裁判官らを不正行為に駆り立てたもの
更新を楽しみにされている方には、大変、ご迷惑をお掛けしています。
前回、前々回と、仙台地検特別刑事部が事件を放置していることに関連して、二審の仙台高裁の裁判官ら(大橋弘裁判長、鈴木桂子裁判官、岡田伸太裁判官)の不正行為についてお伝えしていますが、今回は、これらの裁判官が、なぜ、不正行為を行われなければならなかったのかについて考えてみたいと思います。
最近の記事ばかり読まれている方は、二審の裁判官らだけが不正行為を行ったという印象をお持ちかと思いますが、実は、不正行為を行うに至った素地は、すでに一審の福島地裁いわき支部の裁判で出来上がっていたのです。
一審では、相手の主張に対して、ひとつずつ自分の言い分を述べるという作業が中心になります。自分の主張が認められるように、証拠を示して相手の主張を封じ込めるのです。反論されたら、さらなる証拠を示して相手の主張の矛盾を突くという具合に、書面での応酬が繰り返されます。
被告国のボロが出たのが、この一審の裁判だったのです。
本来の事件に直接かかわっていた行政職員(証拠を捏造した本人)が関与していた部分については、とにかく主張が二転三転していたのです。
ちょっと調べれば、嘘であることがすぐさま判明するようなことでも、平気で嘘をついていたのです。
しかも、被告国の主張もメチャクチャでした。
同じ事柄に対し、あるところでは、「否認する」、あるところでは、「認める」、また、別なところでは、違う説明をするといった具合です。
(労働基準監督署職員の隠蔽工作が被告国の支離滅裂な主張を誘発(一審・9) 、 被告国の主張にとどめを刺し 最終決戦となった私の第5準備書面!(一審・11))
事件の当事者が直接裁判をする本人訴訟であるからこそ、それらの矛盾のすべてに気がつき、相手を論破することが可能なのです。
実際のところ、相手の矛盾を突き言い負かすことは、実に痛快でした。
お役所に苦情を言っても、タライ回しされたり、結論を先送りされたりすることが常態化していますが、このことが、事件全体をさらに長期化・複雑化し、本人訴訟に、より有利な状況を作り出したといえます。
どんなに優秀な代理人であっても、他人同士のトラブルの詳細をすべて頭に中に入れているはずがありません。
事件が複雑化するほど、代理人は、その全体像を把握しきれなくなります。
原告は、事件がどんなに複雑化しようと、本人訴訟であるからこそ、アリ1匹通れる抜け道がないほど完璧に論破することが可能なのです。

1年9か月も続いた裁判での内容には一切触れることなく、一審の一番最後に行われた証人尋問での行政職員(二転三転する主張を繰り返していた前述の職員)の虚偽の証言を証拠採用し、原告の請求を退けたのです。(証拠採用の妥当性 ~一審の福島地方裁判所いわき支部判決~)
しかも、一審では、裁判資料をよく読み込んでいる担当の裁判官と、裁判資料を読んで裁判に臨んでいるのか疑わしい裁判長との間に考えの相違がありましたが、結局は裁判長の判断が押し通されたようです。
控訴審では、二転三転している行政職員の証言を証拠採用するのはおかしいということを主張し、さらに、証言の内容が嘘であることを詳述しました。
被告国を勝訴させる正当な理由を見つけられなかった仙台高裁の裁判官らは、論理的に矛盾している一つ目の判決理由と、控訴人の主張を捻じ曲げ、デタラメな主張に書き換えるという違法行為を犯して作成した二つ目の判決理由を根拠に結論付けるしかなかったのです。


それは、最高裁事務局によって統制された「ヒラメ裁判官」が、そのヒラメ性を存分に発揮したからにほかなりません。
ヒラメ裁判官について、理解をより深めていただくために、「司法官僚(新藤宗 著)」 から一部を抜粋してお伝えします。

(最高裁事務総局の事務総長を筆頭とする)司法官僚機構は彼ら(裁判官)をいかに「操作」し、裁判所機構の一体性を確保するかに腐心することになる。
司法官僚機構の整備の結果、最高裁事務局は転所、昇任、報酬について実質的に決定権限をもっており、裁判官の「内面の独立」をゆるがしてきたといえよう。あるいは逆に、司法官僚機構の動向をたえず気にする裁判官を生み出してきたともいえる。「ヒラメ裁判官」といった批判は、そうした病理の具体的あらわれといってよい。
(1984年の水害訴訟の最高裁判決の直前には、全国の地裁・高裁の水害担当裁判官をあつめて裁判官協議会が開催された。)
協議会における最高裁民事局の見解の要点のみをいえば、つぎのとおりである。(省略)裁判所は工学上の安全基準の理論と技術に単純に依拠するのではなく、実際に採用されている技術基準を前提として独自の安全基準を考え、それにもとづき河川管理者の責任を判断すべきだ、というものである。
最高裁事務総局がこれまでみてきた人事による裁判官コントロールにくわえて、法律の解釈や判決内容についてもコントロールしているのではないか、そしてこの二つは相互に密接に関係しつつ、下級審や裁判官にたいする事務総局「支配」の基準となっているのではないかとの問題関心が、在野の弁護士を中心としてたかまっていった。
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