーフレットを送付して検査への関心を持続できるようにしているということですが、受診率の低さには驚きます。
高校を卒業して学校での集団検診を受ける機会がなくなった18才以上の青年たちは対象者4万9237人中1万1858人しか受診していないということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」参照。)
甲状腺検査は、20才までは2年ごと、その後は5年ごとになっていますが、この間隔にも疑問を持ちます。
2015年3月31日までに癌もしくは癌の疑いの104名が手術を受け、うち97人を福島県立医大で実施しました。1例は良性結節と判明したが、96名は甲状腺癌でした。そのうち甲状腺全摘出が6名、片葉切除が90例で、全例にリンパ節郭清(悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法)を行っています。
病理診断では93例が乳頭癌、3例が低分子癌、リンパ節転移は23例が陽性であり、2例に多発性肺転移の疑いがあるということです。(広島保険医新聞2015年12月・第478号 「福島県甲状腺検査本格調査の現状」より)
早期に発見されれば、重症化しないですむことを考えれば、成人の5年ごとの間隔には疑問を持ちます。
さらに、原発事故当時、高校生だった人たちは、すでに高校・大学を卒業して社会人になっている対象者もおり、甲状腺検査のために時間を割くことは、より難しくなると考えられます。
検査のための有給休暇をとれるとか、職場の健康診断の際に甲状腺検査を実施するとかしなければ、受診率はますます低下するばかりです。
福島県の甲状腺検査については、前回から引き続きお伝えしていますが、とにかく、甲状腺癌、あるいは癌の疑いの患者がなるべく見つからないように、意図的に杜撰な検査体制がとられているとしか考えられません。対象者に大きな網目のネットをかけ、その穴から通り抜けた対象者は放置されるように仕向けられているとしか思えません。
被爆国であり、しかも重大な原発事故を経験しながら、いまだに原子力の軍事利用、総括原価方式による政治家、官僚、財界への資金の還流という古い体制に固執しているのが、安倍政権です。
福島の甲状腺検査の結果は、安倍政権が進める原発政策の大きな妨げになることから、そのような杜撰な検査体制がとられているのではなかと考えられます。
そもそも福島の子どもたちに甲状腺の健康被害が生じるような事態を引き起こしたのは、誤った国策で原発を導入した国と十分な安全対策を怠ってきた東京電力です。
検査体制の徹底・充実と十分な治療体制など、国には率先して対策を講じる責任があります。
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