新政権と司法の関係でどうしても触れておきたいことがありましたので、今回は、この話題にします。 それは、2002年に斡旋収賄事件で逮捕され、一審で懲役2年の実刑、二審で控訴棄却の判決を受け、最高裁に上告している刑事被告人の鈴木宗男議員が衆議院の外務委員長へ就任したことです。 この報道を知って、自民党政権の下での歪んだ国家権力に対する新政権の気迫のようなものを感じました。 事件当時、テレビ報道で見る鈴木宗男氏というのは、選挙カーから降りて、笑顔で手を振りながら大またで走り回る姿、大粒の涙を流しての記者会見、「疑惑のデパート」 「疑惑の総合商社」 と国会での辻元議員からの追及・・・・
喜怒哀楽の激しい小熊のようなおじさんというマスコミにより作り上げられたイメージしか私にはありませんでした。
そして、そのころ、まだ司法やマスコミを信頼していた私は、犯罪の疑いが濃厚という印象を根拠もなく抱いていたのです。 ところが、私の抱いていた悪いイメージを一気に払拭してくれたのが、鈴木宗男氏の著書「汚名(講談社)」でした。
日本の外交に誰よりも貢献し、特に北方領土の返還問題には、なくてはならない人物であること。
外交機密費で私腹を肥やしたり、特権を享受しては国益を踏みにじる外務省の官僚たちの実態を知り尽くし、その後始末をすることで外務省に強い影響力を持っていた鈴木宗男氏が、マスコミや官邸を見方に取り込んだ外務省によって、罠にはめられてしまったこと。
捏造された数々の疑惑で、無実の人間を、いとも簡単に犯罪者に仕立て上げる歪んだ国家権力に、改めてこの国の闇の世界の恐ろしさを感じました。 そもそも、私の国家賠償訴訟に関する一連の事件を通して、行政の機能不全や偏った司法判断を痛感し、民主国家とはいえない行政、検察、裁判所の癒着構造を認識していた私は、鈴木宗男氏が著書に書かれていることに素直に共感できました。 鈴木宗男氏と同じように国家の罠にはめられたと思われる人物に植草一秀氏がいます。
その数ヶ月前に読んだ植草一秀氏の著書「知られざる真実(イプシロン出版企画)」には、私が思い描いていた闇の世界より、さらにスケールが大きく複雑で狡猾な利権を巡るせめぎ合いが書かれていました。
驚きとともに共感を覚えた私は、是非多くの人々に、この現状を知っていただきたいと思い、Amazonに下記のようなレビューを投稿しました。
サイトを巡っているときに、たまたま植草氏のブログに出会いました。
専門的な知識、緻密な情報、鋭い洞察、主張されていることに共感できました。
あるとき、数年前、痴漢事件で世間をにぎわした植草氏であることに気がつきました。
もしかしたら、あれは冤罪事件だったのでは?
関心を持った私は、さっそく、この著書を読んでみることに。政府の中枢にかかわりがあった著者だからこそ伝えられる政治家や官僚、さらには海外の首脳、国内外の金融機関、巨大企業との利権を巡るせめぎ合い。そして、政策が国内経済に及ぼす影響、メディアを巻き込んでの情報操作、国家権力の横暴・・・・
興味深い事実に、一気に読破しました。
また、それら巨大資本の流れとは対極的立場にある弱者に対する愛や慈しみにも感銘を受けました。
著者が国家中枢の内幕を知り尽くし、それを指摘しようとしたからこそ国家の謀略にはめられたのではないかという疑念は、巻末資料の事件の経緯や不自然な警察の捜査手法、客観性の欠落した判決から推論されます。
日本の政治や経済の実情と問題点、民主国家とは到底言いがたい国家権力の腐敗が如実に表現されており、期待した以上の価値のある一冊でした。
是非、たくさんの方に読んでいただきたいと思います。同じような経緯をたどった方は、おふたりのほかにもたくさんいますが、彼らに共通していえることは、自民党政権の下で、国家の闇を暴こうとした者は、無実の罪で司法によって断罪されるという怖ろしい現実です。
そのことを民主党政権は、しっかりと見抜いているのではないでしょうか。
新政権は、これまでの自民党政権下での歪んだ司法判断を重視しておらず、臆することなく鈴木宗男氏を外務委員長にして、北方領土問題への期待を託したのではないでしょうか。
この鈴木宗男氏の委員長就任は、もしかしたら自民党政権の下、ずっと続いてきた歪んだ司法判断への決別姿勢と受け取ってよいのかもしれません。
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