裁判所内に本人訴訟のための図書室でもあればよいのに・・・・ (一審・2)
訴状を提出し、ホッとしたのもつかの間、裁判官からたくさんの宿題を出されてしまいました。
何といいましても宿題の最大のテーマは、私が夫の分まで請求できるとする根拠、つまり、原告適格の問題です。
その点に関しては、提訴前にもだいぶ文献を調べて検討を重ね、行けそうかもと判断したので提訴したわけですが、訴状には事実関係を書き連ねただけで、そのような原告適格の説明などまったく記載していませんでしたので、納得できるような十分な根拠を示さなければならなかったのです。
“裁判官は法律の専門家なのだから、わざわざ私が証明(説明)しなくても、事実関係から勝手に判断してくれるはず” などという考えは、大きな間違いのようです。
それは、裁判が 『弁論主義』 といって、 「訴訟には、当事者が主張したことだけに基づいて勝ち負けを決めるというルールがあって、当事者の『主張(訴状、答弁書、準備書面で述べたこと)』していないことを、裁判官が勝手に取り上げて判断してはならない。」 という制度をとっているからなのです。
被告が、原告適格を否定するような主張をし、私が書面で反論できなければ、事件の内容に入る前に門前払い同然にされてしまうわけですから、その点を裁判官が配慮してくれたのだと思います。

裁判所へ出向いたその足で、宿題をするための文献を探しに書店と図書館へ行きました。
原告適格の問題は、初心者向けの本にはほとんど載っておらず、専門的な本が必要でした。
ところが、図書館は、借金とか、交通事故とか、離婚問題など、どこにでもありそうな事件についての初心者向けや一般向けの本ばかり。
市内で一、二番の規模の書店も、専門書はあったものの、肝心な部分が詳しく書かれているような、これといった本がなくてガッカリ。
最後に、ダメもとでBOOK・OFFに行ってみたところ、偶然にも、「民事訴訟法、上田徹一郎著、法学書院」を見つけました。手に取って見たところ、「当事者適格」のところに、「任意的訴訟担当 第三の訴訟担当」という項目があり、 「あった。これだっ。

それから、毎日深夜までパソコンに向かい準備書面の作成に取り組みました。
何冊もの文献を調べ、その中からエッセンスを読み取り、要領よくもっともらしく結論づけるというテクニックは、レポート作成に追われた学生のときに培ったもので、あの頃からだいぶ経った今になって不思議と役立ってしまいました。
ただ、法学の場合は、証明すべきことがらが日本語として筋が通っていればよいようで、自然科学のように数字で示されるデータや数式、現象などにピタリと当てはまらなくてはいけないというようなシビアさはありませんので、そのような意味においては、ちょっと気楽かもしれません。
無期限の宿題でしたが、2週間ほどかかって、かなりのページ数の書面が完成。
我ながらよくやったと思うほどでした。
書記官にチェックしていただき、準備書面に書証を添付して提出。
やっと、裁判を行う準備が整いました。

それも、初心者向けから上級者向けまで幅広いレベルや様々なケースについての幅広い分野の文献を備えていて欲しいですね。
何しろ、街の図書館や書店の本にもたくさんありそうな一般的な事件については、弁護士が引き受けてくれますが、訴訟の手間ひまがかかり勝算もはっきりしない事件は、引き受けたがらず、結局、面倒な事件ほど本人訴訟をしなければならないわけですから。
続きは、次回に・・・
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